【MOVIEブログ】まだ何も映っていない大きなスクリーンを背にして
東京国際映画祭(TIFF)の中で個人的にもっとも好きな企画「TIFFティーンズ映画教室」。
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一般社団法人こども映画教室の協力を得て、一線で活躍している映画監督を講師にむかえて中学生たちに映画作りを教えるワークショップで、去年初めて見させてもらったんだけど、いまの中学生たちの感性とそこから紡がれた映画に痛く感動して、今年もまた感動してしまった。今年は残念ながらコロナで実際にみんなで集まって作るということはなくなり、全てリモートでやったので、実は僕も現場は全く見れずじまい。正直リモートで、しかも、映画の作り方なんておそらく全く知らないであろう中学生たちがどうやってやるの? と思っていたんだけど、これが大画面のスクリーンで観ると、その勢いというか想いというか、目には見えない大きな何かが伝わってきて、これは紛れもない映画だなと実感。こういうものは大人は撮ろうと思っても絶対に撮れなくて、まさにいましか残せない映画。そして、映画の未来になる映画。
花は咲いている時が一番美しいんだろうけど、種から新しい芽が芽吹く瞬間も、そこには花のような鮮やかさはないものの、新しいものが生まれる感動があって、それはそれでとても眩しいものだと思うし、そういう眩しさこそ大切にしてくべきだと思う。だって、それがまた美しい花を咲かせることになるのだから。すでに花は散って葉の色も変わりつつある僕でも、見守ったり育てたりすることはできるのだから、朽ち果てて土に還るまでその役目は果たしたい。未来は常に明るい。少なくともいまの子どもたちにそう思ってもらえるような姿を見せるのが大人の役目ってもんでしょう。選挙で負けても負けを認めずに駄々をこねるなんて、ありえない。
今日の映画教室の舞台挨拶で下を向いてる子どもは誰一人いなかった。子どもたちはみんな常に前を、上を、そして、自分を見ているお客さんを向いていた。何も映っていない白い大きなスクリーンを背にして。僕たちはその眼差しから決して逃げてはいけない。
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