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別世界へいざなう…ジア・コッポラ、タイカ・ワイティティら注目気鋭監督のショートフィルム

世界中の映画ファンから支持される長編映画やアカデミー賞受賞作を手がける気鋭の有名監督たちも、まずはショートフィルムからその頭角を現してきた。

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『メインストリーム』(C)2020 Eat Art, LLC All rights reserved.
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10月のシネマカフェ特集は【ショートフィルムの魅力】。いま世界中の映画ファンから支持される長編映画やアカデミー賞受賞作を手がける気鋭の有名監督たちも、まずはショートフィルムからその頭角を現してきた。

ここでは、『マイティ・ソー』シリーズや『ジョジョ・ラビット』で知られるタイカ・ワイティティ、アンドリュー・ガーフィールド主演『メインストリーム』が現在日本公開中のジア・コッポラ、そして『ミッドサマー』に続く最新作でホアキン・フェニックスとタッグを組むアリ・アスターについて注目してみた。

多才なタイカ・ワイティティ、短編でもアカデミー賞ノミネート


タイカ・ワイティティ (C) Getty Images

1975年生まれ、ニュージーランド出身。自身で監督・脚本・製作、自ら“空想上のアドルフ”役で出演し、アカデミー賞脚色賞を受賞した『ジョジョ・ラビット』(19)のように、ロシア系ユダヤ人の母とマオリの父を持つタイカ・ワイティティの作品には、秀逸なコメディセンスだけでなく彼自身のアイデンティティを想起させるメッセージが込められている。

ワイティティが最初に注目されたのは、アカデミー賞にノミネートされた2004年の短編映画『TWO CARS,ONE NIGHT』(原題)。深夜の駐車場、2台の車で両親たちを待つ少年と少女の一夜の交流を描いた作品は、『ジョジョ・ラビット』のスタジオ「Searchlight Pictures」のYouTubeチャンネルから視聴できる。

その後は、現代のヴァンパイアたちのドタバタな共同生活を追った『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』(14)、里子に出された少年と偏屈おじさんがコンビになる『ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル』(16)で映画ファンのハートをがっちり掴み、マーベル・スタジオの超大作『マイティ・ソー バトルロイヤル』(17)、そしてナタリー・ポートマンが復帰するシリーズ最新作『Thor: Love and Thunder』(原題)でもメガホンを取る。

タイカ・ワイティティ

俳優としても、『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』ではヴァンパイアの1人、『マイティ・ソー バトルロイヤル』では宇宙人コーグ、ライアン・レイノルズ主演『フリー・ガイ』ではゲーム会社社長とクセの強い役柄を演じてきたワイティティ。ドラマシリーズ「マンダロリアン」ではドロイドIG-11の声を務めたほか、エピソード監督も担当、多才ぶりを発揮している。

ジア・コッポラ、ファミリーから学んだ毒味のあるポップ


『メインストリーム』より

1987年生まれ、米ロサンゼルス出身。祖父はフランシス・F・コッポラ、叔母はソフィア・コッポラ。『ゴッドファーザーPARTlll』に子役で出演し、『SOMEWHERE』の衣装アシスタントや、『Virginia/ヴァージニア』でメイキングを担当するなど、家族の元でキャリアを積んできたジア・コッポラは、27歳のとき青春映画『パロアルト・ストーリー』(13)で監督デビュー。続く長編2作目となる『メインストリーム』(21)では、人気YouTuberへと駆け上がった謎の男リンク(アンドリュー・ガーフィールド)の野心と狂気、そんな彼に惹かれたフランキー(マヤ・ホーク)の行きつく果てを描き出した。同作で、怪しさたっぷりのエージェントを演じたジェイソン・シュワルツマンは従兄にあたる。

ジア・コッポラ Photo by Mat Hayward/Getty Images for Nordstrom

また、写真家としても活動する傍ら、CMやMVでも活躍し、水原希子を起用した「ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)」のCMディレクターとしても知られる。2011年にはL.A.を拠点にしたファッションブランド「レン(wren)」と、英雑誌「Lula」の創刊者として知られるリース・クラークとタッグを組んだ短編『What’s Up』(原題)を発表。

2016年には「グッチ(Gucci)」のPre-Fallのコレクションと関連した「グッチ・ストーリーズ」を手がけた。ギリシャ神話の「オルフェウスとエウリュディケ」をベースに舞台を現代のニューヨークに置き換え、キャストには母親がジェーン・バーキン、父親が映画監督のジャック・ドワイヨン、異父姉妹にシャルロット・ゲンズブールという同じく芸能一家のルー・ドワイヨンを迎えている。


アリ・アスター、“恐怖映画”の認識を変える斬新さが魅力


『ミッドサマー』より

1986年生まれ、米ニューヨーク出身のアリ・アスターは、アメリカン・フィルム・インスティテュートで美術の修士号を取得しており、その独特な映像美にどうしても惹かれてしまう映画ファンは多いだろう。いくつかの短編作品を経て、気鋭スタジオ「A24」と組んだ2018年の長編初監督作『ヘレディタリー/継承』がサンダンス映画祭で絶賛され、一躍注目を集めることに。サターン賞監督賞を受賞し、ゴッサム賞、インディペンデント・スピリット・アワードなど数多くの映画賞にノミネートされた。

『ヘレディタリー/継承』より

そんな『ヘレディタリー/継承』に続く『ミッドサマー』(19)では、“妹の死”に自責の念を抱える主人公ダニーがスウェーデンの小さな村で異様な儀式に巻き込まれていくさまを追い、日本でもロングランヒットに。ダニーを演じたフローレンス・ピューも知名度を上げた。監督自身「両作品ともパーソナルな内容」と明かしているが、この2作の原点ともいえそうなのが『Munchausen』(13/原題)だ。『ダイ・ハード』シリーズのボニー・ベデリア演じる母は、愛する息子が大学進学のために家を離れることを悲観し、極端な行動に出る…。

アスター監督の新作は『ジョーカー』でアカデミー賞を受賞したホアキン・フェニックス主演による『Disappointment Blvd.』(原題)。今回も「A24」が製作、ハリウッドきっての怪優とどんな世界を見せてくれるのか、気になるばかりだ。

アリ・アスター

《上原礼子》

「好き」が増え続けるライター 上原礼子

出版社、編集プロダクションにて情報誌・女性誌ほか、看護専門誌の映画欄を長年担当。海外ドラマ・韓国ドラマ・K-POPなどにもハマり、ご縁あって「好き」を書くことに。ポン・ジュノ監督の言葉どおり「字幕の1インチ」を超えていくことが楽しい。保護猫の執事。LGBTQ+ Ally。レイア姫は永遠の心のヒーロー。

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