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是枝裕和「あなたのデビュー作にふさわしい」『マイスモールランド』川和田恵真監督にサプライズレター

『マイスモールランド』の公開記念舞台挨拶が開催され、主演の嵐莉菜、奥平大兼、川和田恵真監督、そして劇中で主人公サーリャの家族を演じた、 嵐さんの実際の家族が勢揃い。是枝裕和監督から川和田監督へサプライズの手紙も

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『マイスモールランド』公開記念舞台挨拶(新宿) (C)2022「マイスモールランド」製作委員会
『マイスモールランド』公開記念舞台挨拶(新宿) (C)2022「マイスモールランド」製作委員会 全 10 枚
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『万引き家族』と『ドライブ・マイ・カー』のスタッフが手がけた、17歳の在日クルド人・サーリャが理不尽な社会と向き合いながら、自分の居場所を探していく物語『マイスモールランド』。5月7日(土)、本作の公開記念舞台挨拶が開催され、主演の嵐莉菜奥平大兼川和田恵真監督、そして劇中で主人公サーリャの家族を演じ、 嵐さんの実際の家族でもあるアラシ・カーフィザデーリリ・カーフィザデーリオン・カーフィザデーが勢揃い。また、是枝裕和監督から川和田監督へサプライズの手紙も披露された。


>>『マイスモールランド』あらすじ&キャストはこちらから

自身も5か国のルーツを持ち、「ViVi」専属モデルとして活躍中の現役高校生であり、映画初出演にして初主演でサーリャ役を務め上げた嵐さん。嵐さんと同じくオーディションで選ばれ、劇中でサーリャの家族を演じたのが実際の嵐さんの家族であることに触れられ「信じられない光景というか、私の家族にとって貴重な経験だと思ってます」と感謝を語った。

川和田監督も、アムネスティ国際映画賞《特別表彰》に輝いたベルリン国際映画祭に参加した際、「(キャストクレジットの)名前を見て『本当に家族なのか?』という質問や、『この家族は今も暮らせているのか?』など、映画の出来事が現実の物語だと勘違いしているような質問も頂いた」と明かし、本当の家族だからこそ醸し出すことができた“家族の空気”がベルリン国際映画祭の観客に響いていたことをふり返った。

奥平さんは、嵐さんの実際の家族が出演するということを事前に聞いてはいたが「監督から『撮影現場で初めて会って欲しい』と言われて。実際の撮影で会うまで一回も会わなかったんです」と明かす。しかし、事前に嵐さんから「弟のリオン君が『すごくかわいい』っていうのをたくさん聞かされていました。『どんなにかわいい子がいるんだ!?』と現場行ったら、こんなかわいい子がいて、これは確かにかわいいと思いました」と言い、嵐さんも「すごく弟のアピールをしていましたね(笑)」と和気あいあいだった撮影現場の様子を語る。


一番思い出に残ったのはクライマックスのシーン…監督とハグも


一番撮影で思い出に残ったシーンについて問われると、嵐さんは「クライマックスのシーン」と言う。「そのシーンを撮り終わった時に、監督が涙を流してくださって。演技で人を感動させることができるんだと、初めての感情でした」と述べ、そのシーンの後、思わず嵐さんをハグしたという川和田監督も「私もあの時のシーンは印象的でした」と同意。

奥平さんは「聡太の家で、サーリャと弟のロビン(演:リオン)と一緒に絵を書くシーン」だと言い、「とても大きな木を描いたんですよ。で、その後に皆で『どの色を追加していくか』って話して、そして、リオン君は“お絵かきしりとり”をやってて、すごく楽しかった」と思い出を語った。

監督からは、「私は、オープニングの結婚式のシーンもとても思い出深いです」との言葉も。「難民申請中の方には(出演することで不利益が出る可能性があるので)、メインのキャストとしては出演頂いていないのですが。だけど、この映画のオープニングにはエキストラとして出演していただいていて。私自身も、いくつか(本当のクルドの)結婚式に自分も参加させてもらって、その時に見たことからこのシーンは作っているので。だから、想いが強いです」と付け加えた。


是枝裕和監督、同じ「分福」チームの川和田監督へサプライズレター


そして、監督やキャストへのサプライズとして、同じ「分福」チームの一員であり、同時に川和田監督の大先輩でもある是枝裕和監督からのサプライズの手紙が。

「この映画の企画書を読ませてもらってから、何年経ったのか、もう忘れてしまいましたが、どうしても映画にしたい、しなければならないというあなたの切実さをひしひしと感じたことははっきりと覚えています。あの日、この作品が間違いなくあなたのデビュー作にふさわしいと確信しました。

この映画が難民問題を扱いながら、青春映画としても成立していることを僕はとても素晴らしいと思っていますが、それはあなたの<海図なき航海>という、まさに青春そのもののような映画作りという旅に同行してくれた2人がいてくれたからこそだと思います。

仲間たちと、今日は作品のお披露目を心から喜んでください。祝ってあげてください。明日からは、あなたにとって、このデビュー作が最大のライバルになります。強敵ですよ。また、長い旅が始まります。頑張ってください」という温かいメッセージが寄せられ、川和田監督が思わず涙ぐむシーンも。

「是枝さんの背中を追ってきたので、こういった言葉をもらえると励まされます。やってきてよかったなと。ここで止まらず、この作品を届けていくことが私にとってやらなければならないことだと改めて思います」と語る川和田監督は、「この2人(嵐莉菜、奥平大兼)、そしてその家族の皆さんがいなければこの映画は作れなかったと思うので、出会えたことに感謝してますし、この2人のことはずっと心から離れないですし、ずっと見ています」と感謝。

最後に、「この作品を信じて応援してくださったたくさんの皆さん、クルドの皆さんのおかげで、この日を迎えることができました」「少しずつ<知る>という事を重ねることで無関心が関心に変わっていくことで社会が変わっていく、と信じてこの映画を作りました。この映画がその第一歩になれればと心から願っております」という監督の願いとともに舞台挨拶は終了。

なお、同日には、映画の舞台となり、クルド人のコミュニティがある埼玉県・川口での舞台挨拶も開催。クルド監修に携わったワッカス・チョーラク氏も登壇し、川和田監督から本作に関わったクルド人の方々への感謝の気持ちを伝えると、そのワッカスさんらクルド人の方々から、川和田監督とキャストに感謝の気持ちを込めて、花束が手渡された。クルド人の方々の想いを受けて、川和田監督が涙で声を詰まらせると、嵐さんも感極まって涙するなど、あたたかい文化交流が行われた。

『マイスモールランド』は全国にて開催中。

《シネマカフェ編集部》

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