1973年のブラジル映画で、2023年にベルリン国際映画祭で4Kレストア上映されて話題を呼んだ『デビルクイーン』が8月10日(土)より全国順次公開決定。併せてポスタービジュアル、予告編が解禁となった。
ギャング、同性愛者、ドラァグクイーン、セックスワーカーなど、軍事独裁政権下のブラジルで最も疎外された人々を、強烈なサウンドと極彩色の美術、暴力とクィアネスを融合して描いた本作。
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1974年にカンヌ国際映画祭に出品されると瞬く間に観客を魅了、ブラジルを代表する新聞「O GLOBO」によると「ラテンアメリカのファスビンダー」と評され、カルト的人気を博した。
その後も熱狂的ファンに愛されながらも、長きに渡って世界的上映の機会に恵まれていなかったが、製作から50年の節目の2023年に奇跡の4Kレストアが実現。
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同年のベルリン国際映画祭で上映されると「アシッドロックの旋律に乗って殺し合うスコセッシ的モンタージュ」「色彩あふれる陶酔的なカーニバル」と絶賛され、血なまぐさいギャング映画とキャンプなエッセンスの融合が若者を中心に支持を集め再び映画祭を沸きあがらせた。
あるときは恐怖で組織を支配するギャングのボスとして、またあるときはスウィートな女王として、狂気とチャーミングさを見事に同居させたデビルクイーンを演じたのはブラジルの伝説的俳優ミルトン・ゴンサルヴェス。
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シネマ・ノーヴォとボサノヴァのミューズのひとりであるオデッチ・ララもキャバレーシンガーとして出演している。
監督のアントニオ・カルロス・ダ・フォントウラは『Copacabana Me Engana』(68/原題)で劇映画デビュー、ブラジルのサイケロックバンド「ムタンチス」やシンガーのガル・コスタなどトロピカリア・ムーヴメントを代表するアーティストたちのドキュメンタリーなども手掛けている。
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ブラジル映画史の中で最も抑圧的だった時代の検閲をくぐり抜け、世界中の映画祭で観客を熱狂の渦に巻き込むも、日本では知られざる存在だった異端にして伝説のクィア・ギャング映画。ついに50年の時を経て本邦初公開となる。
<STORY>
デビルクイーンと呼ばれるその人は、ヴィヴィッドな色のアイシャドウを塗ったまぶたから鋭く光る視線でリオデジャネイロの裏社会を支配している。部下のギャングたちに恐怖を、自分の王国の “ドールズ” にはキャンディをバラまき、愛用のジャックナイフで脚をシェーブし、裏切り者を切り裂く。
ある日、ハンサムなお気に入りが警察に追われていることを知ると、スケープゴートとしてキャバレーシンガー・イザのヒモ、世間知らずのべレコを巻き込むが、事態は思わぬ方向に動きはじめ…。
『デビルクイーン』は8月10日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。