『ジョン・ウィック』シリーズ独自の世界観はそのままに、アナ・デ・アルマスを主演に迎えたシリーズ最新作『バレリーナ:The World of John Wick』。この度、コンチネンタルホテルの忠実なコンシェルジュ・シャロンとして人気を博したランス・レディック最後のインタビュー映像が解禁された。
シリーズ第3作となる『ジョン・ウィック:パラベラム』とクロスオーバーした時系列で描かれる本作。
シャロンは、本シリーズ屈指の人気キャラクター。『ジョン・ウィック』から『コンセクエンス』まで、その紳士的で、ときに頼りがいのあるキャラクターは多くのJWファンに愛されてきた。

そんなシャロンを演じてきたアメリカ人俳優ランス・レディックは、2023年3月に60歳の若さで他界。そのため、JWシリーズとしては『バレリーナ』が彼の遺作となる。
ランス・レディックは1962年、メリーランド州生まれ。イーストマン大学で音楽を、イェール大学演劇学校で演技を専攻。「LOST」や「FRINGE/フリンジ」などの人気ドラマシリーズに数多く出演し、俳優のほかミュージシャンとしても活躍してきた。
主な出演作には、『大いなる遺産』『サウンド・オブ・サイレンス』『ザ・ゲスト』『エンド・オブ・ステイツ』『ゴジラvsコング』などがある。
ランス・レディックが演じてきたシャロンは、JWシリーズの登場人物たちの奥深さや多面性を象徴するかのような存在だ。
ふり返れば、第1作『ジョン・ウィック』において、華麗に仕事をこなすコンシェルジュとして初登場。第2作『チャプター2』でジョンの愛犬を仕事外で預かる優しい一面を見せたかと思えば、第3作『パラベラム』ではジョンと一緒に華麗な銃撃戦を披露した。
『バレリーナ』の撮影が行われたのは、シャロンが劇中で死を遂げた第4作『コンセクエンス』の公開前の時期。

本作は時系列が『パラベラム』の時点まで戻るため、ランス・レディックはシャロンを再演する機会を得ることになった。しかし、残念なことに本作のクランクアップからわずか数週間後にこの世を去った。
今回解禁となった映像はランス・レディックにとって、JWシリーズ最初で最後のオフィシャルインタビュー。
ランスは本作の脚本を読んで、その新たな世界観に驚いたと同時に、そこにシェイクスピアの影響を感じたという。JWシリーズと『バレリーナ』を比較しながら、ここまで拡大してきたJWワールドについて「最初の『ジョン・ウィック』は、登場人物たちが、文化的制約の中でそれぞれの個性を主張しようとしていたけれど、この作品はそれを家族のレベルまで広げている。『リア王』や『ハムレット』やギリシャ悲劇を想起した」と分析。
その完成度の高さに思わず、レン・ワイズマン監督にシェイクスピアが好きなのか聞いてしまうほど、本作の脚本は彼の知性とマッチしたようだ。
続いて、インタビューはシリーズ初の女性主人公に抜擢されたアナ・デ・アルマスの話題に。
彼はアナ・デ・アルマスのアクションを『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』で初めて見たというが、この映画の主人公イヴは、それ以上に「タフさが問われる」役であると同時に、「哀愁が感じられる」役でもあると話す。その上で、アナ・デ・アルマスはそうした「極めて繊細な演技を見事に演じ分けられる」稀有な俳優だと太鼓判を押した。
劇中ではイヴがコンチネンタル・ホテルを訪れ、シャロンと会話するシーンも描かれる。2人の初共演シーンにも注目となっている。

さらに、ランスの分析眼は、自身の役“シャロン”にまで向く。これまで演じてきた他作品とは「まったく違う役」だと語りつつ、シャロン役について「この役を演じてワクワクしたのは、これまで経験のない役柄だったから」と、ふり返る。
また、その考察はJWシリーズを通じたシャロンの変化にまで及び、「作品を通してシャロンの変化を追ってみると、最初はミステリアスなキャラクターだったが、次第に心を持った存在へと変わる。ジョンが作品の“魂”なら、シャロンは“心”だろう」と、本作のタイトルロールであるジョン・ウィックと双璧をなす重要なキャラクターだと静かに語っている。
『バレリーナ:The World of John Wick』は8月22日(金)より全国にて公開。


