東京国際映画祭が閉幕した。
今年はプログラムの改編と会場の移転で装い新たな形での開催となったが、終わってみて思うのはやはり国際映画祭は面白いということ。国際映画祭はまずは何と言っても世界中の面白い映画を観られるというのが第一義だとは思うんだけど、映画を観ること以外にもトークセッションやQ&Aなど様々なイベントもあり、映画を通して色々なことも考えさせられる側面もあって、これがまた面白い。
今回の東京国際映画祭では「SDGs」にも注力した。SDGsとは国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」のことで、2030年までの国際目標として「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」など具体的に17のゴールが設定されている。東京国際映画祭では5つ目のゴールに設定されている「ジェンダー平等を実現しよう」という項に基づき、コンペティション部門での審査委員の女性の比率を13人中7人にして半数以上にしたりした。
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このSDGsが国連サミットで採択されたのは2015年で6年前。今でこそ流行語にもなりつつあるくらいの活動になったものの、それはつい最近の話。でも、実はベルリン国際映画祭では2019年の段階から映画祭の方針としてSDGsに取り組んでいくことを明言化していた。僕がちょうどその頃に東京国際映画祭に来て色々と海外の映画祭を調べている時にベルリン国際映画祭の公式サイトにSDGsに関しての記載があり、具体的な各ゴールの番号なんかも入っていて、当時これはいったい何なのだろう? と思っていたら、これだったのかと。さすがベルリン。社会派映画祭の雄と言われるだけあって、こういった社会的な動きへの対応は迅速、かつ、的確だ。
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ただ、そうは言っても、SDGsは政治や経済、環境保護的なことがメインで、そんなところで映画に何ができるの? と思う人もいるかもしれないけど、映画は娯楽メディアでありつつ、啓蒙メディアでもあると思うので、映画にできることもきっとあると思っている。1本の映画で世界は変えられないかもしれないけど、1本の映画が誰かの人生を変えることはきっとあるだろうし、これまでもあったと思っている(少なくとも僕はその一人だ)。映画の影響力は大きい。東京国際映画祭で上映された映画の中で、誰かの人生を変えるような、そして、社会に影響を与えるような作品が1本でも生まれていればこれほど嬉しいことはない。