パトリシア・マズィ監督による最新作『サターン・ボウリング』の本予告とメインビジュアルが解禁された。
ボウリング場<サターン・ボウリング>の経営者であり、狩猟を趣味とするハンターでもあった父が亡くなり、ボウリング場を引き継いだアルマン。だが周囲で若い女性を狙った連続殺人事件が発生。刑事であるアルマンの異母兄、ギヨームが事件を追うが…。
本作は、ロカルノ国際映画祭2022で金獅子賞にノミネートされ、「カイエ・デュ・シネマ」2022年ベストテン第6位に選ばれた。パトリシア・マズィ監督は「とにかく悲劇を描いた」と語り、本作では男性性や暴力の問題を鋭く炙り出している。
この度解禁された本予告は、闇の駐車場でスカーフがひらめく不穏なショットから幕を開ける。「野生の雌オオカミがいた」「自然界の奇妙ないたずらによって」といったナレーションに続き、犬を連れて歩くアルマンの姿と「トラやヒョウと交尾を重ねた」「突然 凶暴になった」という言葉が重ねられる。やがて映像は、怒りに震え涙を浮かべるアルマンの表情へと切り替わる。
舞台は、亡き父の遺産である赤いネオンが灯る地下のボウリング場。警察官の兄ギヨームは、それを職も家も持たない弟アルマンに託すと告げる。だがアルマンの返答はただひとこと「条件がある 首を突っ込むな」。緊張が兄弟を隔て、街を震撼させる連続殺人事件へと結びついていく。
さらに「“女性限定ナイト”を作り俺たちを排除している」と憤っていた父の狩猟仲間たちも、やがてアルマンに引き入れられ、ボウリング場に集う。酒を手に狩猟の歌を歌い上げる彼らの姿は、暴力と支配欲の象徴として不気味に浮かび上がる。その光景を前に、アルマンは衝動を滾らせ、内なる闇をさらに濃くしていく…。

併せてメインビジュアルも解禁。赤と黒を基調とした強烈なコントラストで構成されているデザイン。逆さに配置されたアルマンのアップは、ぎらついた眼差しで観る者を射抜き、不穏な緊張感を漂わせる。
赤黒の色彩、逆さの構図、そして眼差しの強度が交錯し、物語の悲劇性を一枚に凝縮したビジュアルとなった。
『サターン・ボウリング』は10月4日(土)よりユーロスペースほか全国にて公開。

