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運命に翻弄されながらも愛し合う…“パリの顔”エッフェル塔の誕生に秘められた恋とは

パリを代表する名所・エッフェル塔が“主役”ともいえる作品『エッフェル塔~創造者の愛~』が3月3日(金)に公開される。地上300m、100%鉄製という当時としては異例尽くしの建造物完成のドラマには、どんなロマンスが秘められているのだろう。

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『エッフェル塔~創造者の愛~』© 2021 VVZ Production – Pathé Films – Constantin Film Produktion – M6 Films
『エッフェル塔~創造者の愛~』© 2021 VVZ Production – Pathé Films – Constantin Film Produktion – M6 Films 全 15 枚
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パリを代表する名所といえば、街の中心にそびえ立つエッフェル塔。その美しい姿は、芸術の都を象徴するアイコンとして、世界中にエレガントな魅力を振りまき続けてきた。旅行意欲が再び高まっている今、パリを象徴するこのタワーにも注目が集まっている。来年2024年に開催されるパリ五輪ではエッフェル塔でも競技が行われるというのだから、ますます人気の観光スポットとなりそうだ。

映像の世界でも、この街を舞台にした作品は数知れず。TVドラマ「エミリー、パリへ行く」や映画『ミッドナイト・イン・パリ』などでエッフェル塔は印象的なシーンに登場している。そして今年、存在感ある脇役として長年活躍し続けてきたこの塔が“主役”ともいえる作品、『エッフェル塔~創造者の愛~』が公開される。描かれるのは、塔の創設者ギュスターヴ・エッフェルと運命の女性アドリエンヌの愛。地上300m、100%鉄製という当時としては異例尽くしの建造物完成のドラマには、どんなロマンスが秘められているのだろう。

エッフェル塔誕生の裏に隠された愛の物語


『エッフェル塔~創造者の愛~』は、パリの有名すぎるシンボルの建設を背景にした、壮大なラブストーリーだ。世界有数の人気観光スポットであるエッフェル塔は、1889年に「パリ万国博覧会」最大の呼び物として、ギュスターヴ・エッフェルにより建造された。彼の別名は“鉄の魔術師”。米国に送られた自由の女神の骨組みや、国内外での鉄橋の設計で、すでに名を馳せていた。

当初ギュスターヴは労働者の足となる地下鉄の建設に意欲的だったが、大臣からパーティで「戦争に敗れた今、我が国に必要なのは自由の女神のようなシンボルだ」と万博モニュメントのためのコンクール参加を要請されてしまう。久々に再会したジャーナリストから紹介された彼の妻アドリエンヌも、「ぜひ見てみたいわ。野心作を」と発言。するとエッフェルは表情を変え、その場で宣言する。「パリの真ん中に創る。ブルジョワも労働者も、垣根を越えて皆が楽しめるように。300mの塔をすべて金属で」と。

実はアドリエンヌは元恋人。階級の壁によって愛を引き裂かれた辛い過去が蘇っていたのだった。運命の再会を機に、モニュメント建設へと情熱を傾けはじめたギュスターヴ。制作権を獲得し、華々しくスタートを切ったものの、環境・景観破壊を理由に、市民やアーティスト、バチカンからも大反対を受けるなど、難題に次ぐ難題により完成は危ぶまれていく。そんな失意のエッフェルの前に姿を見せたのはアドリエンヌだった――。

万博モニュメントの制作に全く関心を示さなかったギュスターヴが突然心変わりしたのはなぜなのか。建設中止の危機に遭いながらも、彼が幾度もの危機を乗り越えられた理由は?

前代未聞の大プロジェクトにまつわる「歴史的ミステリー」を埋める答えとして、制作陣が史実をベースに自由な発想で導き出したのは、“大いなる愛の力”。「ギュスターヴとアドリエンヌが運命の再会を果たし再び惹かれ合った」という仮説は、エッフェルがなぜそこまで塔にこだわったのかという疑問に対する、大胆かつ、とても腑に落ちる推理と言える。ギュスターヴの息子が、アドリエンヌの姪と結婚したため、2人が再会していたことは確実。いったい何処までが史実でどこまでが創作なのか。歴史に記されなかった空白を想像しながら楽しめるのも本作の魅力だ。

運命に翻弄されながらも互いを思い続ける2人の崇高な愛は、天高く伸びやかに佇むエッフェル塔の強さや美しさと重なっていく。硬い鉄から、レースの様な繊細さとエレガンスを形作っていくギュスターヴの手腕を花開かせたのは、ミューズであるアドリエンヌへの愛。これこそがエッフェルの原動力であり、塔に秘められたメッセージなのだ。

愛こそあらゆる創造の源であることを思い出させてくれる本作。これからはきっとエッフェル塔を見るたびに、ひときわロマンティックな気持ちになることだろう。

ロマン・デュリス×エマ・マッキー
2つの才能が出会い実現


愛する人への強い思いをエッフェル塔へと昇華させていくギュスターヴを演じるのは、フランスを代表する名優ロマン・デュリス。『真夜中のピアニスト』『タイピスト!』、日本映画リメイクの『キャメラを止めるな!』での個性的な演技も印象深い。

ロマン自身、エッフェル塔は思い入れの強い建物で、「昔からずっと魔法のようなモニュメントだった」と語っている。「子どもの頃からずっと、エッフェル塔の側を通るとうっとりとする。エンジニアでありアーティストでもある主人公が仕事に逃げ込み、それが愛の告白になるとでもいうように、仕事を最後までやり遂げるというテーマに大きな魅力を感じた」と話し、厳しさの中にロマンティックな一面を覗かせるギュスターヴの魅力を存分に引き出した。

労働者階級のギュスターヴと惹かれ合う上流階級出身のアドリエンヌを演じたのは、注目の俳優エマ・マッキーだ。TV「セックス・エデュケーション」シリーズで高く評価され、英国アカデミー賞にノミネートされた実力派。2023年公開の注目作、実写版『Barbie』(原題)にも出演が決定。今回はフランス語での演技にも初挑戦し、演技の幅を広げ続けている。

階級制度が色濃く残り、ジェンダーの壁が今よりももっと厚い19世のヨーロッパにありながら、自由な精神を持つ現代的なアドリエンヌの人物像は、劇中の衣装でも表現されている。育ってきたブルジョワ世界に抗うように生きる彼女を象徴するのが、パンツスタイルだ。

フランスでは、1800年から2013年まで、ズボン着用禁止の条例が213年も続いていたことを考えると、かなり先進的なキャラクターと言える。成熟した女性としてドレスを纏った姿には貴婦人らしさが漂うが、若き日には活発な性格を物語る格式にこだわらないシンプルなドレスを好んでいるようにも見える。服装からも伺えるのは、「実(じつ)」にこだわる聡明な女性像。そんな彼女だからこその打ち明け話も後半で披露され、涙を誘う。

『エッフェル塔~創造者の愛~』メイキング

マルタン・ブルブロン監督は、アドリエンヌを演じたエマについてこう評している。「アドリエンヌに関する謎を表現してもらうのに、彼女以上の適任者は思いつかない。エマは才能豊かな人で、非常に誠実で直感的な演技をする。彼女の存在が、僕が求めていたコンテンポラリーな雰囲気を一段と高めてくれた」。「強い女性キャラクターを生き生きと描くことは、僕ら全員の望みだった。アドリエンヌは、自分が育ってきたブルジョワの世界に抗う女性で、必ずしも彼女に釣り合う相手ではなかった男性に関心を抱く。エマがそんな彼女を、元気さと優雅さをもって完璧に演じてくれている」。

ロマンとエマ。2つの才能が出会ったからこそ実現したのが、この壮大なラブストーリーだったと言えるだろう。


『エッフェル塔~創造者の愛~』公式サイト

<提供:キノフィルムズ>

《牧口じゅん》

映画、だけではありません。 牧口じゅん

通信社勤務、映画祭事務局スタッフを経て、映画ライターに。映画専門サイト、女性誌男性誌などでコラムやインタビュー記事を執筆。旅、グルメなどカルチャー系取材多数。ドッグマッサージセラピストの資格を持ち、動物をこよなく愛する。趣味はクラシック音楽鑑賞。

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