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「めがね県」誕生の秘話を描いた映画『おしょりん』と舞台・福井県の魅力

映画『おしょりん』の見所をご紹介しながら、一度は訪れてみたい観光地も多いこの地の魅力も紐解いていきたい。

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『おしょりん』©「おしょりん」制作委員会
『おしょりん』©「おしょりん」制作委員会 全 10 枚
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福井県を舞台にした映画『おしょりん』が11月3日に公開となる(福井県先行公開中)。同県は、日本製めがねフレームの実に95%を生産。本作では、この地でめがねが生産されるようになった“はじまり”が描かれている。

2024年3月には、東京~金沢間を結んでいた北陸新幹線が福井まで延伸することが決定し、さらに注目が集まっている県でもあるのだ。美しい自然、美味しい海産物など北陸の魅力を凝縮したような場所であることはもちろん、永平寺恐竜博物館など世界から注目を集めるスポットもある。福井オールロケにより「めがね県」誕生の秘話を描いた映画『おしょりん』の見所をご紹介しながら、一度は訪れてみたい観光地も多いこの地の魅力も紐解いていきたい。


『おしょりん』公式サイト

北陸新幹線の延伸をきっかけに訪れたい!
福井県おすすめの観光スポット


石川県、富山県と並び、北陸三県と称されながらも、唯一アクセスが限られていた福井県。映画冒頭に流れる「福井県ニュース」でも報道されているが、2024年3月、県民待望の北陸新幹線の延伸がついに実現する。金沢-敦賀間が開通し、各地からの旅が格段に便利になるのだ。

それにより、今さらに注目が集まっている福井県。美しい自然、美味しいお米やお酒に野菜、そして豊かな日本海からの海産物などに恵まれた、北陸の魅力を凝縮したような場所だ。さらには、禅の宗派・曹洞宗の大本山、永平寺のお膝元として世界的にも注目を集めている。

そしてもうひとつ、世界的な施設が。それが、2023年7月にリニューアルしたばかりの福井県立恐竜博物館だ。恐竜化石の一大産地である福井県勝山市にあり、4,500㎡という広大な展示室に、50体もの恐竜骨格、千数百もの標本、大型模型などを展示。カナダ、中国の施設に並ぶ世界三大恐竜博物館の一つであり、日本における恐竜研究の中心地となっている。映画の冒頭とエンディングに登場する印象的な雪原は、博物館のすぐそばで撮影された。

県内有数の名勝地であり国の天然記念物に指定されている東尋坊があるのは、坂井市三国町。約1kmにもおよぶ柱状節理が海にせり出したダイナミックな光景は世界三大奇勝にも数えられる。近くには、銀行のシーンが撮影された旧森田銀行本店や、めがね問屋の場面に使われた三国特有の建築様式「かぐら建て」の町屋、旧岸名家がある。

また、映画には登場しないが、福井県には他にも楽しみが盛りだくさんだ。あわら温泉は明治16年から続く、74もの異なる泉質・効能の源泉を持つ名湯。宿には新鮮な海産物、特に冬期には極上の越前ガニを求めて全国から観光客が集まる。来年春には、北陸新幹線の駅も開業しますます賑わいを見せそうだ。

そして福井観光で絶対に外せないのが、鯖江市のめがねミュージアム。『おしょりん』の撮影に貸し出された、かつてめがね作りに用いた貴重な道具も展示されている。福井市から鯖江市にかけては、めがねをモチーフにしたモニュメントや柵、ベンチなどがあるので、それらを探しながらの散策も楽しい。「映画『おしょりん』ロケ地MAP」には、撮影地にまつわる観光情報が詰まっているので、入手してゆかりの地めぐりなどいかがだろう。


めがねづくりの“聖地”になるまでを描いた『おしょりん』


映画冒頭、新幹線はトンネルを抜けると蒸気機関車に変身し、現在から明治時代へタイプトリップ。するとそこは明治37年、福井県の豪雪地帯だ。ヒロインは、庄屋の長男・増永五左衛門と結婚したむめ。『おしょりん』は、雪のため冬は農作業ができず収入が断たれる村を助けようと、通年稼働できる産業として、めがね工場をゼロから立ち上げた五左衛門と幸八兄弟と、二人を励まし、支え続けたむめの物語だ。無謀とも言える事業ながら、越前和紙、越前打刃物、越前漆器などの優秀な職人が多くいた福井の力を信じ、情熱を持って挑戦し続けた家族愛のストーリーと言ってもいいだろう。

当時の村人にとって未知の存在だった「めがね」というツールが、いかに優秀で、可能性を秘めているかを増永家の人々に説得する幸八を、絶妙のアイディアで援護射撃。家族をひとつにまとめようと心を砕き、資金繰りが難しくなると喜んで嫁入り道具をも質に出すなど、時には驚くほどの芯の強さを見せるむめを、主演の北乃きいが大らかに、ほがらかに演じている。職人たちの心の支えとなる大きな包容力で、めがね作り成功の影の立役者を見事に体現した。女性が「自由」を選べるようになった時代に、むめがあえて選んだ苦労の多い、だが輝くような生き様も必見だ。

かければ一瞬で、世界の見え方だけでなく、人生すらすっかり変えてしまう「めがね」。本作の見所は、身体の一部となるようなめがね作りに精魂込める人々の職人魂と、彼らの7年間の奮闘、それを支える家族の覚悟と温かな愛だ。史実をもとに、福井がめがねの聖地となった成り立ちを追いかける本作は、日本のものづくり精神にも触れることができる作品となっている。
 
もうひとつの見所は、むめと幸八の淡い恋だろう。むめが、夫となる五左衛門よりも前に知り合っていたのが、森崎ウィン演じるその弟・幸八。彼は明治という新時代の申し子のような存在で、「おしょりん」を体現する人物でもある。「おしょりん」とは、雪深い福井の一地域で使われている言葉。厳冬期から春へと移り変わる時期に起きる現象で、溶けた雪の表面が夜の間に硬く冷え固まり、足が沈むことなく歩くことができる。それは、雪に閉ざされた地方が春を迎え、外界への扉が開いたという希望を感じさせる現象でもある。東京や大阪で自由に暮らし珍しい異国文化に触れていた幸八は、新しい世界への好奇心を隠さない。諦めずどこまでも前に進もうとする“おしょりん”魂は、めがね作りにかける情熱にも投影されている。困難に思える道でも常にポジティブに前進しようとする彼は、この物語のエンジンでもあるのだ。

最初に出会った頃から、互いに好意を抱いていたむめと幸八だったが、運命により義姉弟となる。決して口にはできない想いを、二人がめがね作りの情熱へと昇華させていく姿はとても切ない。だがやがて、同じ目標に向かう五左衛門とむめ、そして幸八は、家族として、また同志として固い絆で結ばれていく。その軌跡はとても感動的だ。

そんな心動かされる7年間を彩っているのが、四季折々の美しい福井の景観。雪に覆われた一面の銀世界、赤く色づく紅葉、そして「コシヒカリ」発祥の米どころらしい青々とした田園風景も見ものだ。もちろん、オール福井県ロケ。出演者たちは県内各地を巡り、土地に親しんだ。森崎ウィンは食の豊かさに惚れ込んだようで、「日本酒『黒龍』は美味しすぎて大好きになりました!」と語り、特にお気に入りとなったやきとりの名門「秋吉」には撮影中に5~6回は通ったとも。「お肉がすべて小ぶりなので何十本も食べられる。特に「純けい」が気に入りました」と、福井県滞在をプライベートでも大いに堪能したことを披露している。


『おしょりん』公式サイト

〈提供:KADOKAWA〉

《牧口じゅん》

映画、だけではありません。 牧口じゅん

通信社勤務、映画祭事務局スタッフを経て、映画ライターに。映画専門サイト、女性誌男性誌などでコラムやインタビュー記事を執筆。旅、グルメなどカルチャー系取材多数。ドッグマッサージセラピストの資格を持ち、動物をこよなく愛する。趣味はクラシック音楽鑑賞。

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