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【映画と仕事 vol.13 後編】岸辺露伴のつくり方! 人物デザイン監修・柘植伊佐夫が明かす、高橋一生の私物のパンツから割り出した“最適解”

【映画お仕事図鑑 vol.13】<後編>! 「岸辺露伴は動かない」人物デザイン監修・柘植伊佐夫はどのように高橋一生を岸辺露伴へと“変身”させたのか? 第2シーズンだからこそのチャレンジとは――?

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「岸辺露伴は動かない」岸辺露伴(高橋一生) (C)NHK
「岸辺露伴は動かない」岸辺露伴(高橋一生) (C)NHK 全 17 枚
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原作の“奇妙さ”をより深く表現! 前作からの進化と挑戦


「岸辺露伴は動かない」第6話

――改めて放送を控える「岸辺露伴は動かない」の4話~6話について、柘植さんの視点で魅力やここを楽しんでほしいというポイントを教えていただければと思います。

1話、2話、3話がある程度のご支持を得られたという思いがある中で、今回の続編をつくれることになって、やはり前作よりもさらに踏み込んだ荒木先生の“原作感”をもう少し色濃く入れられていると思います。1~3話で貫かれた文脈を踏襲しつつ、原作にある“奇妙な”世界観、ファンタジー的な世界をより深く描けていると思います。

――第4~6話のラインナップ(「ザ・ラン」「背中の正面」「六壁坂」)が発表されて、「これぞ『ジョジョ』の世界! これぞ『岸辺露伴』!」と原作ファンの期待もさらに高まっていると思います。

そうなんですよね(笑)。原作が本来持っている怪奇色が強まっていて、楽しんでいただけると思います。「これをやっちゃって、次があったらどうするの?」という感じです(笑)。

――ここから再び、柘植さんの仕事観などについてお聞きできればと思います。人物デザイン監修という仕事のやりがい、おもしろさについて教えてください。

先ほども説明しましたが、僕自身は自然にこの仕事をやることになってしまったという経緯がありまして、例えば「画家になりたい」みたいな感じで目指してこの仕事に就いたわけではなく、流れ流れてこの仕事をやるようになったんですね。

その中で「人物像を美しくしたい」「人物像の本質的な表現をしたい」という思いは、ヘアメイクとしてこの世界に入った頃からいまに至るまで終始一貫していて変わりません。心から美しい人物――表層的な部分だけでなく、本質に近いという意味で美しい人物を作るというのが僕が仕事をする上でのテーマなので、そういう意味でやりがいを感じる仕事だなと思います。

とはいえ、僕の場合、受注仕事なので、監督や俳優さん、プロデューサー、局から依頼があって初めてできる仕事で、一貫して受動的なんです。“やりがい”という気持ちは能動的なものですけど、環境的、肉体的な状況は受動的なので、不思議な感じですね(笑)。

――柘植さんが現在の仕事をする上で、最も影響を受けた存在(ひと・もの・作品など)は何ですか?

すごく月並みなんですけど(レオナルド・)ダ・ヴィンチですね。実家にルーブル美術館の本があって、しかも全集なのにそのうちの1冊しかなくて(笑)、そこに「モナ・リザ」や「岩窟の聖母」があって、それがすごく好きで、子どもながらにずっと見てましたね。なので、自分の中の美的な基準点というのはルネサンスにあって、すごく古典的だと思います。

――美容と人物デザインのラボとして、一般の方・プロフェッショナルを目指す方を問わず参加できる「コントラポスト」を主宰されていますが、ご自身のお仕事における次の世代の育成といったことは意識されているんでしょうか?

うーん、その意識がないわけではないですし、講師などのお話をいただいたり、実際に以前、ヘアメイクのセミナーを行なって優秀なヘアメイクがそこから輩出されたりということもあったんですが、すごく積極的に若い世代にこちらから何かを教えたいというよりは、尋ねられたら教えるというスタンスですね。

自分がやっていることって、すごく伝えにくいことなんです。あと、“縁”が大事だったりもするんですよね。だから「こういうことを教えるから、興味のある人は集まって!」という感じの学校教育型のスタイルには向いてないと思います。つまり、“師弟関係”とか“学び”ということの本質を理解できないと、この仕事って伝えていけないと思うんです。人物デザインであったり、新しいクリエイティブを後世に伝えていこうという関係って、学校教育型のやり方だとあまりに一様なものになり過ぎてしまって、核の部分が伝わりにくいんじゃないかと感じています。

一方で、広く薄く、システマティックなやり方であっても、そこから何かを拾いあげることができる人たちというのが、多くはなくともいて、それによって伝わっていくということもありうるので、一概にそのやり方を否定するつもりもありませんが…。

――柘植さんがやられているような人物デザインやクリエイティブ、もしくは映画やドラマの世界での仕事を志している若い人たちに何かメッセージや「こういうことを大切に」というアドバイスなどがあればお願いします。

そうですね…、このくらいの年齢になると、過去の自分がやったことが、未来の自分を追いかけてくるんですよ(苦笑)。良いことをやれば、それはそれで良いことが追いかけてくるし、悪いことをやれば、悪いことも追いかけてくるんです。

でもホルモンバランスのせいなのか、若い頃ってなかなか理性的なことばかりをするわけでもないし、むしろそういう理性的でない部分が良かったりもするわけで、野放図にやるのはいいと思うんです。とはいえ、必ず自分がやったことは、自分の未来に影を落とすので(笑)、そのことだけは肝に銘じて置いたほうがいいよと言いたいですね。必ずですから(笑)!心して行動したほうがいいよと。

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《photo / text:Naoki Kurozu》

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