「幸せにしてくれる香り」は?

――日々、様々な香りに接しているアンヌが、コプラ油の石鹸の香りを嗅ぎ、子ども時代を懐かしむシーンが美しくて大好きでした。お二人にとって、「幸せにしてくれる香り」はありますか?
エマニュエル:もちろん沢山ありますよ。古い、昔ながらの家の冷たいタイルの香り、丁寧にワックスが塗られた木の床の香り。そういう香りが私を幸せにしてくれます。まさに、祖父母の家の香りなんです。
グレゴリー:僕は、ブーランジェリーの香りですね。母方の実家がパン屋で、祖父の頃から代々継いでいるんです。店の中に入らずとも、裏口から漂うパンをこねている香り、パン作りの香りに幸せを感じますね。
限られた時間の中でも、作品への思いを、絶妙なコンビネーションで語ってくれた二人。「ありがとう、また日本に行きますよ!」と笑顔で手を振ってくれた。パリと東京と、距離離れていても確かに感じられた温かな人柄と、クリエイションへの真摯な姿勢は、この映画にしっかりと投影されている。最後に監督からはこんなメッセージも。
「この作品が日本で公開されるということに、とても感動しているんです。世界各国で公開されることに感激していますが、とりわけ日本はフランス人にとって、アートの国。見事な職人の技、几帳面で丁寧な仕事、細かいところまで行き届いた配慮でも知られています。感受性豊かでデリケートなという二つの形容詞がぴったりな国と思っています。だから、日本で観ていただけることに感動しています。ぜひ楽しんでください」
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