是枝裕和監督が率いる「分福」気鋭の新人監督・川和田恵真監督による商業映画デビュー作で、普通の高校生としての日常が奪われてしまった17歳の在日クルド人の主人公の葛藤と成長を描く『マイスモールランド』。5月23日(月)、本作の弾き語り&トークイベントが新宿ピカデリーにて行われ、印象的な主題歌と劇伴を手掛けた「ROTH BART BARON」の三船雅也が、映画を観終えたばかりの観客に向けて主題歌「N e w M o r n i n g」をアコースティックバージョンで生披露した。
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演奏を終えると、この日は三船さんの誕生日ということで、川和田監督が花束を持って登場。誕生日ソングが流れるサプライズ演出に驚きながら、三船さんは「すみません、この日に生まれ落ちまして(笑)」と恐縮しきり。川和田監督が花束と共にお祝いの言葉を贈ると会場もあたたかい拍手に包まれた。
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続いて映画の感想を聞かれた三船さんは「音楽担当として、ずっと作品に寄り添っていたから、こんなに客観視できない映画は初めて。ある意味自分と半身のような作品になりました。クルド人について描きながら、こんなにも瑞々しい物語を描き切っていて、脚本や、完成前の映像を観させてもらっていたときから素敵な作品だと思っていました」と話した。
もともと「ROTH BART BARON」のファンだったという川和田監督からのオファーで、今回のタッグが実現。三船さんの演奏を客席で聴いていた川和田監督も「貴重な機会を、お越しいただいたお客さんと共有できてうれしい」と感無量の様子。
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今回のオファーの話を聞いた三船さんは、まず最初に台本を読んだそう。「映画音楽をここまでしっかりとやらせてもらうのは本作が初めてでしたが、頂いた脚本にすごく入り込んで一気に読んでしまって。これはやるべきだとスタッフにすぐに連絡しました」と言う。もともと映画好きで映画監督になりたかったという三船さんだが、先日のトークイベントでは登壇した諏訪敦彦監督のゼミ生だったことも明かした。
監督のメッセージは「ロックスターの音楽のよう」
また、主題歌「N e w M o r n i n g」に関しては、監督と意見を交わす前に三船さんたちが先行して制作していたという裏話も。このほかにも劇伴制作の中でのやりとりや、川和田監督が監督を務めたミュージックビデオの撮影時の話などでも盛り上がる。
最後に三船さんは「この作品には、特に今だからこそ響くメッセージが込められていると思います。監督がこの作品を通して投げたメッセージはロックスターの音楽のようだなと思いました。そのメッセージを受け取った皆さんの人生が少しでも変わるきっかけになったとしたら、そして、この作品に少しでも僕が寄り添えることができていたなら、とても嬉しく思います」と締めくくった。
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川和田監督も「素敵な歌をありがとうございました。私にとっても今日は大事な忘れられない回となりました」と三船さんに感謝。そして観客に向け、「今日この貴重な回に参加してくださりありがとうございます。この作品で描いていることは私たちのすぐそばで起きていることです。少しずつ知っていくことが何かを変えていくことにつながると信じています。ぜひ今日感じたことを近くの人やSNSなどで伝えていただけたら嬉しいです」と、改めて思いを述べていた。
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『マイスモールランド』は新宿ピカデリーほか全国にて公開中。
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