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“水の精・ウンディーネ(オンディーヌ)”の神話を、現代に大胆に置き換えて映画化した本作。「愛する男に裏切られたとき、その男を殺して、水に還らなければならない」という切ない宿命を背負った女性の物語を、現代都市ベルリンに幻想的に蘇らせ、第70回ベルリン国際映画祭・銀熊賞(最優秀女優賞)と国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)をW受賞した。
妖艶なウンディーネを演じたのは『婚約者の友人』(フランソワ・オゾン監督)や『ある画家の数奇な運命』(フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督)などのパウラ・ベーア。ベルリン国際映画祭が2021年より性別による賞を廃止したため最後の“最優秀女優賞”受賞者となった。
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今回解禁となった場面写真でも彼女の存在感が際立つ。ペッツォルト監督の前作『未来を乗り換えた男』でも共演したフランツ・ロゴフスキとの相性については、「彼らの相互作用には大きな信頼がある。これは今までに他の俳優コンビの間では感じたことはありません。彼らのあらゆる触れ合い、あらゆる視線、すべてが信頼と尊敬と信じられないほどの解放感に満ちています」と、監督が賛辞を贈るほど。
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さらに黒沢清監督は「ドイツ製ダーク・ファンタジーだ。ベルリンの地縛霊が忽然とよみがえり、官能も恐怖も申し分なし。こんなのがあったんだ」とコメントし、『スパイの妻』でヴェネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞した際の審査員だったペッツォルト監督最新作に驚きの声を寄せる。
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また、『淵に立つ』や『よこがお』を手掛ける深田晃司監督は、「パウラ・ベーアの視線に導かれベルリンがミクロの街角からマクロの歴史へと展げられていく快感。しかし、そこにあるのはひとりの女性への呪いだった。呪いをかけたのは誰か。巨大な悲しみをこの映画は私たちへと投げかける」と語る。
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そして劇画家・声楽家の池田理代子は、「チャイコフスキーに『ウンディーネ』を、ドヴォルザークに『ルサルカ』を作らせ、アンデルセンに『人魚姫』を書かせた、魅惑に満ちた『水の精』の神話。永遠に人々を魅了してやまないウンディーネ(オンディーヌ)の物語が、二人の名優を得て、現代を舞台の映画として登場した。水の中に消えていく彼女の姿が、恐ろしくも愛しく魅力的で、忘れることが出来ない」と絶賛。
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英国スコティッシュバレエ団でプリンシパルを務めた世界的なバレエダンサーで、かつて「オンディーヌ」を演じたことがある下村由理恵は「『宿命』とは切なく、悲しい。私自身、舞踊化されたオンディーヌを演じた時に感じたこの感情。終盤になるにつれ、どんどん引き込まれ、見終わった感覚は、今迄にないものでした」とコメントを寄せている。
『水を抱く女』は3月26日(金)より新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか全国にて順次公開。