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豪華キャストと心の琴線に触れるテーマに注目! これまでのポアロの謎解き&最新作を深堀り

“名探偵ポアロ”シリーズ最新作『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』が9月15日(金)より全国で封切りとなる。最新作の公開を前に、これまでのポアロの謎解きと活躍を振り返りつつ、3作目の魅力と見所をご紹介したい。

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『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』Ⓒ2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』Ⓒ2023 20th Century Studios. All Rights Reserved. 全 14 枚
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“ミステリーの女王”アガサ・クリスティの名作小説を、ケネス・ブラナー製作・監督・主演で映画化する “名探偵ポアロ”シリーズ最新作『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』が9月15日(金)より全国で封切りとなる。これまでに公開された前2作『オリエント急行殺人事件』『ナイル殺人事件』同様、超豪華キャストが集結。最新作の公開を前に、これまでのポアロの謎解きと活躍を振り返りつつ、3作目の魅力と見所をご紹介したい。


『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』公式サイト

~復讐、そして善と悪を問う~
『オリエント急行殺人事件』


『オリエント急行殺人事件』 (c)2023 20th Century Studios. All Rights Reserved. ディズニープラスで配信中

※以下、『オリエント急行殺人事件』のネタバレを含む表現があります。ご注意ください。


アガサ・クリスティの言わずと知れた代表作で、そのプロットや結末がミステリー小説の歴史を変えたと評される『オリエント急行殺人事件』。2017年にはケネス・ブラナーが監督し、エルキュール・ポアロ役で自ら主演を務めた。

舞台となるのはトルコのイスタンブールからフランスのカレーへ向かうオリエント急行。仕事を終えたポアロが英国に戻るべく乗った列車には、彼の友人を含め様々な国籍と職業の乗客がいた。その一人で、被害者となるのが大富豪のラチェットだ。「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズでも知られるハリウッドの大スター、ジョニー・デップが不遜な態度の人物を嫌みたっぷりに演じ、観る者に圧倒的な印象を与えている。その他、デイジー・リドリー、オリヴィア・コールマン、ジュディ・デンチ、ミシェル・ファイファー、ペネロペ・クルスら主役級の俳優陣が顔を揃え、素性を隠しポアロを煙に巻く乗客たちを巧みに演じている。

『オリエント急行殺人事件』 (c)2023 20th Century Studios. All Rights Reserved. ディズニープラスで配信中

豪雪で緊急停止した密室状態の客室でラチェットが死体となって発見されるため、すべての登場人物が容疑者だ。手がかりは12の刺し跡と、過去に起きた富豪アームストロング家令嬢誘拐殺人事件について書かれたメモ。ここからどのようにポアロが犯人へと辿り着くかが見物だ。

本作のユニークな点は、実際には名探偵が真実を読み誤る所だろう。ポアロとその友人を除くすべての乗客が、アームストロング家の関係者。誘拐殺人犯でありながら、素性を隠して大富豪に上り詰めたラチェットに恨みを抱いていたのだ。本作のテーマは、きれい事では片付けられない「善と悪の境界線」。被害者が過去に起こった誘拐事件の殺人犯へ個人的に制裁を科すという「復讐劇」に、ありきたりな正義感を超えてポアロが到達する結論は極めてエモーショナル。人間ドラマの名手でもあるクリスティの真骨頂と呼べる一作だ。


~殺人の動機は愛か金か~
『ナイル殺人事件』


『ナイル殺人事件』(c)2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.ディズニープラスで配信中

※以下、『ナイル殺人事件』のネタバレを含む表現があります。ご注意ください。


シリーズ2作目は、2022年に公開された『ナイル殺人事件』。前作同様、豪華なキャストで注目を集めた。悲劇のヒロインは、莫大な遺産を相続した美貌のアメリカ人リネット。新婚旅行で訪れたエジプトで彼女が殺害されたことを発端に、ナイル川に浮かんだクルーズ船上で連続殺人事件が起こる。原因は愛憎なのか、財産なのか……。

リネットを演じるのは、イスラエル出身の製作者にして俳優、「ワイルド・スピード」シリーズや『ワンダーウーマン』でも知られるガル・ガドットだ。玉の輿に乗った彼女の夫にアーミー・ハマー。彼の元恋人で、リネットの親友でもあるジャクリーンにエマ・マッキー。ポアロの親友ブークを演じるのはトム・ベイトマン。アネット・ベニング扮する母親とともに結婚祝賀クルーズに参加し、事件に巻き込まれる。有名歌手の姪ロザリーとしてレティーシャ・ライトも参戦。ブークとロザリーの階級違いの秘恋も、悲劇を加速させてしまう。

『ナイル殺人事件』(c)2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.ディズニープラスで配信中

本作の見所は、ポアロによるアリバイ崩し。誰もがアリバイを持っているという不自然な状況を、聞き取り調査や鋭い観察眼により斬り崩していく。愛する夫と友人たちを招待した新婚旅行という幸せな瞬間でも、莫大な資産ゆえ誰も信じられないとポアロに語っていたリネット。彼女の周囲に渦巻く様々な思惑が交差しリネットから愛、お金、人生の全てを奪い取ろうとしたことに人間の闇の深さを感じてしまう物語だ。

ミスリードがミスリードを呼ぶ構造に、犯人像も二転三転。ブークが事件解決を困難にしていく予想外のシナリオなど、トリックと人間模様の複雑さは随一。エジプト有数の観光地を転々としながら展開するクラシカルでエレガントな世界観にも、クリスティ作品の伝統を色濃く感じる一作だ。


『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』
アカデミー賞を受賞したミシェル・ヨーがついに参戦!


シリーズ最新作は、イタリアの邸宅で起こる怪奇現象の謎を解くミステリー『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』だ。“水の都”で隠遁生活を送っていたポアロは、作家のアリアドニ・オリヴァから、子供の霊が出ると噂される屋敷での降霊会へと誘われる。ある女性が、自邸で自殺をした娘の霊と話をしたいと霊能者を招いたのだ。霊能者の“超常現象”を見破るべく意気込むポアロだったが、招待客が不可思議な方法で殺害され、自身まで命を狙われてしまう。やがて荒天に見舞われ、“水の都”にある邸宅は陸の孤立。霊の存在など信じないポアロの耳にも謎の歌声が聞こえはじめ……。果たして、犯人は亡霊なのか。

霊能者レイノルズを、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で2023年のアカデミー賞主演女優賞に初ノミネートされ、見事受賞したミシェル・ヨーが熱演。不気味な佇まい、ポアロから疑いの目を向けられながらも髪を振り乱しトランス状態に陥る様など、オスカー級の怪演だけでも見応え十分だ。

ブラナーは1989年に映画監督&主演デビューを果たした『ヘンリー五世』で、オスカーに初ノミネートされている。共に初主演作でアカデミーに認められた二人が直接対決。華やかな競演からも目が離せない。


今回のテーマは「怖れ」
事件の裏に隠された人間ドラマも見どころ


大人気シリーズとなったケネス・ブラナー版“名探偵ポアロ”シリーズ。最新作『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』でモチーフとなっているのは、迷信や霊、そして消すことのできない過去への後悔など、目に見えない存在への「怖れ」だ。

心霊現象など信じていないポアロだが、降霊会のため向かった邸宅で、不可思議な現象に翻弄される。「秩序」を重んじる名探偵ですら屋敷を包み込む恐怖に飲み込まれ、事件の解明は難航。その過程で色濃く浮き彫りになっていくのがポアロの人物像だ。

ブラナーは、3作を通してポアロの人物描写にも余念が無い。1作目では気難しいながらも、繊細で情にもろいというキャラクターであることが明かされた。前作では戦争で顔に傷を負ったことがカイゼル髭を生やした理由である事実がわかり、「唯一愛した女性を戦争で失い、その後探偵となって一人で過ごすうちにこういう人間になってしまった」と自らの抱える孤独や後悔をも告白している。前2作で丁寧に積み重ねられてきた人物像が、物語に一層の説得力をもたらすのがブラナー版ポアロの魅力でもあり、殺人の動機の解明、そこに至る人間ドラマにも一段と奥行きが増す。ポアロ自身の大切な存在を失った経験が、娘を亡くした女主人の寂しさに共鳴したと考えれば、本作で自身を危険にさらしながらも迷宮に入り込んでいくのも納得だ。

また、心に傷を負う身ゆえ、人の痛みに敏感だからだろうか。あえて容疑者の傷をえぐる鋭い話術で尋問を繰り返す。そうして、容疑者たちの動揺、証言のわずかなズレ、言動が放つ何気ないメッセージ、見え隠れする弱みやエゴを手がかりに、過去や嘘、本音を暴き出していく。好人物ではないように見えて、ポアロが垣間見せる思いやりや人間臭さは観客の心を捉えて放さない。そんな彼が辿り着くのは、いつだって「心の琴線に触れる結末」なのだ。今回も例外ではない。

ポワロシリーズの魅力は謎解きと人間ドラマ。本作も、人が人を想う気持ちの深さが悲劇を生む。クリスティとブラナーというドラマの名手が描く、ヒューマンミステリーの傑作と言えるだろう。

今回も前2作同様、密室で事件が起こるうえ、超常現象におびえる人々、怪しげな霊能者、人間には為し得ないような犯行が何ともミステリアスだ。さらに、お化け屋敷に足を踏み入れたかのような不穏な空気に劇場全体が包まれるというところも、エンターテインメント性が極めて高い。

果たして、超常現象に挑む今回のポアロは、いったいどんな真実を導き出すのか。ぜひ劇場で確かめてみて欲しい。


『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』公式サイト

『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』は9月15日(金)より全国にて公開。

(C) 2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

〈提供:ウォルト・ディズニー・ジャパン〉

《牧口じゅん》

映画、だけではありません。 牧口じゅん

通信社勤務、映画祭事務局スタッフを経て、映画ライターに。映画専門サイト、女性誌男性誌などでコラムやインタビュー記事を執筆。旅、グルメなどカルチャー系取材多数。ドッグマッサージセラピストの資格を持ち、動物をこよなく愛する。趣味はクラシック音楽鑑賞。

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