祖国アルジェリアに生きる女性たちへの抑圧を描き、第72回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品された『パピチャ 未来へのランウェイ』のムニア・メドゥール監督が手掛けた最新作『裸足になって』。この度、クラシックバレエ未経験から約8か月の過酷なレッスンに挑戦、リナ・クードリが演じたクラシックバレエダンサーの卵、フーリアのレッスンシーンを切り取った本編特別映像がシネマカフェに到着した。
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北アフリカのイスラム国家、アルジェリアで、内戦の傷が癒えきらぬ不安定な社会の中でバレエダンサーになることを夢見るフーリア。映像は、そのフーリア(リナ・クードリ)が、過酷なレッスンに励む様子を捉えたもの。
教師は、たった1人だけ入団することのできるバレエ団へフーリアを導こうと全力で指導するが、肝心のフーリアはまだ自分の<ダンス>に対する迷いがあり、心が定まらず、どうしてもレッスンに身が入らない――。
個人の自由や身体を使った表現に規制があるアルジェリア。本作に登場するアルジェリア女性にとってはさらに困難であるという。メドゥール監督はそのことについて「まったくその通りです。ダンスの場合、プライベートな空間ではできても、公共の場で踊れる機会はとても限られています。女性の体はタブーなのです」と話す。
「ダンスをする女性は表現をしたい女性で、習慣や貞操が体系化されている父権性の伝統を重んじる社会では有害とされてしまうのです。考え方を変える必要があるけれど、まだまだ道のりは長いですね」と語っている。
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やがて、ろうの女性たちと出会う主人公フーリアのダンスは、手話をモチーフにしたコンテンポラリーダンスへ。言語の壁を超えた肉体表現として、どんな台詞よりも雄弁に私たちにその想いを訴えかける。監督の前作『パピチャ 未来へのランウェイ』やウェス・アンダーソン監督『フレンチ・ディスパッチザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』でティモシー・シャラメらと共演し、キュートな存在感を放ったアルジェリア出身のリナ・クードリが主人公フーリアを体当たりで演じている。
『裸足になって』は7月21日(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開。