ストップモーションアニメ『マッドゴッド』よりメイキング映像が解禁。監督のフィル・ティペットが黙々と撮影に勤しむ作業風景が捉えられている。
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特殊効果の巨匠フィル・ティペット監督が『ロボコップ2』(90)の撮影後にアイディアを閃き、製作を始めたという本作。だが、『ジュラシック・パーク』(93)で時代が転換点を迎え、業界が本格的にCGへ移行。「俺の仕事は絶滅した」とプロジェクトは中断されてしまう。
それから20年後、ティペット・スタジオの若きクリエイターたちが奇跡的に当時の映像を発見、彼らの熱望により企画が再始動する。さらに、クラウドファンディングで世界中のファンからの応援も集まり、完成した本作は、2021年のシッチェス映画祭で上映され喝采を浴びた。
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製作時は躁状態になりがちで、一度作業を始めると手が止まらないと語るティペット監督。この度解禁されたメイキング映像は、その言葉通り、黙々と作業をするティペット本人の姿が収められ、製作期間30年という想像を絶する作業風景の一部が収められている。
映像には、無機質であるはずのものたちが、ペインティングや装飾を重ねられることで、地下世界の生き物として命を吹き込まれていく過程が映し出される。作中で映る時間は関係ない。地面や壁などあらゆるところに、ペンキを振りかけたり、手形を押したり、風景に埋もれるキャラクターにも部品を一つ一つ貼りつけて細部にまで丁寧に作業をし、地獄の世界をコツコツと積み上げていく。
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『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』や『ロボコップ』をはじめとする、名作の数々から培った技術が隅々まで込められ、作り手の愛情までも感じることができる。まさに本作が監督にとっての渾身の1作であることがうかがえる。
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最近では、キャラクターデザインやCG監修などを務めているフィル・ティペット。ストップモーションアニメという原点に返り、自らの手でコツコツと作り上げられた「地獄の世界」は、グロテスクながらもその質感の全てに生命力と共感が宿り、不思議と温かみまで感じられる。その独特の世界の創造に立ち会うかのような、圧倒されるメイキング映像となっている。
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『マッドゴッド』は12月2日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほか全国にて順次公開。