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「友情のおかげで彼らは生き抜くことができる」ダルデンヌ兄弟監督『トリとロキタ』インタビュー到着

ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督の最新作『トリとロキタ』から6年ぶりの来日を果たしたダルデンヌ兄弟のインタビュー映像が到着

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『トリとロキタ』ダルデンヌ兄弟インタビュー ©LES FILMS DU FLEUVE - ARCHIPEL 35 - SAVAGE FILM - FRANCE 2 CINÉMA - VOO et Be tv – PROXIMUS - RTBF(Télévision belge)
『トリとロキタ』ダルデンヌ兄弟インタビュー ©LES FILMS DU FLEUVE - ARCHIPEL 35 - SAVAGE FILM - FRANCE 2 CINÉMA - VOO et Be tv – PROXIMUS - RTBF(Télévision belge) 全 17 枚
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2度のカンヌ パルム・ドール受賞を誇るベルギーの名匠、ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督の最新作『トリとロキタ』。この度、2月末に6年ぶりの来日を果たしたダルデンヌ兄弟のインタビュー映像が到着。本作を手がけたきっかけや、本作に込めた想いなどの制作の裏側を深堀した濃厚なインタビューとなった。


>>『トリとロキタ』あらすじ&キャストはこちらから


『トリとロキタ』の製作のきっかけについて、ジャン=ピエール・ダルデンヌ監督は、「保護者を伴わない数百人の移民の子供たちがヨーロッパに渡ってきて消息を絶ち、誰も彼らがどうなったか分からない」という新聞記事を2年前に読んだことだと言い、「消息が分からなくなる理由は、彼らが闇組織に入ったり、売春させられていたり、最悪の場合は殺害されていることもある、ということでした」。

「その記事を読んで、私たちは自分たちが住んでいる国々でこうしたことがあっても、誰もそのことについてそんなに心配をしていないことに、強い憤りを感じました。そこで、このトリとロキタという、保護者のいないふたりの未成年の移民たちの話を“友情”を通して、彼らがいかにこの劣悪な環境で戦いながら生きているのかを描こうと思いました」と明かす。

そのトリとロキタを演じたのは、本作が演技初経験となるパブロ・シルズと、ジョエリー・ムブンドゥ。リハーサル期間は約5週間だったという。「ロキタが大麻栽培の倉庫に閉じ込められ、そこにトリが潜り込み、ふたりが再会するシーンの動きは、リハーサルで決まりました。シナリオでは“ようやく再会したふたりは抱き合う”と書いてあったのですが、パブロが『抱き合うんじゃなくてグータッチのほうがいいと思う』と提案しました」とジャン=ピエール監督は明かす。

「実際に撮影してみると、その方が美しいし、このシーンに合っていました。シナリオ通りに彼らが抱き合ってしまったら、ロキタの顔がカメラに収まらなかったけれど、グータッチだとロキタの笑顔を撮ることができたのです」。

また、本作のサスペンス的な手法から生まれる効果について問われたリュック・ダルデンヌ監督は、「確かにこの映画にはサスペンスがあります。トリとロキタの二人が今後どうなるのかわかりません。観客は『もしかしたら彼らは死んでしまうかもしれない』という気持ちでこの映画を観てくださると思います」と話す。

「二人の間には強い“友情”があり、この友情のおかげで彼らは逆境のなかでも生き抜くことができるのです。こうした撮り方をすることによって、観客の皆さんが主人公の二人と同化し、一体化することができます。彼らと一緒になって“怖い”とか“苦しい”とか“嬉しい”と感じてもらえる。実際に今の移民の生活は、明日がどうなるか分からない、不安定な生活を送っています」とコメントする。

ジャン=ピエール監督は今回の来日である話題が気になったそうで、「若い学生さんから聞いた話ですが、日本にコンゴから来ている移民の家族がいて、その家族の子供たちが日本で生まれているのにビザがもらえず困難な生活を強いられているということを知りました。高等教育を受けることが難しく、その支援を得ることも難しく、高校まで卒業しても大学進学はほとんど不可能だと。あってはならないことだと思いました」と関心を寄せる。

そして映画のメッセージについて、「私たちはこのふたりの主人公を小さな男の子と思春期の女の子という独立した“人間”として観てもらいたいと思いました」とリュック監督は話し、「“ある移民”のひとつのケースではなく、アフリカからやってきた黒人であるふたりの人生がこの映画で描かれているのです。彼らが着ている服やアクセサリー、彼らのまなざしや、彼らが使う言葉を通して、観客たちは彼らを唯一の存在であると思えるように描いています」と語っている。

『トリとロキタ』はヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、渋谷シネクイントほか全国にて順次公開中。

《シネマカフェ編集部》

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