豪華日本人キャストが参加していることでも話題の中国映画『唐人街探偵 東京MISSION』。中国での公開初日に興収164億円を叩きだしたこの作品で主役を務めるのが、リウ・ハオラン。中国では親しみを込めて「弟」と呼ばれる彼の魅力に迫ります。
ヒット請負人!? 稼いだ興収は1550億円超え
リウ・ハオランは1997年10月10日、中国・河南省生まれ。幼い頃からダンスを学び、高校1年生の時に、映画『北京愛情故事』(原題)のメインキャストに選ばれて映画デビューを果たします。この監督を務めたのが、ロウ・イエ監督の『スプリング・フィーバー』などで俳優としても活躍していたチェン・スーチョン。その後、チェン監督は、2015年の大晦日に公開され大ヒットを記録した『唐人街探偵』第1作目の主役にもハオランを抜擢。早くもスターへの道が開かれます。
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その間にもハオランは、演劇の名門大学・中央戯劇学院に入学して演技力を磨き、巨匠チェン・カイコー監督の日中合作映画『空海−KU-KAI− 美しき王妃の謎』(18)などに出演。20年10月には、出演した映画『愛しの故郷(ふるさと)』の大ヒットにより、『唐人街探偵 』シリーズでW主演を務めるワン・バオチャンらと共に23歳にして出演作の興収の合計が100億元(約1550億円)を超えた「100億元クラブ」俳優の一員になったと報道されました。
これにはちょっとトリックがあって、観客が彼を目的で見に行ったわけではないデビュー作やW主演映画、オムニバス映画や、重要キャラではあるものの主演ではない『空海』まで含まれており、当の本人も報道内容に恐縮しきりだったそうですが、要はデビューしてからこれまで、ヒット作や話題作に起用され続けているということ。彼と組んだ大物監督たちも、その才能を絶賛しています。
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『唐人街探偵 東京MISSION』はハチャメチャなコメディですが、天才探偵を演じるハオランの軽快な演技と繊細な表情から、その才能の片鱗が垣間見えます。
教室で隣の席に座りたい“リアコ”が続出
つぶらな瞳と可愛らしい八重歯がトレードマークで、よく「ワンコのよう」と言われるハオラン。筆者は『唐人街探偵 東京MISSION』の日本ロケのエキストラに参加したのですが、実物はモデルのような185センチの長身。それでも「ワンコ」と言われてしまう、成長期のアンバランスさは彼ならではの魅力です。
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最近日本でもファンが増えている中国ドラマでも活躍。隣の席に座る秀才と落ちこぼれ女子の淡い初恋を描いた大ヒット学園ドラマ「最上のボクら with you」ではヒロインを見守る心優しい男の子を好演。爽やかな笑顔とナチュラルな演技に魅了され、「こんな男子が隣にいたら、どんなに楽しい高校生活だったでしょう……」という妄想をかき立てられた無数の“リアコ”を生みました。
現代劇でも時代劇でも、青年期の繊細な心の揺れをリアルに演じられるところがハオランの強み。17年には、中国で「神劇」と言われるドラマ「琅琊榜―麒麟の才子、風雲起こす―」の続編「琅琊榜(ろうやぼう) 風雲来る長林軍~琅琊榜之風起長林」に主演。若き将軍を等身大の魅力で演じて「大ヒット作の続編」というプレッシャーに打ち勝ち、こちらも大ヒット。WOWOWで放送されたスペクタクル・ファンタジー史劇「九州縹緲録」(19)でも、乱世の中で英雄に成長していく主人公を堂々と演じきっていました。
そんな中国の「国民の弟」も、2020年に大学を卒業。大人の俳優として円熟味の増した姿を、これからも見せてくれるはず。
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『唐人街探偵 東京MISSION』は7月9日(金)より全国公開
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