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【インタビュー】齊藤工、竹林亮監督への絶対的信頼「商業的作品にはない本質」を生み出すクリエイション

ある中学校のクラス35人全員に密着した『14歳の栞』で注目を集めた竹林亮監督が、齊藤工による企画・プロデュースのもと、新作ドキュメンタリーを創り上げた。ある児童養護施設に暮らす子どもたちの成長を見つめた『大きな家』だ。

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齊藤工&竹林亮監督/photo:You Ishii
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齊藤工、監督のクリエイションに対する信頼


――乱暴な言い方で恐縮ですが、ある種ホームビデオ的になる可能性もあったなか、本作が「映画」として確立しているのは竹林監督のクリエイションだと感じています。齊藤さんはどのようにご覧になっていますか?

齊藤:おっしゃる通り、これだけ情報があふれていて、映像・映画を受け取る環境が配信ベースになりつつあるなかで、映画と個人で配信している映像の差別化がものすごく問われる時代であり、「これにお金を払うの?」と言われてしまう可能性も建付けとしてはありました。ただ、僕が出会った被写体の子どもたちと施設の方々、そして竹林監督のクリエイションと被写体との距離感は絶対にそっちにはいかないという確信がありました。この座組でなければ、やろうと思えなかった気がします。

竹林監督の『14歳の栞』が劇場に足を運ばせたのは、口コミが援護射撃になっているのも大いにあるかと思いつつ、作品から漂う「クオリティの高さ」かと思います。『大きな家』も構図をはじめ結果的に映像のクオリティがとても高かったですが、企画当初はそうした映像面においては、かつて自分が被写体としてマダガスカルやカンボジアに竹林監督と行くドキュメンタリーを経験した関係値もあり、竹林監督のクリエイションに対する信頼だけでした。そのうえで「コロナが明けてきたいま撮らないと逃してしまう何かが確実に映り込むはずだ」という漠然とした確信に突き動かされた形です。

目的やフィロソフィーが掲げられないと映画の企画は成立しないかと思いますし、商業的な成立のさせ方がプロデューサーの役割でしょうが、むしろそうではないものに宿る本質が竹林監督と児童養護施設の子どもたちの間に生まれるんじゃないかと考えていたのです。この作品が世に出るものになるかも定かではないからこそ、映画づくりにとっては不誠実でもあるような変則的な進め方をできました。


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《text:SYO/photo:You Ishii》

物書き SYO

1987年福井県生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌の編集プロダクション、映画WEBメディアでの勤務を経て、2020年に独立。映画・アニメ・ドラマを中心に、小説・漫画・音楽・ゲームなどエンタメ系全般のインタビュー、レビュー、コラム等を各メディアにて執筆。並行して個人の創作活動も行う。

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