アダム・ドライバー主演で、F1の“帝王”と呼ばれた男エンツォ・フェラーリの情熱と狂気に満ちた生き様を圧倒的熱量で描くマイケル・マン監督最新作『フェラーリ』が7月5日(金)より全国公開。この度、早くも絶賛を集めているペネロペ・クルス、シャイリーン・ウッドリーの2人に注目した。
元レーサーにして、カーデザイナー、そして自ら立ち上げたフェラーリ社をイタリア屈指の自動車メーカーへと成長させた稀代の経営者エンツォ・フェラーリ。その私生活を語るに欠かせないのが2人の女性、妻のラウラ・フェラーリ、そしてリナ・ラルディだ。
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1947年、エンツォは妻・ラウラと共にフェラーリ社を設立するも、息子ディーノの死後、夫婦関係は冷え切り、エンツォは戦時中に出会ったリナ・ラルディと関係を持ち、息子のピエロが誕生する。当時のイタリアでは離婚が認められず、ピエロは12歳まで認知されなかった。
レースでは狂気を滲ませながら、2人の女性の前では優しい一面を感じさせるF1の帝王と出会い翻弄された2人の女性。ひと足早く本編を鑑賞した映画関係者からは「ペネロペがカッコよかった!」「ペネロペ・クルス、ともかく圧巻!」「海外の俳優の質、熱量の高さを思い知った!」とラウラを演じたペネロペ・クルス、そしてリナを演じたシャイリーン・ウッドリーの2人に称賛の声が集まっている。
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会社の未来を案じながら、喪失感に苛まれるラウラ演じたペネロペは、「人のことを、良いとか悪いとか、クレイジーかそうでないかとか、一言で表せるわけがない。ラウラという女性は、いろんなレッテルを貼ることもできる。でも彼女は多くの困難を乗り越えてきたとても複雑な人」と分析。
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ペネロペは撮影前に2人が住んだアパートに足を運んだといい、「寝室がとても重苦しい部屋だと感じました」と大きな衝撃を受けた様子で、「精神的に苦しい人は、壁やカーテンにこういう模様入りの素材を選ぶのかと思い、その光景から多くの答えをもらった気がします」と話す。
歩き方がぎこちない演技を見せながら「ラウラには常にうまくいかない何かがありました」と想いを馳せ、「慢性的な弱い痛みを抱えたような感覚です。彼女の感情的な痛みをどのように表現するかが重要でした」とふり返った。
また、リナ役のシャイリーンは「リナが朝ベッドから立ち上がったとき、床の温度はどのくらいだったと思う?」「暖房のない古い家に住んでいたリナは、ベッドの横にスリッパを置いていたと思う?」など監督から質問を投げかけられたそうで、それはリナの日常を理解するのに必要な感覚的なヒントをシャイリーンに与えたという。
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「あの時代、カトリックのイタリアでは、ピエロのような境遇の子の居場所はありませんでした。だから、息子が安心できる居場所を提供することが、リナにとって大切なことだったんです」とシャイリーン。
「監督は、彼女の日常を理解するのに必要な、感覚的な問いかけをいくつもしてくれました。その問いかけのおかげで、私はリナの日々の感覚を自分のものにすることができたんです」と語っている。
緻密で精細な役作りでエンツォが愛した異なる女性像を作り上げ、圧巻の演技でインパクトを与えている2人の存在からも目が離せない。
『フェラーリ』は7月5日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。