『花様年華』『恋する惑星』の巨匠ウォン・カーウァイがプロデュースを熱望した、『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』バズ・プーンピリヤ監督の最新作『プアン/友だちと呼ばせて』。
主演のひとりとして、余命宣告を受けた青年を17kgの減量で見事演じきったのは、世界的に活躍するモデル、アイス・ナッタラット。韓国ドラマ「Voice」のタイ版リメイク作品をはじめ、俳優としても活躍を見せる彼の劇中新写真がシネマカフェに到着した。
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がんで余命宣告を受け、元恋人たちを訪ねる旅に親友ボス(トー・タナポップ)を連れ出すウード役に選ばれたアイス・ナッタラットは、180cm以上の長身を生かし、タイで約4年のモデル活動の後、韓国に活躍の場を移し、ほぼ全てのファッション誌を制覇、韓国のランウェイを最初に歩いたタイ人となった。
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韓国での5年の活動を経て帰国後、俳優業に本腰を入れる。ドラマ「DIARY OF TOOTSIES1・2」(16・17)、「One Year」(19)、映画『Friend Zone』(19)、韓国ドラマのタイ版リメイク「Voice」(19)などにも出演するなど着実にキャリアを積み上げていく。
本作のキャスティングは、プーンピリヤ監督と、ウォン・カーウァイの2人によるオーディションで行われた。プーンピリヤ監督は「オーディションで彼を見た瞬間、この映画の持つ感性、作品のトーンや声、最終的にどんな形になるのかが初めて見えた。だから、彼に決めるのは簡単だった」とふり返る。
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一方のアイスは「ウード役に決まったときは嬉しくて自分の知り合い全員に知らせた」と言うが、喜びも束の間、とてもまじめな彼はすごく真剣に取り組まなければならない、とすぐにシリアスな気分になったという。撮影中、ウォン・カーウァイは現場には現れなかったが、撮影しては映像をウォン・カーウァイに送り、コメントをもらう作業の繰り返し。アイスは、彼を失望させたくなくてプレッシャーを全身で感じながら精一杯撮影に臨んだという。
本作で最も難しい役といえるウード役を演じるにあたり、アイスの取り組み方はとてもストイックだった。死を間近にした方たちのグループセラピーに足を運んだり、残念ながらウードと同じように病による余命宣告を受けた監督のニューヨーク時代の友人ロイドと幾度となく深い対話を重ねたそうで、「結果的に、ウードのキャラクターには、ロイドのDNAがたくさん入っている」と監督は指摘する。
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「(劇中でウェイターの役だったので)ウェイターの気持ちを理解するためにバンコクで1か月、ニューヨークの撮影でも使ったタイレストランで1か月働いた」と語る。さらに肉体的な役づくりにも取り組んだ。1か月半の猶予を経て、とてもストイックに運動と食事量を計算し、見事17kgの減量に成功した。体重の減少と共に徐々に声も細くなったり、話し方も変わっていったというが、それも役づくりとして彼は受け入れていった。
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今回は、その減量前と後の変化のすさまじさが分かる写真を解禁。減量前のアイスはキッチンに座ったあどけなさの残る1枚。もう1枚は減量後の浜辺に座り込む1枚。頭を剃り上げ、あごのラインがするどくなり、とても弱々しく見える。
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これだけ役に忠実に向き合ってきたアイスだが、「もしあなたがウードのような状況なら元恋人たちに会いに行くか?」と尋ねてみると、「僕は今まで付き合ったことのある恋人は、今付き合っている恋人しかいません。もう10年になります」という答えが返ってきた。
『プアン/友だちと呼ばせて』は8月5日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、渋谷シネクイントほか全国にて順次公開。