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第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にて、日本映画史上初となる脚本賞ほか全4冠に輝いた本作。北米プレミアとなる第46回トロント国際映画祭への正式出品も決定しており、日本公開を前に世界から大きな注目を集めている。
本作は、大部分の撮影を広島で敢行しており、日本が世界に誇る巨匠が手掛けた名建築や、瀬戸内の美しい町など、そんな知られざる広島の魅力も存分に映し出している。
例えば、家福(西島さん)が演出を手掛ける演劇祭の会場として登場し、家福とみさきが初めて出会う場所となるのが、「広島国際会議場」。国立代々木競技場、東京都庁舎など数多くの国家プロジェクトを手掛けた丹下健三が設計した広島市公会堂を、1989年に建て替えた施設で、公共建築百選にも選ばれた。
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また、劇中で家福とみさきが心を通わせる重要な場所として登場する、実在のごみ処理施設「広島市 環境局中工場」。ニューヨーク近代美術館(MoMA)の新館や葛西臨海水族園、GINZA SIXなどを手掛けてきた世界的建築家・谷口吉生によるものだ。
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さらに、家福が広島滞在中に宿泊する場所、1994年に重要伝統的建造物群保存地区として選定された「呉市 御手洗」。家福を乗せ、みさきが真っ赤なサーブで駆け抜けるシーンで登場する「安芸難大橋」なども映し出される。
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そんな本作だが、当初は、韓国・釜山で大部分の撮影を行う予定だった。昨今の状況下、舞台を変えねばならず、広島に白羽の矢が立った理由について濱口竜介監督は「映画のテーマとしては、車が走れる場所ということですかね」とロケ地選びのポイントを明かし、「もちろん、車が走れるだけではだめで、走っている車を一体どう撮るか。それは良いカメラポジションを見つけられるか、用意できるかというのが一番大きいです。原作は東京の話ですが、昨今は東京だと車の走行シーンはまったく自由に撮れません。最初にロケ地として釜山を想像したのも映画制作の都合上、そこであれば自由に車の撮影が出来るんじゃないかと思っていたからです。でも、それがダメになって広島になりましたが、広島市のフィルム・コミッションの力もすごく大きくて、都市部での撮影も十分出来たし瀬戸内の島々でも撮れた」とコメントしている。
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『ドライブ・マイ・カー』は8月20日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開。