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【ネタバレあり】「ロキ」S2・2話 シルヴィを探すロキはやっぱりヴィラン!? あの大人気ドラマをもじったタイトルの妙

トム・ヒドルストンが主演を務める「ロキ」シーズン2の第2話「ブレイキング・ブラッド」が配信。ロキは新たなクセ者ブラッド・ウルフに振り回されている。

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「ロキ」シーズン2 ・2話 (c) 2023 Marvel
「ロキ」シーズン2 ・2話 (c) 2023 Marvel 全 8 枚
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MCUが誇るギャップ王子、トム・ヒドルストンが主演を務める「ロキ」シーズン2の第2話が配信。相棒メビウス(オーウェン・ウィルソン)とO.B.(キー・ホイ・クァン)の尽力で何とかタイムスリップ現象が収まったロキ。

今回は1977年のロンドン、とある映画のプレミア会場から幕を開ける。そこでは、ロキに負けず劣らず口達者なTVAのハンターX5がブラッド・ウルフという名の映画スターとなっていた。


新たなクセ者ブラッド・ウルフに振り回されるロキ


神聖時間軸の1977年・ロンドンにやってきたロキとメビウス。ブラッド・ウルフことX5の主演映画『ザニアック!』のプレミア会場で彼を捕らえた2人は、シルヴィの居所を聞きだそうとする。ザニアックとは原作コミックではヴィランのキャラクター。また、劇場にはMCUの『エターナルズ』でボリウッド映画のスターを“演じてきた”キンゴ(クメイル・ナンジアニ)のポスターもちゃっかり映り込んでいる。

シルヴィを追跡する任務中に姿を消したX5ことブラッドは、神聖時間軸では映画スターらしく、拡がり続ける時間の分岐を剪定=破壊・虐殺することに疲弊したのか、任務を放棄し神聖時間軸で好きなことをして生きていくことに決めたようだ。

『ザニアック!』プレミアに現れたロキとメビウスは当時のフォーマルスーツと蝶ネクタイでキメている。特にトム・ヒドルストンにフリルシャツはベストマッチ。その上、久々にロキが分身や幻影といった魔術を発動する姿を目にすることもできた。

さらに、ロキがTVAに初めて来たときとは立場が逆転、今回はX5ことブラッドが“囚人服”を来て首枷をつけられ、御託を並べることになる。そんなブラッドは神聖時間軸でのロキの未来についてファイルを読んだという。『アベンジャーズ』後の『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』時、彼が敵側についたせいで最愛の母フリッガが亡くなることになった未来である。

取り調べ中に母親のことをブラッドに持ち出され、一瞬、冷静さを失うロキ。ブラッドはロキに匹敵するほど頭がキレ、とにかく憎たらしいほど口が巧い。演じるのは、サンダンス映画祭などで絶賛を受けた『ブラインドスポッティング』やそのTVシリーズ化でもクリエイターを務めているラファエル・カザル。第2話のMVPである。

本シリーズ「ロキ」のロキは、神聖時間軸での未来ーー母の死や父オーディンの死、アスガルドを失うラグナロク、そして自身の死をTVAの映像で一応確認している。とはいえ、『ダーク・ワールド』や『バトルロイヤル』でロキの悪戯・悪行にもはや慣れたソーが兄弟関係を見直し、ある程度“距離を置く”ことでその関係に均衡がもたらされた後、兄弟一緒に新たな故郷を探しに行こうとしていたロキとは違う。

ロキがブラッドから「いままでの悪事の数々を償っているだけ」「お前はヴィランだ」「トラブルの元はお前とその変異体たちだ」と言われている姿を見て、改めてそれを再認識する。1977年ロンドンでのブラッドの追い詰め方は、まさに『アベンジャーズ』のころのロキ。いや、それ以上かも。「ロキ」シーズン1では影をひそめていたが、ロキはそもそも嘘と悪戯の神なのだ。

第2話タイトルの「ブレイキング・ブラッド」のとおり、シルヴィの居場所を聞き出すためなら拷問まがいの追及をして、いまにもブラッドを粉々に潰してしまいそう(Breaking Brad)な勢い。

しかもこのタイトルは、しがない高校教師が麻薬ビジネスに手を染めていく人気海外ドラマ「ブレイキング・バッド」にも引っかけている。「Breaking Bad」には「道を踏み外す。悪事に手を染める。法やルールを破る」といった意味があり、ブラッドのそそのかしにより“悪事”を働くことを思い出したロキのヴィランぶりが顔を出してきた。道を外れるとは、神聖時間軸から分岐した変異体であるロキそのもののようでもある。

また、ブラッドの挑発を何とか堪えたロキとは違い、本当の自分の人生を知ることを恐れているかのようなメビウスは、ブラッドに「ひとりぼっちのノーホェア・マン(you're just a Nowhere Man)」と煽られたところで思わず彼を殴ってしまう、という道の外れ方をした。「Nowhere Man」はビートルズの1965年発表の楽曲で邦題は「ひとりぼっちのあいつ」。「自分の見たいものだけを見ている」「世界は君の意のままなのに、何を見失っているかわかっていない」といった意味の歌詞もある。

そんなメビウスを、緑色のキーライムパイを食べながら『アベンジャーズ』での自身の経験を持ち出して慰めるロキ。2人の友情は日に日に強まっている。


ロキとシルヴィが気まずい再会…2人の思いは平行線


一方、シルヴィは第1話のポストクレジットで明かされたように、分岐時間軸の1982年のオクラホマ州ブロクストンにいる。マクドナルドの店員として働いて新しい人生を始めようとしており、シーズン1のラストでロキが願ったように「いま幸せだ」という。

ロキとは“時の終わり”で、“在り続ける者”を生かすか殺すか争って以来の再会。2人の間にはピリついた緊張の時間が流れる。この上なく気まずい別れ方をした元恋人同士といった感じ。「自分自身との関係では問題が多い」とメビウスも言うように、自分自身と向き合うことが最も難しい。

ロキはシルヴィに、なぜ未来の崩壊寸前のTVAにいたのかを問うが、シルヴィは「あそこには戻らない」とキッパリ。未来が決められた世界は、シルヴィが終わらせた。いまでは皆が自由意思で人生を選べるようになったのだ(だからこそ、分岐が拡がり続けているのだが)。

そんななか、分岐時間軸の1982年のマクドナルドからすぐにも逃げ出したそうなブラッド。実は彼の上司、ドックス将軍はすべての分岐の剪定=総攻撃を目論んでいた。それぞれの時間軸で、それぞれの自由意志で人生を謳歌している人たちが数えきれないほどいるのに、それをすべて破壊し大量虐殺を行おうとしていた。

ドックス将軍役は、「ゲーム・オブ・スローンズ」で“暴走する”母ライサ・タリーを演じていたことが印象深いケイト・ディッキーだ。

全剪定を防ごうとするロキとシルヴィ、メビウスが組んだアクションは初めて目にする光景。息の合ったチームプレイを見せる。ロキとシルヴィはさっきまでの気まずい元恋人同士が嘘のように、手を繫いで魔力を倍増させてドックス将軍の暴走をくい止めるが、時すでに遅し。シルヴィのように誰かに決められた未来ではない、いまを自由に生きていた人々が跡形もなく消し去られていく。

それを目の当たりにしたシルヴィは「TVAが問題そのもの。壊れているし腐り切っている」と言い放ち、分岐時間軸のオクラホマに戻っていった。その手には“在り続ける者”を倒したときに受け取った謎のタイムパッド(?)がある。マクドナルドで仲良くなった同僚ジャックと「明日」のことを話して別れるが、この時間軸に「明日」は訪れないかもしれない…。シルヴィがタイムパッドを手に何を思うのか、気になるところだ。

そしてロキは、TVAの存在意義を知ってしまった以上、破壊と虐殺は止めたいが、今後はTVAの機能回復を最優先に動いていくことになるだろうか。ロキとシルヴィは同じ人物でありながら相変わらず真逆の立場だ。

そのカギとなる“時間練り機”の制御室で、ウロボロスことO.B.とケイシーが出会ったシーンは面白かった。おそらくケイシーはO.B.が記したTVAガイドブックを隅から隅まで読み尽くしている数少ない人物。思わずサインをお願いしてしまうほど、O.B.の大ファンなのだ。

ケイシーという強い味方が加わったいま、ロキたちは時間練り機を正常化させてTVAの崩壊を防ぐことができるのだろうか。物語の行方はまだまだ読めない。

「ロキ」シーズン2は毎週金曜10時~ディズニープラスにて配信中(全6話)。
(米国サマータイム終了に伴い11月10日(金)は午前11時から配信)


Disney+公式サイトはこちら



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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

《上原礼子》

「好き」が増え続けるライター 上原礼子

出版社、編集プロダクションにて情報誌・女性誌ほか、看護専門誌の映画欄を長年担当。海外ドラマ・韓国ドラマ・K-POPなどにもハマり、ご縁あって「好き」を書くことに。ポン・ジュノ監督の言葉どおり「字幕の1インチ」を超えていくことが楽しい。保護猫の執事。LGBTQ+ Ally。レイア姫は永遠の心のヒーロー。

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