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スキンヘッドに差別主義者を象徴する無数のタトゥー。白人至上主義者に育てられ、憎悪と暴力に満ちた生活を送っていたブライオンは、シングルマザーのジュリーと出会ったことで新たな人生を始めようと決意する――。
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この度解禁された特別映像には、レイシズム団体のリーダー、クレーガーが川べりで遊ぶ貧しい少年に声をかけるシーンが映し出される。白人貧困層の子どもたちをスカウトしてレイシズム団体に入団させる、というこの手口は、本作の主人公ブライオン・ワイドナーの出自と重なるものだ。ブライオンは、このリーダー夫婦に引き取られ「家族」の一員となり、レイシズムと暴力が当然のものとして育てられてきた。
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さらに、そんなブライオンの更生に大きな役割を果たす男ダリル・L・ジェンキンスの姿が映し出されていく。演じているのは、鋼の肉体を持つヒーロー「マーベル/ルーク・ケイジ」で知られるマイク・コルター。
実話を基にした本作だが、このジェンキンスも実在する人物。ヘイト・グループやそれに属する個人の情報を記録し公開することで匿名性を剥ぎ、その存在を世間に知らしめる活動を20年以上続けており、反ヘイトNGO「南部貧困法律センター(SPLC)」にも協力。現トランプ政権下でますます力を帯びているレイシズムに抗う活動を現在も積極的に行っている。
反人種差別デモの高まりに際し、トランプ大統領による「アメリカ合衆国はアンティファ(反ファシスト団体)をテロ組織に指定する」というツイートには、「なんの弁明も躊躇もなく言おう、私はアンティファだ(#IAmAntifa)」と応じたばかり。
劇中では更生を決意するブライオンだったが、レイシズム団体から脱することは、そう簡単ではない。執拗に脅され、時にはジュリーの子どもたちも銃撃に巻き込まれる。そんな状況の中で、ブライオンが公衆電話から助けを求めた先が本来、反目するはずの男、ジェンキンスだった。果たして、ブライオンはジェンキンスの力を借りてどのような人間に変わっていくのか要注目。
先日、緊急配信され大きな反響を呼んだ『SKIN 短編』では、レイシズムの終わることのない暴力の連鎖を描いていたが、本作では、更生しようとする差別主義者を社会は赦すことができるのか、という負の連鎖を止めるための切実な問いが投げかけられている。レイシズムの嵐がますます吹き荒れる昨今、本作は現代社会を考える一助となるだろう。
『SKIN/スキン』は6月26日(金)より新宿シネマカリテ、ホワイト シネクイント、アップリンク吉祥寺ほか全国にて順次公開。