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【レビュー】ABEMAが放つ新ドラマ「17.3」は大人にとっても“初めての体験”に

「17.3」――。何の数字かと思えば、女子の「初体験の世界平均年齢」だという。

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「17.3 about a sex」3話(C)AbemaTV
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「17.3」――。何の数字かと思えば、女子の「初体験の世界平均年齢」だという。

その数字をタイトルにした「ABEMA」の新しいオリジナル連続ドラマ「17.3 about a sex」は、まさに同世代の女子高校生たちの恋愛や、その先にある性について初めての領域まで踏み込んでいく。

「僕だけが17歳の世界で」や「M 愛すべき人がいて」など、これまでもSNSを賑わせてきた「ABEMA」が挑んだだけに、その内容は確かに攻めている。主人公と同世代だけではない、性についての話をこれまでずっとタブー視してきた大人たちにも目から鱗の衝撃を与えるはずだ。

「17.3 about a sex」1話(C)AbemaTV
本作を攻めている、画期的とは言っても、正直、日本のエンタメで性を真正面から描くことや、そもそもの性教育自体がどれほど後手に甘んじているかは取り上げるまでもないだろう。

世界では、直訳すると「性教育」という意味のNetflixドラマシリーズ「セックス・エデュケーション」が大ヒット、奥手な高校生が同級生たちの様々な性の悩み相談に乗り、解決していく様子が描かれている。

また、現在スマッシュヒット中の映画『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』は『スーパーバッド 童貞ウォーズ』(07)の逆パターンで、女子高校生の卒業前夜の初体験が見どころポイントのひとつともなっている。

本作も、キスから先の恋愛と性のリアルが女子目線で描かれる“初体験”の物語だ。日本では、80年代後半に社会現象となった「毎度おさわがせします」シリーズで性に興味津々の男子中学生・高校生たちが主人公となり(女子たちも描かれてはいた)、それから約30年後の2017年になって、三浦春馬さん主演で30代の大人が“童貞”卒業を目指す深夜ドラマ「オトナ高校」などが登場してきたが、ここまで女子高校生目線での“初体験”物語はいままでになかったかもしれない。

「17.3 about a sex」1話(C)AbemaTV
しかも、台本を読んだ「Seventeen」専属モデルの現役女子高校生キャストの3人、永瀬莉子、田鍋梨々花、秋田汐梨が口を揃えて「リアル」「自然」と言うように、大人たちが押しつける理想や妄想とは違う“あるある”が詰まっている。

3人が演じる女子高校生たちは性体験の話、恋愛に全く興味が湧かない話、体験しすぎている話などまで、お互いの悩みを打ち明け合うが、この友人関係の描き方にも“新しさ”がある。

「17.3」という数字に惑わされ、「これでいいのかな」と思いつつも彼氏に言われるがまま、状況に流されるままになり、結果傷ついてしまった咲良(永瀬さん)に、祐奈(秋田さん)は「焦らせるようなこと言ってゴメン」と謝罪する。

「17.3 about a sex」2話(C)AbemaTV
また、映画のロマンティックなシーンに1ミリもときめかず、キスやセックスを不快にさえ感じる紬(田鍋さん)は、“私って、ちょっとおかしいのかも?”“病気なのかも?”と不安になる。しかし、それもまた一つの性的アイデンティティだと分かったとき、咲良は紬をそっと抱きしめるのだ。

「17.3 about a sex」2話(C)AbemaTV
彼女たちは決して突き放したり、断罪したりせずに、それぞれがお互いのセクシャル・アクティビティやアイデンティティを認め合い、受け入れている。この友情こそ本物だ。

「17.3 about a sex」3話(C)AbemaTV
そして、3人の中で最も経験の多い祐奈(秋田さん)は“当然そうなるよね”という結果の代償のひとつ、性病について直面することになる。3人で婦人科に行く決意をするが、“親には秘密で”という点が気になった。

「17.3 about a sex」3話(C)AbemaTV
そう、親世代もオープンに性を語れない中で育ってきたわけで、4話以降はそんな大人の代表として、藤原紀香演じる咲良の母が抱える性の悩みも取り上げられていく。大人たちが避けて、見過ごしてきた性について触れながら、さらには母と娘など、それぞれの家庭でのドラマや親子愛も見どころになってくる。もしやこれは、日本版「セックス・エデュケーション」!?

「17.3 about a sex」藤原紀香(C)AbemaTV
興味深いのはソニン演じるジェンダー学に通じた生物教師・城山の存在で、そのメンターぶりにはついつい、こちらも前のめりになって耳を傾けてしまうほど。ちなみに、各話テーマに沿ったデータがエンドロールで示されているので、最後まで見逃し厳禁だ。

「17.3 about a sex」ソニン(C)AbemaTV
「性体験はいつが望ましいのか?」「経験が多いとどんな心配があるのか?」「そもそも、人はなぜセックスをするのか?」

主人公の少女たちがいま直面している問題に、はっきりと答えを提示できる大人はどれだけいるだろう。本作はそんな大人たちにとっても、“初めての体験”となるはずだ。

「17.3 about a sex」は9月17日(木)23時~ABEMA SPECIALチャンネルにて配信(初回配信のみ1話から3話を一挙配信、以降1話ずつ配信・全9話)。

《上原礼子》

「好き」が増え続けるライター 上原礼子

出版社、編集プロダクションにて情報誌・女性誌ほか、看護専門誌の映画欄を長年担当。海外ドラマ・韓国ドラマ・K-POPなどにもハマり、ご縁あって「好き」を書くことに。ポン・ジュノ監督の言葉どおり「字幕の1インチ」を超えていくことが楽しい。保護猫の執事。LGBTQ+ Ally。レイア姫は永遠の心のヒーロー。

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