ねこじゃらしは、世界初の動画流通の枠組みであるDVT(デジタル・ビデオ・トレーディング)プラットフォーム「Roadstead」にて、第74回ベルリン国際映画祭正式招待作品の黒沢清監督作『Chime』を4月12日(金)より世界同時販売する。
DVTとは、映像作品を「消費する一過性のコンテンツ」ではなく、「コレクションする価値ある資産」として扱う、Roadstead が提唱する映像流通の新しい枠組み。映像を数量制限なく配信するプラットフォームと違い、オンライン上に存在する映像作品をDVDと同じように一意で固有のアイテムとして扱う。ユーザーは作品を視聴して楽しむだけでなく、出品者(ライツホルダー)がユーザーに許可したコンテンツの様々な利用(第三者へのリセール、レンタル、交換、プレゼント、上映、展示等)が可能となる。Roadstead はこのWeb3的な概念を世界初の映像流通の枠組みを「DVT」として広めることで、違法コピーや海賊版を排除するとともに、クリエーターに正当な対価と持続的な創作活動の場を提供していく。
そんなRoadstead Original映画『Chime』の販売に先駆け、4月9日(火)に墨田区菊川にある映画館 ストレンジャーにてマスメディア向け記者発表が開催。サービス提供するねこじゃらし代表・川村岬氏による作品の流通についてのカンファンレンス、『Chime』の国内初上映、黒沢清監督を招いてのトークとQ&Aなどが行われた。
Roadsteadを運営するねこじゃらしの川村代表は、Roadsteadついて「ひと言で言うと、ユーザーが作品を広めるWeb3型のプラットフォームです」と説明。「作品を販売するクリエイター側は基本的に全くノーリスクで作品をローコストで出品することができますし、作品を買うユーザー側は、いわば作品の“オーナー”となって合法的にトレードできます。最終的にテクノロジーで映像作品の流通コストを改善し、その利益をクリエイターに還元することで、作品制作の好循環をつくることを目指しています」とクリエイターとユーザーの関係性、その目指すべき方向性を語った。また今後の予定として、Roadstead Originalシリーズの第2弾として工藤梨穂監督の『August My Heaven』がリリースされるのに加え、第3弾以降の作品も制作中であると明かした。
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『Chime』上映後には、黒沢清監督、川村代表、岡本英之によるトークセッションと質疑応答が行われた。黒沢監督は今回の『Chime』について「45分という、通常、僕がやっている映画とは違う長さの作品ですが、川村プロデューサー、岡本プロデューサーから『一度、こういう作品をやってみないか?』とお声がけいただきました。やったことがないので、自分に何ができるのか試してみたいというシンプルな欲望から出発しました」と出発点について明かし、Roadsteadという新たなプラットフォームでの映画製作に関しても「通常とはまた違う、新しい形態でみなさまのもとに届けられる、新しい何かに参加できることを光栄に感じまして、やろうと思いました」と語った。
同作の主人公は料理教室の先生として働く松岡(吉岡睦雄)で、料理教室が主な舞台のひとつとなるが、この設定について黒沢監督は「わりと思い付きでたいしたきっかけはないですが…」と明かしつつ、クリント・イーストウッド監督の『ヒア アフター』に触れ「料理教室のステンレスが不気味だった」と語り「ステンレスの包丁などが並んでいる場所は、撮りようによっては怖いかなと思いました。実際の料理教室に見学に行くと、不穏なことは全くないんですけど、先生が言った通りに全然やらない生徒など、面白いものが見えてきて『これはいいかも』と思いました」と説明。
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また、Roadsteadで映画を撮ることの魅力について、黒沢監督は「長さが自由であることは魅力ですし、作品を作品として世の中に出していただける、たかが45分の作品であっても世の中に提供していただけるというのは最大の魅力だと思います」と作り手側から感じるメリットについて言及。さらに「僕は映画の信奉者であり、古い人間なので『映画が一番』だと考えています」と断った上で「こういう新しい試み、(従来の)映画とは作り方、見せ方みたいなものは、絶対に回り回って映画にとってプラスになると思っています。よく『こういうものが出てくると映画はどうなっちゃうんでしょう』と不安がる人がいますが、その程度で映画はめげません!むしろ、そういうものを取り込んで、映画はより豊かになると信じています。通常の映画というものと少し違う形で映画を豊かにできるチャンスがあるなら、大いにやりたいという思いが強かったです」とRoadsteadに対して強いエールを送った。
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川村代表は、黒沢監督の言葉に嬉しそうに笑みを浮かべ「本当に良い作品を作っていただいて感動しておりますし、第一弾でこの作品が販売されることを嬉しいことだなと思っております」と語り、改めて「Roadstead」と映画館の関係性についても「今日、この映画館でこの発表会をやったことがひとつの象徴ですが、我々は映画文化というものをテクノロジーで破壊して、全部配信にしようというのではなく、逆に映画文化を支えてきたミニシアターとうまく共存できると思っています。例えば45分という尺ですが、普通の90分や120分の長さが、作品にとって必ずしも良いとは限らないですし、新しいプラットフォームだからこそ、こういうことにも挑戦できます。見事にそれを形にしていただいた監督に感謝申し上げたいです」と語った。
映画『Chime』DVT販売について
販売価格:99USドル(14,850円 ※1ドル=150円換算、以下同)
販売期間:2024年4月12日(金)19時00分~5月11日(土)23時59分
※但し、全世界販売総数が999本に達した時点で販売終了購入特典:
① 『Chime』メイキング・ドキュメンタリー「料理人たち」(63分) 監督:金 允洙
② 『Chime』デジタル・ポスター
※特典は購入者にRoadstead上で無償配布の予定(配布日時は購入者に通知)二次利用(リセール・レンタル・スタニング)利用開始日時:2024年5月13日(月)0時00分~
※『Chime』本編、購入特典①②とも二次利用が可能Roadstead 『Chime』公式サイト:https://roadstead.io/chime