周りの目を気にしていた過去、今は「賛否あるほうがむしろありがたい」

ドラマ、映画、アニメーション作品などを合わせ、本年だけで12本もの作品に出演。数だけを見てもうなるほどだが、すべてにおいてまったく異なる顔を見せているのが伊藤さんの真価だろう。
「自分の中で、やっていることは、ずーっと変わらないんです。きっと、この先も変わらないだろうなとも思います。今は、皆さんに知ってもらえている現状が、うれしくて仕方なくって。名前を言ってわかる、顔を見てわかる存在に少しでもなれたことは、ありがたいなと思います。…でも、何がきっかけで、そんなに思ってくれたんだろうとも感じちゃう(笑)」。

「この作品で伊藤沙莉を知った」ともはや選べないことも、伊藤さんならではの特徴。伊藤さんは、何年も前からコツコツと着実に作品を積み重ねていたのだ。さかのぼれば、2019年に配信されたNetflixのシリーズ「全裸監督」ではチーム村西の紅一点として、2018年『寝ても覚めても』ではヒロインの親友を、そして2017年『獣道』では家庭に事情を抱える不良少女役で、映画初主演を飾った。こうして挙げていくと、年次でも追い切れないほど、光る名演揃いだ。
その経歴に対する評価が、現在のブレイクにつながったことは一目瞭然。強烈な時代のうねり、急激な注目度の上昇について、本人は、どう受け止めているのだろうか。
「すごく恵まれた毎日というか、すごい幸せだなって、常に感じています。ただ、周りの目は、逆に昔のほうが気にしていました。今は、賛否あるほうがむしろありがたいと思うようになってきたので…もちろん賛が多いほうがうれしいですね。若干のとまどいとか、ちょっとしたプレッシャーは、なくはないんです。だから、自分について考える時間が増えました」。