映画『梟ーフクロウー』での狂気的な王も記憶に新しく、ヒョンビンと競演した人気シリーズ『コンフィデンシャル』でも味のある演技を見せる韓国の国民的俳優ユ・ヘジン。
1997年に映画『ブラックジャック』でデビュー以来多くの韓国映画に出演、青龍映画賞や大鐘賞など数々の映画賞で受賞しており、幅広い世代に人気。同業者の俳優たちからも尊敬を集めるユ・ヘジンが初めて挑んだロマンティックコメディ『マイ・スイート・ハニー』の日本公開を記念して、名俳優ユ・ヘジン出演の見るべき傑作映画5選をピックアップした。

1.映画『LUCK-KEY/ラッキー』(2017年公開)
100%の成功率を誇る伝説の殺し屋ヒョヌクがたまたま立ち寄った銭湯で頭を強打し記憶喪失となってしまう。さらにその場に居合わせた売れない貧乏役者ジェソンが、ヒョヌクのロッカーの鍵をすり替えてしまったことで2人の立場が入れ替わってしまうアクションコメディ。

日本アカデミー賞を受賞した『鍵泥棒のメソッド』の韓国リメイク版。シリアスからコミカルまで、悪人から善人まで、アクションも恋愛も盛りだくさんなユ・ヘジンのあらゆる魅力を見せてくれる作品。本国では初登場1位&観客動員数約700万人の大ヒットを記録。ユ・ヘジンは本作で第12回大韓民国大学映画祭主演男優賞を受賞している。
2.映画『タクシー運転手~約束は海を越えて~』(2018年公開)
1980年5月に韓国で多数の死傷者を出した光州事件を世界に伝えたドイツ人記者と、彼を事件の現場まで送り届けたタクシー運転手の実話をベースに描き、韓国で1200万人を動員する大ヒットを記録したヒューマンドラマ。

情に厚い光州のタクシー運転手ファン・テスルを演じたユ・ヘジンは妻と息子を持つ平凡な家長で、市井の人。でも困っている人がいれば必ず助けるという、道理に忠実な光州人を演じた。当時、光州事件に直面した人々の日常と感情の動きがユ・ヘジンを通じて鮮明に見えてくる。
過ぎ去った過去の物語ではなく、現在を生きている人々のストーリーとして観客の心に迫り来るユ・ヘジンの演技は高く評価され、第37回韓国映画評論家協会賞助演男優賞を受賞している。
3.映画『コンフィデンシャル:国際共助捜査』(2023年公開)
世界的な大ヒット韓国ドラマ「愛の不時着」で話題となったヒョンビンの同作後初となる主演映画で、北朝鮮から逃亡した国際犯罪組織のリーダーを追って、北朝鮮捜査員と韓国のベテラン刑事、FBI捜査官の思惑が交錯する。

韓国で5週連続1位を記録したスパイアクション。長年にわたり確固たるファン層を築いてきたユ・ヘジンが、『コンフィデンシャル/共助』に続いて人間味ある刑事としてキャラクターに命を吹き込み、ユーモアとアクションでスクリーンを鮮やかに彩っている。

4.映画『梟ーフクロウー』(2024年公開)
17世紀・朝鮮王朝時代の記録物「仁祖実録」に記された“怪奇の死”にまつわる謎を題材に、盲目の目撃者が謎めいた死の真相を暴くため奔走する姿を予測不可能な展開で緊張感たっぷりに描き、韓国で大ヒットを記録したサスペンススリラー。

これまでのコミカルな役のイメージを覆し、本作で初めて王の役を引き受けたユ・ヘジンは朝鮮王朝第16代国王・仁祖の心理的な変化を表現するために「彼の心理状態と合った役を演じようと努力した」と語っており、特殊メイクを使わずに、顔の筋肉の僅かな痙攣を操るという超人的な演技力を見せている。

5.映画『マイ・スイート・ハニー』(2024年)
仕事中毒の製菓会社の研究員チャ・チホ45歳が、明るく何事にもポジティブなシングルマザーのイ・イルヨンと出会ったことで初めて恋を知る物語。コミカルな役からシリアスな役までこれまで様々な人物を演じてきたユ・ヘジンが、俳優キャリア27年目にして初めて挑むロマンティックコメディ。

他人との関係をうまく築けず、恋もしたことがない極端に内向的な人間だったチホが、イルヨンとの出会いを起点として様々な変化を見せていく様子をユ・ヘジンは初々しく真っ直ぐに演じた。

それが逆にコメディの強度を上げ、物語の面白さも相まって公開初日から19日間で観客動員数100万人超えの大ヒット、さらには第28回春史国際映画祭で審査委員特別賞の俳優部門、監督部門を受覚するなど、本国では多くの観客に愛される映画となった。

主演でも助演でもどんな役でも自身の魅力を発する、ユ・ヘジン。普遍さと個性を兼ね備えた存在感ある演技は、これからも目が離せない。
『マイ・スイート・ハニー』は5月3日(金)より丸の内ピカデリーほか全国にて公開。