【ネタバレあり】マルチバースは見どころ満載『ドクター・ストレンジMoM』6つのキーポイント

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』マルチバースを舞台に『エンドゲーム』後のストレンジの成長や、スカーレット・ウィッチの脅威、次世代のアメリカ・チャベスの活躍など内容は盛りだくさん。見どころ満載の本作で気になるポイントを探ってみた

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『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』 (C)Marvel Studios 2022
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』 (C)Marvel Studios 2022 全 21 枚
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マーベルが誇る最強の魔術師で、時間と空間を自在に操る魔術と知性を持つドクター・ストレンジを主人公にした『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』が、公開5日間で興行収入12億を突破する大ヒット。初日興収は『アベンジャーズ』『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を超えマーベル・スタジオ作品歴代3位となっている。

本作は『ドクター・ストレンジ』(2017)の続編であり、サノスとの決戦『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)、マルチバースの扉を開いた『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2022)から続く物語が描かれる。

2時間6分と最近のスーパーヒーロー映画にしては“コンパクト”ながら、いくつもの宇宙が登場するマルチバースを舞台に『エンドゲーム』後のストレンジの成長や、ヴィランとなったスカーレット・ウィッチの脅威、次世代の新ヒーローであるアメリカ・チャベスの活躍など内容は盛りだくさん。「2時間とは思えないボリューム!」「かなりの神作!」「驚きの連続」といった声もSNSに上がる中、見どころ満載の本作で気になるポイントを探ってみた。

以下、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』および「ワンダヴィジョン」のネタバレがあります。ご注意ください。


◆ワンダはなぜ、ヴィランの“スカーレット・ウィッチ”に…


『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)で本格的にMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)に登場したワンダ・マキシモフ(エリザベス・オルセン)。当初はウルトロン側についたものの、ホークアイの「あのドアから1歩外へ出たら、君はアベンジャーズだ」との言葉でアベンジャーズとして闘うことを決心。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)ではヴィジョンの額に埋め込まれたマインド・ストーンをサノスから守るため、ヴィジョンの死と引き換えに彼女自身がその額からストーンを取り除いた。

だが結局、サノスは全てのインフィニティ・ストーンを手に入れ指パッチンを行う。『エンドゲーム』ではサノスとの最終決戦に勝利しても、ヴィジョンは失われたままとなった…。

ワンダは悲しみのあまり、ヴィジョンと新しい暮らしを始めるつもりだった郊外の町ウエストビューで現実を改変させる“魔術”を使い、住民たちを人質にとりながら叶わなかった新婚生活を送る架空世界を作りあげ、自分の殻に閉じこもる。その物語を描いたのが、Disney+(ディズニープラス)で配信中のドラマシリーズ「ワンダヴィジョン」だ。同作をひと言で説明するならば、『エンドゲーム』後にワンダがスカーレット・ウィッチになるまでの悲劇ともいえる。

その中で自らの魔術によって生み出したのが、ヴィジョンと、トミー&ビリーという双子だった。内戦で両親を失い、『エイジ・オブ・ウルトロン』で双子の兄ピエトロを、『インフィニティ・ウォー』でヴィジョンを失ったワンダにとって憧れていた家族を架空の世界で手に入れたのだ。だが、もう1人の魔女アガサ・ハークネスに出会ったことで、ワンダは自らの強大な力を自覚して邪悪な魔術書「ダークホールド」を奪い、スカーレット・ウィッチとして覚醒。ウエストビューの住民たちを解放し、架空世界とともにヴィジョンや双子たちも“消して”どこかの山奥に隠遁する。実は、MCUでワンダがスカーレット・ウィッチと呼ばれたのは、この「ワンダヴィジョン」が初めて。


母親として幸せになりたい…そんなワンダの願いは叶わない


ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)は『インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』で宇宙を守るため、「これしか道はない」として“指パッチン”という大きな犠牲を人々に強いた。おそらくストレンジもあの選択は本当に正しかったのかと、『エンドゲーム』後、秘かに自問してきたはず。だが、ワンダにはっきりと言われてしまう。愛する人の額に穴を開けるほどの犠牲を払ったのに、自分は何も報われなかった、と。

本作『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(以下、『ドクター・ストレンジMoM』)では、別の宇宙からやってきたアメリカ・チャベス(ソーチー・ゴメス)がマルチバースを行き来できる能力を持つことを知り、スカーレット・ウィッチはそのパワーを奪おうとする。劇中で“夢は別の宇宙の現実”と触れられているように、毎日夢に現れるどこかの宇宙にいるトミーとビリーと再び暮らすことが彼女の唯一の願いとなった。

スカーレット・ウィッチ=ワンダは最初こそ誰も傷つけないと語っていたものの、やがてアメリカ・チャベスを保護したカーマ・タージや、後述する「イルミナティ」のメンバーらに大虐殺を行ってしまう。ただ家族と一緒に暮らしたい、母親として再び幸せになりたい。彼女のそんなささやかな、二度と叶わない願いが、本作で描かれたマルチバースの狂気のきっかけとなってしまった。自らの過ちに気づき、アメリカの導きでアース838のトミーとビリー、そしてワンダ自身と対面したことでついに改心したワンダは、全ての宇宙の「ダークホールド」を滅ぼしたが、彼女の罪はあまりに重い。

それでも、ワンダには幸せになってほしい、いつか「I'm happy」と言える日が来てほしいと願わずにはいられないのがファン心。ワンダが再びMCUに現れることはあるのか、気になるところだ。


舞台の1つ・アース838のトミーとビリー


「ワンダヴィジョン」の劇中とは違い、アース838では双子のトミーとビリーはスーパーパワーを持たず、普通の子どもとしてワンダと暮らしている様子。ここではどうやらウルトロンの暴走は起きておらず、イルミナティを警護しているので、もしかしたらヴィジョンも存在していないかもしれない。ワンダは双子を養子として迎え入れた可能性もある。

なお、『ドクター・ストレンジ』でタイム・ストーンの力を試すときストレンジは食べかけのリンゴを使っていたが、スカーレット・ウィッチが現実改変能力で作っていたのはリンゴ園。そして、アース838のトミーとビリーが見ていたTVの『白雪姫』といえば、魔女と毒リンゴが鍵となっている。


◆「イルミナティ」が登場!そのメンバーは?


原作のマーベル・コミックに登場する、“ニューアベンジャーズ”ともいえるスーパーヒーローたちの秘密結社「イルミナティ」。MCUでリブートされる『ファンタスティック・フォー』のリーダーや、アニメシリーズ「ホワット・イフ…?」(ディズニープラスにて配信中)にも登場したペギー・カーター版のキャプテンほか、なんといっても『X-MEN』シリーズからプロフェッサーXが登場したのは大事件といえる。

キャプテン・カーター=ペギー・カーター


スティーブ・ロジャースではなく、ペギー・カーター(ヘイリー・アトウェル)が超人血清を打ってヒーローに。ペギーはイギリス人であるため、盾やコスチュームには英国旗ユニオンジャックが使用。『ドクター・ストレンジMoM』のポスターが解禁となった際には、このユニオンジャックの盾が写り込んでおり憶測を呼んだ。彼女がキャプテン・アメリカの口癖「まだやれる」と言うのも感動的だ。

ヘイリー・アトウェル Photo by Frazer Harrison/Getty Images

キャプテン・カーターはスカーレット・ウィッチが「ドリームウォーク」したアース838のワンダと激闘を繰り広げたが、「ホワット・イフ…?」5話でバッキーがゾンビ・キャップを倒したときのように、盾で真っ二つにされてしまった…。


キャプテン・マーベル=マリア・ランボー


『キャプテン・マーベル』(2019)の主人公キャロル・ダンヴァースの親友マリア・ランボー(ラシャーナ・リンチ)が、同作とは異なるコスチュームでキャプテン・マーベルに。マリアも優秀なパイロットゆえ、キャロルに代わってテスト飛行に抜擢されスペース・ストーン(四次元キューブ)のパワーを浴びたのだろうか。

ラシャーナ・リンチ (C) Getty Images

ブラックボルト=ブラックアガー・ボルタゴン


声だけであらゆるものを破壊するインヒューマンズの王、ブラックボルトがMCU映画に初登場。米TV局ABCで放送されたドラマ「マーベル インヒューマンズ」(2017/ディズニープラスにて配信中)のアンソン・マウントが再演した。

アンソン・マウント Photo by Tommaso Boddi/Getty Images for IMDb

ミスター・ファンタスティック=リード・リチャーズ


ファンタスティック・フォーのリーダー。過去に2度映画化された『ファンタスティック・フォー』は新たにMCU版の製作が予定されている。『クワイエット・プレイス』シリーズで知られる俳優で監督のジョン・クラシンスキーは、マーベルファンが演じてほしいミスター・ファンタスティック役の第1候補といわれ、今回のカメオ出演でうわさが現実味を帯びてきた。さらに、その妻スーストーム役にはジョンの実生活の妻であるエミリー・ブラントを望む声もある。

ジョン・クラシンスキー Photo by Jeff Spicer/Getty Images for Paramount Pictures

プロフェッサーX=チャールズ・エグゼビア


『X-MEN』といえば、かつての20世紀フォックス(現在は20世紀スタジオ)が長らく製作してきた人気シリーズ。ディズニーとの合併後、ついにMCUにプロフェッサーXの登場が実現した。しかも演じているのは、おなじみのパトリック・スチュワートだ。どんなストレンジなのか見てやろうと試すような言動をしたり、スカーレット・ウィッチの深層意識に入り、“本当のワンダ”に手をさしのべたりするのは、さすがプロフェッサーXらしい。黄色のハイテク車いすに乗り、1997年のアニメ「X-MEN」のテーマソングで現れたが、2023年にディズニープラスで配信予定の新作アニメ「X-MEN’97」への伏線?

パトリック・スチュワート-(C)Getty Images

なお、本作の「イルミナティ」はモルド以外、「ドリームウォーク」ワンダに倒されてしまったが、これはアース838での出来事。MCUの本筋の舞台はアース616なので、そこでのプロフェッサーXやミスター・ファンタスティックらは無事、ということになる。


◆「イルミナティ」のモルドとストレンジは一体どんな確執が!?


アース838でドクター・ストレンジの代わりに「イルミナティ」のメンバーとなったのが、モルド(キウェテル・イジョフォー)。前作『ドクター・ストレンジ』では(アース616)、ネパールのカトマンズでカーマ・タージを探している際に暴漢に襲われたストレンジを助け、カーマ・タージに招き入れてくれた兄弟子だった。ところが、暗黒次元(ダークディメンション)の支配者ドルマムゥとの闘いでストレンジがタイム・ストーンを使ったことで、自然の摂理を破った代償に言及、モルドはその報いが必ず起きるとしてストレンジを敵対視することに。『ドクター・ストレンジMoM』のストレンジの発言から察するに、前作以降モルドに襲われたことがありそうだ。

キウェテル・イジョフォー-(C)Getty Images

アース838においても、やはりストレンジと確執があったよう。サノスとの闘いで「ダークホールド」をストレンジに渡し、「インカージョン」(マルチバースで宇宙同士が衝突し、その片方が消滅する)を引き起こすきっかけを作ったのはモルドではないかと616ストレンジに指摘されていたが、図星だったかもしれない。どの宇宙でも、天敵は天敵らしい。


◆別の宇宙のクリスティーンも大活躍!


ストレンジが『インフィニティ・ウォー』の“指パッチン”で5年間消えていたことから、クリスティーン(レイチェル・マクアダムス)は別の男性チャーリー(ストレンジの大ファンだという)と結婚することに。ストレンジは「私の愛を時と共に」というクリスティーンからのメッセージが背面に刻まれた腕時計を壊れていても大事しており、未練たっぷり。でも、クリスティーンは「あなたは自分でメスを握らないと気が済まない」とストレンジを愛することを諦めたと明かし、「あなたは幸せ?」とストレンジに問いかける。

レイチェル・マクアダムス Photo by Jeff Spicer/Getty Images for Disney

“いま、幸せか?”という問いは本作の裏テーマともいえ、『エンドゲーム』の結末に納得しているつもりでいるストレンジは本作で何度もその問いを反芻することになる。

一方、アース838のクリスティーンはイルミナティの研究施設で働いており、マルチバースにも詳しい。魔術の効力を失わせる「ニサンティの砂」を用いた手錠でストレンジを警戒するが、スカーレット・ウィッチの脅威が迫ると共闘することに。荒れ果てたサンクタムにいるシニスター・ストレンジがいる宇宙では、ゾンビ・ストレンジに「ドリームウォーク」する彼をがっちりサポート。悪霊を「ボムガリアスの火鉢」でやっつけた。

「ボムガリアスの火鉢」といえば、『ドクター・ストレンジ』ではカリシリウスと闘う際「使えないのか?」とツッコまれ、火鉢を持って殴りかかっていたストレンジ(その直後に出会ったのが、健気で賢い“マント”である)。アース838のクリスティーンは使い方をちゃんと知っていた。そんなクリスティーンがどのストレンジも傲慢さは同じと閉口しながらも、彼の壊れた腕時計を持ち続けていたことにジンときた方も多いのでは? 生きる宇宙は違えど、ストレンジもようやく「全ての宇宙で君を愛している」と本音を打ち明けることができた。


◆ポストクレジットに現れたシャーリーズ・セロン演じる新キャラクターは?


アース616の地球、ニューヨークに無事戻ったストレンジ。「ダークホールド」を用いて、ゾンビ・ストレンジに「ドリームウォーク」したことの代償として3つ目の眼が額に現れたものの、日常を取り戻し始めている様子のストレンジを紫色のコスチュームに身を包んだ女性が呼び止めている。

シャーリーズ・セロンが演じるそのキャラクターはクレア。原作コミックでは、前作のラスボスで暗黒次元(ダークディメンション)を支配するドルマムゥの姪とされており、いずれストレンジのパートナーになるとされている。エンドクレジットの最後には「ドクター・ストレンジは帰ってくる」とあったが、今後のMCUではクレアのキャラクターもはっきりしてくるだろう。


◆結局、サム・ライミ印のMCU映画!?


アース838でピザ・ボールを売るおじさん、ピッツア・パパ役は、本作の監督サム・ライミの出世作にして代表作『死霊のはらわた』『死霊のはらわたll』で主人公を演じ、『スパイダーマン』3部作にもカメオ出演していた俳優ブルース・キャンベル。エンドクレジットではようやくストレンジの魔術が終わって嬉しそうだったが、これは『死霊のはらわたll』で悪霊に取り憑かれた自分の右手を究極の手段で止めたことへのオマージュ。そういえば同シリーズでも、主人公が禁断の「死の書」のページを開いたことで呪いが解き放たれていた…。

サム・ライミ Photo by Frazer Harrison/Getty Images

また、冒頭のニューヨークでのバトルやカーマ・タージでのスカーレット・ウィッチの攻撃、足をひきずりながらストレンジたちを追う血まみれのアース838・ワンダの姿や、ポニーテールのディフェンダー・ストレンジの屍がゾンビとして蘇るシーンなどは往年のホラー映画を彷彿とさせる。スカーレット・ウィッチ=ワンダ役のエリザベス・オルセンが「ホラーショーのような雰囲気」と語る理由がよく分かる。

多元宇宙をまたいで様々な出来事が起こってもさほど混乱もなく、退屈することがないのは、随所に見られるこうしたサム・ライミ印によるところが大きいだろう。MCUのフェーズ4では特に、『ソー:ラブ&サンダー』のタイカ・ワイティティ監督はもちろん、『エターナルズ』のクロエ・ジャオ監督、『ブラック・ウィドウ』のケイト・ショートランド監督など、元来はインディペンデント映画やジャンル系映画で知られた監督がMCUの世界で自分色を出していく傾向が強い。ライミ監督もホラーテイストのスーパーヒーロー映画として、ぎりぎりのラインを狙った感じだ。ティム・バートン作品や『エイジ・オブ・ウルトロン』などで知られるダニー・エルフマンの遊び心に溢れた音楽も、それにひと役買っている。

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』はデジタル配信中(購入)、7月6日(水)よりデジタル配信開始(レンタル)、8月5日(金)よりMovieNEX、4K UHD MovieNEX発売。

《text:Reiko Uehara》

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