『女王陛下のお気に入り』のヨルゴス・ランティモス監督、エマ・ストーンが再集結して描く映画『哀れなるものたち』。本作で、エマ・ストーン演じる主人公ベラを誘惑し、“新しい世界”へと連れ出す放蕩者の弁護士を演じたのは、マーベル作品のハルク役で知られるマーク・ラファロ。不純な心を隠しながら大人の雰囲気を醸し出すダンカン・ウェダバーン役で新境地を魅せている。
世界的大ヒットとなったマーベルスタジオの『アベンジャーズ』シリーズでブルース・バナー/ハルク役を演じた俳優マーク・ラファロ。『キッズ・オールライト』(10)でアカデミー賞、英国アカデミー賞に、『フォックスキャッチャー』(14)でアカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞、英国アカデミー賞にノミネートされた後、実話を基に製作された『スポットライト 世紀のスクープ』(15)で実に3度目のアカデミー賞にノミネートを果たしているハリウッドきっての実力派だ。
その確かな演技力は本作でも遺憾なく発揮されており、先日発表された第95回ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞では助演男優賞を見事受賞。さらに第81回ゴールデン・グローブ賞でも共演のウィレム・デフォーとともに助演男優賞へノミネートされ、アカデミー賞をはじめこれからの映画賞にも期待がかけられている。
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そんなマークが本作で演じるのは、籠の鳥だった主人公ベラ(エマ・ストーン)をリスボンへ連れ出す弁護士ダンカン・ウェダバーン。
ベラを生みだした天才外科医ゴッドウィン・バクスター(ウィレム・デフォー)から彼女と助手のマックス(ラミー・ユセフ)の結婚契約書の作成を依頼されゴッドウィン邸にやってくるものの、いままで自身が出会ってきた数多くの女性とまるで違うエキセントリックな魅力を放つベラを一目で気に入り、「世界を自分の目で見たい」と瞳を輝かせるベラを誘惑して旅へと誘う。
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マークにとって、この役はこれまでにない経験となったという。「邪悪で、淫らで不遜なユーモアに満ちていました」とふり返り、「私はヨルゴス(監督)の大ファンなので、出演して彼を失望させないかと緊張していました。そしてこれまで英国アクセントの役を演じたことがなく、この時代設定も初めてです」と打ち明ける。
「最終的には、友人から“常に不安に挑戦することで成長できる”と言われました」と続け、輝かしい彼のキャリアをもってしてもダンカンという役は挑戦となった様子だ。
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また、欲望にまみれ、ときには目も当てられないほどベラに翻弄されていくダンカンを彼が演じていることについて、エマは「ヨルゴスのキャスティングが見事だったということです。マークのように感情豊かで繊細な人が、この種の人物を演じるなんて想像もしないでしょう。そして彼は見事に演じました。彼がこの領域に踏み込むのを見るのは衝撃的でした」とコメントし、ヒーローや温厚な役柄を演じるイメージの強いマークが本作で魅せた新境地について賞賛を贈っている。
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反抗的で大胆なベラと支配欲が強く猛烈なナルシストのダンカンは、まるで「ヴィクトリア朝時代のシドとナンシー」とマークは表現。強烈に惹かれ合い、恋に落ちていく危うい2人の関係性にも注目しつつ、ベラの冒険の旅を見守ってほしい。
『哀れなるものたち』は2024年1月26日(金)より全国にて公開。