『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』、そして『アベンジャーズ/エンドゲーム』で涙と感動のひと区切りを迎えたMCU。もし、『エンドゲーム』までは見守ってきたけれど「ワンダヴィジョン」はまだチェックしていないというなら実にもったいない。
「『ワンダヴィジョン』はMCUの壮大な一部」とエグゼクティブ・プロデューサーを務める女性脚本家ジャック・シェイファーが断言するように、本作では『エンドゲーム』以後のワンダたちの動向が語られ、これまでのMCU作品のキャラクターも登場する。
2021年、新たなフェーズ4の1番手を担う「ワンダヴィジョン」には今後のMCUを占う重要な意味が込められているのだ。
以下、最終・第9話までのネタバレを含みます。ご注意ください。
(1)“普通じゃない”カップルの新婚生活は、シットコム?
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同じマインド・ストーンから“生まれた”ヒーロー、ワンダとヴィジョンは、お互いにとって数少ない理解者の1人となり、やがて恋に落ちた。だが、ご存知の通り、ヴィジョンは『インフィニティ・ウォー』のラスト、ワンダの目の前でサノスによって命を奪われている。
そんな2人が本作「ワンダヴィジョン」ではなぜか、郊外の町ウエストビューで新婚夫婦として仲睦まじく暮らしている。『エンドゲーム』直後の物語のはずなのに、ヴィジョンは生きており、しかも2人の日常はまるで“シットコム”。
モノクロの第1話・サブタイトル「公開収録でお送りします」では1950年代、第2話「チャンネルはそのまま」では1960年代、1970年代の雰囲気を持つ第3話「カラー放送」では文字通り途中からカラーに変わり、1話ずつ“シットコム”を通じてTVドラマの歴史を追っているかのよう。
例えば、第1話なら「アイ・ラブ・ルーシー」「ディック・ヴァン・ダイク・ショー」、第2話なら「奥さまは魔女」、第3話なら「ゆかいなブレディー家」や「パートリッジ・ファミリー」といった具合。
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いったい我々は何を見せられているのか? だが、2人の“シットコム”をTVで見ている人物が映し出されたり、「ワンダ、応答せよ!」と呼びかける何者かの声が聞こえたりと、単なる“シットコム”ではないことにすぐに気づくはずだ。
(2)すべてが見かけ通りとは限らない…ワンダの友人ジェラルディンて誰?
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“シットコム”に衝撃的な出来事が起きたのは第3話のラスト。無事に双子のトミーとビリーを出産したワンダは「私も双子だった」と、出産を手伝ってくれた“近所の友人”ジェラルディン(テヨナ・パリス)に打ち明ける。ところが、「ウルトロンに殺された。そうでしょ?」と言うジェラルディン。“シットコム”に、ワンダにとってのリアルが初めて持ち込まれた場面だった。
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「あなたは誰なの?」とワンダが問い詰めた次の瞬間、ジェラルディンはウエストビューを包む結界のようなものから外へと弾き出されてしまう。
“シットコム”は、現実世界の町ウエストビューの中で“作られた”フィクション。そしてジェラルディンの正体は、知覚兵器観察対応局、通称「S.W.O.R.D(ソード)」の職員モニカ・ランボーだった。モニカといえば、『キャプテン・マーベル』に登場したキャロル・ダンヴァース/キャプテン・マーベル(ブリー・ラーソン)の親友のパイロット、マリア・ランボー(ラシャーナ・リンチ)の娘。
1995年が舞台の同作では少女だった彼女が大人に成長し、いまでは母マリアが創設した「S.W.O.R.D」のメンバーに。母たちと同じように機長として宇宙を飛んでいたらしく、ワンダに対して「キャプテン・モニカ・ランボー」と名乗っている。
ちなみに、モニカは『キャプテン・マーベル』第2弾に登場することが明らかになっている。
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実は、“シットコム”内に不意に飛んできた色鮮やかなヘリコプターもS.W.O.R.Dのドローン、家の前の下水道から這い出してきた謎の人物もS.W.O.R.Dの調査員。そんな中、ジェラルディンと名乗り、ワンダに接近していたモニカがウルトロンの名を口にした途端、赤いエネルギー波を放たれ追い出されてしまったのだ。
(3)MCUとのつながり…カギを握る3人の登場人物
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実は大人になったモニカはサノスの“指パッチン”によって、5年間消えていた1人。第4話「番組を中断します」では、まさしくそれまでの“シットコム”が一旦中断、現実世界でモニカが復活するところから幕を開ける(時系列では『エンドゲーム』中)。しかも消えている間に母マリアが病で他界してしまった、という事実を知ることに。
悲しみを振り切るかのように「S.W.O.R.D」に復帰して早々、FBIからの要請でウエストビューにやってきたモニカ。そのFBIの担当者こそ、『アントマン&ワスプ』でスコット・ラング/アントマンのカードマジックに興味津々だったジミー・ウー捜査官(ランドール・パーク)。ウー捜査官によれば、ウエストビューの町全体が“失踪”状態にあるといい、住民の誰とも連絡がとれないという。スコット直伝(?)、スッと名刺を取り出すシーンには要注目。
ところが調査を始めようとした矢先、モニカがウエストビューの内部に引き込まれてしまった! そのため「S.W.O.R.D」から大部隊が派遣され、各分野の専門家たちが招集された。そのうちの1人が、『マイティ・ソー』シリーズでジェーン・フォスター博士(ナタリー・ポートマン)の親友であり、助手としてジェーンやエリック・セルヴィグ博士(ステラン・スカルスガルド)の研究を手伝っていたダーシー・ルイス(カット・デニングス)だ。
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演じるデニングスによれば、“指パッチン”で消えなかったダーシーはその数年間で天文物理学の博士号をとったとか。劇中にも「ミス」と呼びかけられるが、すぐさま「ドクター(博士)」だと訂正するシーンがある。コーヒー好きなのは昔のままだが、このダーシーこそ、ウエストビューでワンダ&ヴィジョンを主役にした“シットコム”が行われていると気づいた張本人。
第1話のラストでメモを取るのはダーシー、そしてワンダの身近にあるラジオを通じて「誰が君に指示を?」と呼びかけていたのはウー捜査官。放送を見守りながら、ウー捜査官がホワイトボードに書き出した「●なぜ六角形で囲まれている? ●なぜシットコム? ●同じ時空? ●ヴィジョンは生きている?」といったウエストビューにまつわる謎の数々は視聴者目線そのもの。「この2人に赤ん坊とは…」と、しみじみするウー捜査官と同じ気持ちなったファンも多いのでは?
このダーシーとウー捜査官とのコンビでスピンオフを願う声も挙がっており、特にダーシーについては本国のディズニープラスに特別映像が登場。MCUでのダーシーの名場面がまとめられている。
(4)“シットコム”と実世界での謎解きが交互に描かれる
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第4話でついに『エンドゲーム』とストーリーが繋がると、第5話はタイトル通りの「問題エピソード」となった。子育てにアタフタするママ・ワンダと神経質気味なパパ・ヴィジョン、双子のトミーとビリーはあっという間に5歳になり(!?)、子犬を飼おうとして大騒ぎに。タイトルバックはマイケル・J・フォックス主演の「ファミリータイズ」(82~89)にそっくりながら、まるでワンダを演じるエリザベスの双子の姉、アシュレー&メアリー・ケイト・オルセンが出演していた「フルハウス」のようなドタバタ子育てコメディだ。
その一方で、S.W.O.R.Dではワンダをテロリストと見なし、彼女の過去を持ち出しながら主犯格や容疑者という言い方で敵視し始める。だが、ワンダは信頼を得てアベンジャーズに加わっているとウー捜査官は反論し、モニカも計画的な侵略行為ではないと主張するが、9日前、ワンダはヴィジョンの遺体が安置されていた施設を襲い、遺体を奪って“生き返らせた”とS.W.O.R.Dのヘイワード長官は報告する。
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こうして第5話からは、“シットコム”と現実世界の出来事が交互に描かれていくことになった。ワンダとヴィジョンが暮らす幸せな世界は“作り出されたもの”で、ウエストビューの住人たちは“シットコム”の登場人物を演じさせられている。「1人でサノスを倒せていたかもしれない」とモニカが言うほど強大なパワーを持つワンダが、マインドコントロールをかけていた。
しかも、ワンダは幻覚を見せているのではなく、“ヘックス”内の現実を“シットコム”風に置き換えているらしい。“ヘックス”とはウエストビューを取り囲む六角形(ヘキサゴン)のエネルギーシールドのことで、ダーシーがつけた呼び名。さすが、ソーのハンマー、ムジョルニアを“ムニョムニョ”と名づけた彼女らしい名づけ方だ。
モニカは早くから、この非常事態<マキシモフ事変>はワンダ自身のトラウマや、深い悲しみ、喪失感に起因する、と気づいていた。モニカも大切な人を亡くしているからこそ、ワンダの胸中が痛いほどに分かる。
だが、S.W.O.R.Dの長官ヘイワードの考えは違った。“指パッチン”で5年間消えていたモニカには分かるまい、とでも言いたげな彼は実はクセ者で、密かにヴィジョンを知覚兵器として蘇らせる“白目作戦”を実行しようとしていたのだ。
(5)歴史的事件!「X-MEN」シリーズのクイック・シルバー登場!?
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やがて外部からの過干渉に、怒りを抑えきれずにヘックスから現れたワンダ。「ここは私の家」と警告し、「望みはかなえた。誰も二度と私から奪うことはできない」とヘイワード長官に言い放つ。だが、住人たちの奇妙な言動に、頭脳明晰なヴィジョンは“シットコム”の世界の出来事はワンダの強大なパワーが関与しているのではと疑い始めていた。そんな中、突然の訪問者が…。
現れたのは、ワンダが亡くした双子のピエトロ…と思いきや、なんと「X-MEN」シリーズのピーターことクイック・シルバー(エヴァン・ピーターズ)! まさかの別のクイック・シルバー登場で、ますますマルチバースが現実味を帯びてきた第5話のラストは、MCUのフェーズ4がついに「始まった」と実感する瞬間でもあった。
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ともかく、ワンダ&ヴィジョン宅で一緒に暮らし始め、すっかりくつろいだ日々を送っているピーター=ピエトロ。第6話「ハロウィーンの不気味な夜に」では「マルコム in the Middle」(00~06)をオマージュ。ワンダ&ヴィジョンの子どもたち、双子のトミーとビリーは時折、マルコムのように第4の壁を破ってこちらに話しかけてくる。
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息子たちはピエトロおじさんとハロウィーンを楽しむが、別行動をとるヴィジョン。ウエストビューの町外れまで探索すると、そこには静かに涙だけ流す者や緩慢な動きをする住人がいて、やはり何かがおかしい。アグネス(キャスリーン・ハーン)に出会ったヴィジョンは「アベンジャーズ」と言われてもピンとこず、「あなたは死んだんじゃ?」と問いかけられ、さらに疑念を深める。ついに“ヘックス”の端まできたヴィジョンは、エネルギーシールドの結界を破ってS.W.O.R.Dが待ち受ける外へ。
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しかし、結界をくぐり抜けようとすると、バラバラになりかけるヴィジョン。そのピンチを察知したのは、“ヘックス”の中にいる息子ビリーだ! ワンダの双子の息子のうち、どうやらトミーにはピエトロと同じ超高速移動の能力があるらしく、ビリーはテレパシーが使える様子。ヴィジョンを引き戻すため、パワーを最大限に発揮して“ヘックス”の結界を広げようとするワンダ。すると、ダーシーを含め、逃げ遅れたS.W.O.R.Dの人々が次々に巻き込まれてしまい…。
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気づけば、S.W.O.R.Dの兵士たちはサーカス団に、ダーシーは縄抜け師に様変わり!? ヴィジョンはピエロと間違われ、“ヘックス”に取り込まれた彼らは“シットコム”の登場人物になってしまう。「ゲスト出演したかったけど、こんな形は最悪」と、それでもユーモアを忘れないのがダーシーだ。
(6)双子の息子たちだけじゃない、モニカも覚醒?
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無残にも広がり続けるワンダの世界は、S.W.O.R.Dをはじめとする、外の現実世界への憎悪や敵対心のようにも映る。ここでカギを握るのは、ワンダを理解しようと務めてきたモニカたち。ワンダが友人としてモニカを“ヘックス”に受け入れたのは、モニカが言うように「味方だ」と心のどこかで気づいているからに違いない。
第7話「第4の壁を破って」では、ハロウィーンの“家族の一件”で疲れ切った様子のワンダが、さながら人気コメディシリーズ「モダン・ファミリー」(09~20)のように観客側に向かって話しかけてくる。まるで前夜の“暴走”を言い訳するかのように。
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そんなワンダを救い出し、ダーシーを連れて帰るためにも、ウー捜査官や母の知人たちの力を借りて再び“ヘックス”の中へ入ろうとするモニカ。第6話でダーシーが指摘していたように、ワンダのエネルギーを浴びたモニカの細胞は書き換えられており、再突入となればどんなことが身体に起こるかわからない。
それでもキャプテン・マーベルと親しく、超人的なパワーを持つ者の孤独と葛藤を理解でき、大切な人を失った経験のあるモニカは使命感を持って、再び“ヘックス”へと向かう。ワンダのエネルギーシールドを再び全身に浴びるモニカには、亡き母マリアやキャロルおばさん/キャプテン・マーベルの言葉が聞こえている。その声を糧にするように進み続けたモニカがウエストビューの内側に入ると、ついに“覚醒”。ブルーの光を帯びた、“何者か”になった。
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「私はあなたを恐れない」と、モニカはまさにヴィジョンと同じ言葉でワンダを説得しようとするが、「また来た」とワンダに吹っ飛ばされてしまう。それをヒーローさながらの着地で凌いでみせるモニカ。動揺を隠せないワンダを、隣人のアグネスが連れ帰っていくーー。
(7)すべてアガサの仕業!ワンダの壮絶な過去も明らかに…
第7話で明らかになる重要な事実が、隣人アグネスの正体だ。ときにはワンダのピンチを助け、ときにはシッターも買って出てくれたこのお節介な隣人の正体は、魔女アガサ・ハークネスだった。
「この町で魔法使いは自分だけだと思ってた?」というアガサ。ワンダが作り出した“シットコム”で起きていたトラブルは(あのピエトロ=“ニセトロ”も含め)、すべてアガサの仕業だったのだ!
It was her all along The seventh episode of Marvel Studios' #WandaVision is now streaming on @DisneyPlus. pic.twitter.com/gvTPFdVp7y
— Marvel Studios (@MarvelStudios) February 22, 2021
さらに第8話「前回までは」は「MARVEL STUDIO」のロゴまで、アガサの魔力のごとく怪しげな紫色となって登場。1693年、実際に魔女裁判が行われた米マサチューセッツ州セイラム生まれのアガサは、推定年齢300歳以上ということか!?
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魔女アガサは、明るく愉快な“シットコム”という形で何千人もの人々を操り、複雑な筋書きに沿って互いを交流させるワンダの強大な“魔力”に執心しており、「これがどう始まったかわからない」と明かしていたワンダの“真実”に迫っていく。ワンダ自身が「戻りたくない」と語る過去の記憶だ。
まずは、戦火の絶えない国・ソコヴィア。当時10歳だったワンダは、両親そして双子の兄ピエトロと4人で生活をしていた。家の外では銃声や悲鳴が鳴り響く中、父が持ち帰ったカバンには「奥さまは魔女」「アイ・ラブ・ルーシー」「アダムズのお化け一家」から「マルコム in the Middle」といったアメリカのシットコムがずらり。
ところが、家族団らんの時間、ワンダが特に好きな「ディック・ヴァン・ダイク・ショー」を家族で見ていると、突如家にミサイルが命中…。辛うじて無事だったワンダとピエトロの目の前に、追い打ちをかけるように再びミサイルが着弾すると、そこには「スターク・インダストリーズ」の文字が。
「ミサイルは不発だった」かつて、そう語っていたワンダだが、アガサは「確率操作の魔法ね」と当時からワンダが無自覚だが魔法を使い、爆破を防いだと分析する。その際の「ディック・ヴァン・ダイク・ショー」のワンダお気に入りのエピソードが、そのままシットコム「ワンダヴィジョン」でオマージュされているのが切なすぎる。
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次に2人が向かったのは、ワンダがヒドラの人体実験に参加したころの記憶。研究員の指示を受け、ワンダが室内にあったロキの杖/マインドストーンに触れようとした矢先、マインドストーンが自ら動きだし、出迎えるようにワンダの目の前までやってくる。マインドストーンから黄金の眩い光と共に魔女の様なシルエットが浮かび上がると、ワンダはすぐさま気絶。この日を境にワンダが現在の力を手に入れることになった。
その模様を伺っていたアガサは、「マインドストーンに出会い パワーを増大させたわけね」と納得した様子。
次はワンダがアベンジャーズの仲間入りをしたばかりのころへ。そこにはピエトロを亡くし、悲しみに打ちひしがれているワンダと、そんなワンダを気にかけ必死に寄り添おうとするヴィジョンの姿が。最愛の両親や兄弟を亡くし孤独感にさいなまれるワンダと、ずっと1人だったゆえに喪失感や孤独感さえ知らないヴィジョン。これまでのMCU作品でもあまり描かれてこなかったワンダとヴィジョンが心を通わせるきっかけともいえる場面に、アガサも涙を浮かべるそぶりを見せていた。
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そして、最も残酷だったのは、『エンドゲーム』から本作の“シットコム”までに起こったことだ。ヴィジョンは、S.W.O.R.Dのヘイワード長官が知覚兵器として再利用するために見る影もなくバラバラにされていた。ワンダはその悲しみや怒りを封じ込めながら、ヴィジョンが「終のすみか」と決めていた町に向かうと、その場所こそがウエストビュー。ここで一気に、ワンダのパワーが解き放たれることになる。
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最終話は、ほぼ『ドクター・ストレンジ2』の前日譚!?
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“シットコム”も夫ヴィジョンも、2人の息子トミーとビリーも、すべてはワンダのトラウマと悲しみが生みだしたフィクション…。
その強力な魔法を目の当たりにしたアガサは、ワンダこそ禁断の魔術書「ダークホールド」に記されている「仲間を持たず、呪文も必要ない、世界を滅ぼすことを運命づけられた」魔女=“スカーレット・ウィッチ”になる存在と確信、その力を奪おうとする。さらに、S.W.O.R.Dが作り出したマインド・ストーンなしの“白ヴィジョン”まで参戦してきた。
一方、モニカはアガサの魔術によってコントロールされていたニセのピエトロの洗脳を解いていた。その正体は…アガサに雇われた、ただの役者の青年ラルフ・ボーナー! やはり「X-MEN」の世界から来たクイックシルバーではなく、全くの別人だった。
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モニカがワンダのもとに駆けつけると、ワンダ一家とアガサ、白ヴィジョン、ヘイワードの兵士たちが一触即発の状態に。ワンダがセイラム裁判の場にアガサを誘えば、立場を逆転させたアガサがワンダにスカーレット・ウィッチの赤い頭飾りを被せようとする。空中を飛び回る2人の魔女の戦いは、まさしくMCUの新次元。
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さらに、2人の関係性にも注目だ。「ヒーローは人を苦しめない」というアガサの言葉に納得したワンダが住民の洗脳を解き、結界の外へと逃がそうとしたり、アガサが前回使っていたルーン魔術をワンダが逆に利用して、アガサの力を封じ込めたりと、奇しくもアガサは、ワンダが“スカーレット・ウィッチ”となるための師、メンターのようになっている点は見逃せない。
最終的にはワンダがアガサの魔力を奪って勝利し、“詮索好きな隣人・アグネス”としてウエストビューに住まわせることに。いずれ「私が必要になる」というアガサに、「必要になったら会いに来る」とワンダは応じており、今後のMCUに再登場する可能性は大いにある。
再登場といえば、モニカは『キャプテン・マーベル』第2弾への布石となるのか、ヘイワードが放った銃弾にビクともしなかった場面があった。しかもMCUのお約束、エンドクレジットの中盤には擬態が得意なスクラル人から「彼が会いたがっている」との知らせを受けている。彼とは、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』で宇宙船にいたニック・フューリーかもしれない。
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多くのファンの予想どおり、正真正銘の“スカーレット・ウィッチ”となってしまったワンダ。また、“ヘックス”を自らの意志で閉じたことで、わずかの間ながら新婚生活を送ったヴィジョン、そして2人の子どもたちとも決別することになった。
そしてエンドクレジットの最後の最後には、ドラマ「エージェント・オブ・シールド」にも登場する魔術書「ダークホールド」を読み解く、アストラル体のスカーレット・ウィッチの姿も! 『ドクター・ストレンジ』によれば、その書は至高の魔術師しか読み解くことができないはず。その後、トミーとビリーらしき子どもの声が聞こえるところで“番組は終了”しており、彼らはまだどこかに存在していることが匂わされている。
いずれにしても、本作に続くとされる『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス』(原題)、『キャプテン・マーベル2』(原題)は2022年までお預け。どのように繋がっていくのか、期待して待っていよう。
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