現在公開中の映画『悪い夏』より、メイキング写真が公開された。
本作は、クズとワルしか出てこない狂乱サスペンス・エンターテインメント。昨年6月、埼玉県飯能市を中心に行われた本作の撮影。北村匠海が演じる主人公・佐々木守の勤務する船岡市役所の日常シーンから穏やかに始まった。
佐々木が担当する生活保護受給者・山田(竹原ピストル)の部屋を訪れるシーンは、その間取りの狭さもリアルで、佐々木と山田の距離の近さや、見事に作り込まれた雑然とした部屋の内装と相まって、よどんだ緊迫感が伝わってくる。

また北村と、色仕掛けで佐々木を犯罪へと巻き込む育児放棄寸前のシングルマザー・愛美役の河合優実は、今作が初共演。
「芝居やそのシーン一つ一つにおける見ている角度がとても近いなと感じた。河合さんと同じ目線でのシーンが多くあり、すごく気持ちのいい時間だなと思っていた」(北村)、「現場で一つ一つに対して真剣なことが、一緒にやってると伝わってきて。お芝居や作品を作るっていうことが心から楽しいと思って、現場に毎日来ている方だなというのをすごく感じた」(河合)とふり返っていたが、現場のモニターをチェックする姿からも息の合った様子が伝わってくる。

重要な場所になってくる愛美が娘と暮らし、のちに佐々木も訪れることになるアパートは、修繕前の物件をまるまる一棟借りることができたという。
クライマックスシーンは、部屋での立ち回りから外へ飛び出し、豪雨の中でのアクションを伴うハードな局面で、愛美のアパートの眼の前にある河川敷で行われ、北村のずぶ濡れぶりからも現場の壮絶さが見えてくる。
撮影は2日間におよび、全員一丸となった気迫と、城定秀夫監督の持つ、作品をエンターテインメントに昇華させる演出が冴えわたる、忘れられないシーンとなったようだ。

なお、若手のスタッフが多く集まった本作は、実験的な瞬間もあったという。本編のクズワル顔とは真逆の笑顔あふれる記念ショットからも、撮影時間が充実したものだったことがうかがえる。
併せて、本作のイメージソングである「OKAMOTO'S」の「Cheep Hero」MVが公開。アップテンポな楽曲にあわせて、本作の使用されていない初公開の映像が満載だ。
『悪い夏』は全国にて公開中。