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【独占】国際共同製作支援に力をいれるTAICCA 台湾からみた、グローバル映像市場の最新動向

ソフトパワーを強化することで、国際社会におけるプレゼンスの向上を図る台湾。そんな台湾の文化コンテンツ産業の支援を行っている行政機関が「TAICCA/タイカ」だ。Brancでは昨年に続き、TAICCAの蔡(ツァイ)董事長にインタビュー。この1年の台湾の映像業界の変化や、グ…

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ソフトパワーを強化することで、国際社会におけるプレゼンスの向上を図る台湾。そんな台湾の文化コンテンツ産業の支援を行っている行政機関が台湾クリエイティブ・コンテンツ・エイジェンシー (TAICCA/タイカ)だ。

そんなTAICCAが特に力を入れているのが、産業化と国際化の推進。台湾文化部(日本の文科省に相当)が行う助成金の支給とは性質を異にし、TAICCAはよりビジネス視点から投資を行い、リターンが望める仕組み作りをサポートしている。

TAICCAが2020年から開催し、今年で5回目を迎える文化コンテンツ産業の大型展覧会「2024 TCCF クリエイティブコンテンツフェスタ(Taiwan Creative Content Fest)」が台北市・南港展覧館で開催された(11月5日~11月8日)。Brancでは昨年に続き、TAICCAの蔡嘉駿(ツァイ・ジアジュン)董事長にインタビュー。この1年の台湾の同産業界の変化や、グローバルな共同製作の最新情報まで、たっぷりお話をうかがった。

▼昨年のインタビュー記事



――昨年のインタビューからこの1年で、台湾の文化コンテンツ業界、また今年のTCCFではどのような変化がありましたか。

蔡嘉駿董事長(以下、蔡)まずはすぐお分かりのように、昨年の文化・クリエイティブな雰囲気が漂う松山文創園区から、今年はビジネス色の強い南港へと会場を引っ越しました。我々の目的は、クリエイターのためだけではなく、商談の場を設けるということと多くの外国企業と台湾企業とのマッチングを実現することです。

TAICCAの目的は大きく2つ。1つ目は産業化、そして2つ目は国際化。そしてこの2つは、これからお話する変化と大きな関係があります。

産業化の部分では、台湾政府の支援を得て、台湾の関連業界の開発と投資を行っています。中華電信、台湾大哥大など台湾の大手企業やハイテク企業を後ろ盾に、非常に活発な投資を行っています。

2つの目の国際化については、TAICCAはこの1年で、多くの国際合作プロジェクトを実施してきました。特に交流が活発だったのは米国、韓国、日本の3ヵ国。米国といえばもちろんハリウッドがありますよね。映画とドラマの両方で合作が進んでいます。それから韓国との協力関係も非常に緊密になっています。今回のTCCFを見ても、韓国企業の出展の多さに気づかれるでしょう。そして日本とは、特別で兄弟のような関係です。それはかつて日本に留学したり、日本で働いていたりしたこともある私の個人的背景とも関係があります。

――今回のTCCFでは、韓国のバラエティ番組のプロデューサーなど、世界各国の業界関係者らが数々の講演を行い、台湾の「他国の成功例から学ぼう」という姿勢が明確でした。

韓国のバラエティ番組の影響力は、日本も含めアジア全体、世界全体に広がっていますし、我々が学ぶべき国だと思っています。今年のTCCFでは製作者数名による対談のほか、韓国の人気プロデューサーのナ・ヨンソク氏にもご講演いただきました。

そのほか、韓国からは俳優のチョ・ジヌン氏も来台し、今後のコラボレーションについて話し合っているところです。また、来年にはCJと約50億円規模のファンドを設立する計画です。

――昨年から今年にかけて、いくつか台湾の映像作品を観ましたが、国際共同製作で作られたものが増えたと感じました。改めて、台湾と合作することのメリットを教えてください。

ここ数年、世界中の映像業界がNetflixのようなグローバルな大手配信プラットフォームの影響を受けています。世界各地でビジネスを展開しているので視聴者が多く、資金を豊富に提供して映画やドラマを制作している。それによって、どの国でもここ数年で、作品1本あたりの予算が大幅に引き上げられました。しかしNetflixやAmazonは、そうやって作られた大量の作品を全部買い付けるわけではありません。ローカルなTV局に売るしかないとなれば、当然赤字になります。

こうした状況を避けるためには、どうすればいいのか? 一番良いのは国と国とのコラボレーションです。たとえば、シュー・グァンハン(許光漢)主演の『青春18×2 君へと続く道』は典型的な台湾・日本合作の成功例です。

TAICCAは出資していませんが、日本の監督、大勢の日本のスタッフ、日本の女優、台湾で一番人気の俳優が参加して台湾でロケを行った作品で、台湾や日本で興行的にも成功し、韓国や中国でも公開されました。台湾、日本の両国が出資することで予算が増えるし、マーケットも広がります。必ずしも国際的な配信プラットフォームに売る必要はない。あのような成功例を増やしていければいいと思います。

合作相手として、日本は台湾にとって一番馴染みのある国です。今はタイや韓国、米国との案件が増えていますが、米国は脚本の書き方1つをとっても台湾と方法が違う。異なるマーケット、異なる国、異なる文化、異なる言語とのコラボレーションは、面白さと同時に苦労もある。皆で努力して調整していく必要があります。

――『青春18×2』のほかに、日本との合作が実現した例はありますか。

『黒の牛』(第37回東京国際映画祭で上映)と『雨の中の欲情』はTAICCAが投資した作品です。バジェットが大きい作品ではありませんが、世界で数々の映画賞に入選しました。

あとシェアできる内容としては、数ヵ月前、渋谷で是枝裕和監督にお会いしました。できれば来年には台湾で新作映画の撮影を開始できるよう話し合っています。どんな映画かはお話できませんが、台湾の俳優を起用しての撮影を予定しています。

また個人的な願望として、アミューズの会長と台湾でお会いした際、サザンオールスターズのコンサートを開いてほしいとお願いしました。会議中には言えませんでしたが、食事をしてお酒が入ったところで(笑)。大好きなんです。茅ヶ崎も好き。サザンは台湾にもファンが大勢います。

――TCCFのメイン企画の1つピッチングには、アニメやコミックのカテゴリーもあります。台湾でもアニメ制作が盛んになってきているのでしょうか。

アニメ、コミックの分野で言えば、台湾は日本から大きな影響を受けています。ですが、ここ5年くらいは、韓国から大きな影響を受けるようになりました。その状況は日本も同じだと思います。

台湾のアニメ業界では、積極的に日本の企業と話し合い、台湾と日本の間でどんなコラボレーションができるのか、またどうすれば台湾のアニメ・コミック業界を日本と同じような状況にできるのか、話し合っています。

数か月前、東京で元「週刊少年ジャンプ」編集長の堀江信彦さんを訪ねました。彼は熊本にマンガ家の育成施設を設立しており(アーティストビレッジ阿蘇096区)、台湾のマンガ家を訪問させて学ばせてもらえないかと話し合っています。

また、TAICCAは独自のマンガサイト「CCC(Creative Comic Collection)」を持っているのですが、楽天との間で、楽天のサイトにある日本のコミックをTAICCAのサイトで読めるようにすると同時に、台湾の若いマンガ家の作品を楽天のサイトで読めるようにする事業を進めることで合意しました。そのほか、アニメ関連では、台湾の翔英融創という会社に投資しています。これは、同社が日本でアニメの製作委員会を設立し、台湾のIPを日本に持って行って日本の製作会社がアニメ化するというプロジェクトで、すでに3作品の制作が進んでいます。(「成為奪心魔之必要」「好想去台玩!台灣旅行同好會」「刀姬」)

――日本との共同製作において、ハードルに感じていることはありますか。最後に、日本の文化コンテンツ業界関係者にメッセージをお願いいたします。

まず私が感じた日本と韓国の違いをお話します。たとえば、先月、韓国の大手テレビ局に行きました。すると、大手エンタメ企業の社長が会いたいと連絡してきてくださったのです。スケジュールに空きがなかったのですが、韓国の休日に会おうということになり、急きょ社員を集めて商談を行いました。それが決まったのは、2日前です。あのようなスピード感は日本にはないですよね。もちろん、日本が国際的に与えている影響は大きい。特に、日本のアニメやコミックといったIPは世界一で、どんなジャンルの作品もある宝の山のよう。でも、それを活用しきれていないのではと感じます。

たとえばNetflixと合作して実写版ドラマ「ONE PIECE」を製作したことで、作品が世界に再発見されました。開発すべきIPが、まだまだたくさんある。日本国内だけではなく、もっと世界に打ち出していくべきだと思います。膨大な資産をしっかり活用しないなんて惜しい。古い資産を新しい手法で大きなビジネスチャンスに生まれ変わらせ、世界中の人に知ってもらわないなんて、本当にもったいないと思います。

――台湾とはどんな形で協力していけると思いますか。

台湾は今、非常に国際共同製作に積極的です。たとえば、ゴジラが高雄港から現われて、台北101を破壊するなんて面白いと思いませんか? 台湾的には大歓迎です。日本のIPを守っていこうという日本人の姿勢は、もちろん日本の美点でもあります。でも、少し守りに入りすぎではないかと感じるのです。台湾では多くの若い監督が米国に留学し、新しい撮影方法などを学んでいる。このスピードは日本より速いかもしれません。ですから、日本のすばらしいIPや作品を、台湾の活発な資金提供と若い監督たちの手を借りることで、共に素晴らしい作品に作り上げることができるのではないかと思うのです。

――そのようなコンセプトで進行中のプロジェクトはまだないのですか。

日本側に提案したことはありますが、やはり「検討します」というお返事でした。

最近、台湾独自の動画配信サービス「friDay影音」で日本のドラマ「ロングバケーション」(1996年)の配信が始まり、再び大勢の人が観ています。もし、例えばですが「ロンバケ」の台湾版をシュー・グァンハン主演で撮れば、台湾はもちろん、韓国でも人気が出るでしょう。守りに入りすぎず、こうしたことを、もっと日本はトライしてみてもいいのではと感じています。

TAICCA公式サイト(英語/中国語)

《新田理恵》

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