映画『宝島』東京プレミアイベントが東京・六本木で開催され、主演の妻夫木聡をはじめ、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太、大友啓史監督ら14名が集結した。
歴史の陰に埋もれたアメリカ統治下の沖縄の真実を描き切った真藤順丈氏の直木賞受賞作を映画化した本作は、アメリカ統治下の沖縄の史実を背景に、若者たちの葛藤と友情を描く。いよいよ来週19日(金)に公開を控えるなか、東京プレミアが開催となった。

イベント会場となったTOHOシネマズ 六本木ヒルズ前に設置されたレッドカーペットには、抽選で選ばれた60名の観客と大勢のマスコミ陣が集結。声援が飛び交い会場のボルテージが最高潮に達するなか、本作に込められた“炎のようなたぎる想い”をイメージした鮮やかなレッドカーペット上に主演の妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太、塚本晋也、中村蒼、瀧内公美、栄莉弥、尚玄、木幡竜、奥野瑛太、村田秀亮(とろサーモン)、デリック・ドーバー、大友啓史監督が姿を現すと、無数のフラッシュが場内を照らした。

本作で激動の時代を生き抜く主人公グスク役を演じた妻夫木は、「『宝島』は、命を繋いでいく物語。想いというものはどんどん繋がっていきます。熱い想いをかけて作ったので、一人ひとりに、より多くの方に届けられるといいなと思っています。そして、『映画の力』というものを感じてほしい。皆さん、9月19日の公開を楽しみにしていてください!」と満面の笑み。

続いて、グスクの幼なじみのヤマコ役、レイ役をそれぞれ演じた広瀬、窪田も「沖縄という場所に愛情と情熱をもって向き合い、貴重な刺激のある時間を過ごさせていただきました。スクリーンを通して一人でも多くの方に伝わってほしいと思います」(広瀬)、「まだまだ暑いこの日本に、もっと体温を熱くさせる映画がようやくみなさんに届けられることが本当に嬉しいです」(窪田)と笑顔を見せるなか、彼らのリーダーであり、町の英雄的存在・オン役を演じた永山も、「本当に素晴らしい作品が出来上がったので、たくさんの方に必ず映画館で観ていただきたいです」とイベント初登壇となった本日を迎えられた喜びを嚙みしめた。
そんな“主役級”の豪華キャスト陣を携え、構想6年、2度の撮影延期の壁を乗り越え映画を完成に導いた大友監督は、「6年かかりました。色々な困難がありました…」と万感の想いを吐露。「それでも絶対に届けないといけない作品だとキャスト・スタッフ一人ひとりが感じながら作りました。力のある、そして腰の強い、みなさんに胸を張って届けられる作品になったと思います!」と力強く語った。
改めて、集まった多くの報道陣から眩いフラッシュを浴びた一同は、その後1時間以上にわたりレッドカーペット上でマスコミの質問に笑顔で応えたのち、ファンのもとに歩み寄ってサインなどのファンサービスに快く応じてひと時の交流を楽しんだ。
レッドカーペットイベントの後、TOHOシネマズ六本木ヒルズ・劇場内に会場を移して行われた舞台挨拶では、盛大な拍手に包まれながらキャスト、監督が再集結。場内を埋め尽くす500名ほどの観客を前にした妻夫木は、「ようやくこの日がきたなという気がします」と感慨深い表情を浮かべながら、「実は『宝島』の衣装デザインを務めていただいた、宮本まさ江さんが今日の衣装を用意してくれて。“グスク風味”のある衣装を着て、スタッフ一人ひとりの想いも込めて挑んでいます」と挨拶。
本作では自ら“宣伝アンバサダー”として全国行脚を宣言し、物語の舞台となる沖縄を皮切りに20都市以上で『宝島』に込めた想いを伝え続けてきた妻夫木だが、その原動力について聞かれると、「なんだろう…、でもやっぱり僕は『映画の力』を信じたいんですよね」と切り出し、「もしこの『宝島』に、誰かの人生や未来を変えられる力が1%でもあるのであれば、僕はその奇跡を信じたいし、目の当たりにしたいんです。そのためには『手渡しで届けないと』という想いはすごくありましたね」と、未だかつてないほどの覚悟と熱量で挑んだ本作への熱い想いを口にした。
そんな座長・妻夫木の姿に感銘を受けたという広瀬は、「沖縄という場所に正面から向き合って、愛と情熱をもって作品に取り組む真っ直ぐな姿がとても刺激的でした。自分が今までやってきた、役や作品へ向き合うことの概念を改めて変えられるような姿に感動しました」とリスペクトを込めて妻夫木をねぎらいつつ、撮影当時を回顧。“一生分”泣いたという現場では「素直な心情」で臨んだゆえに、「現場はエネルギーがものすごく強くて、食らうし吸い取られるし。海を見るだけでオンちゃんが浮かんだり、寂しくなったりして…、枯れそうでした(笑)」と笑顔でふり返った。

窪田は、失踪した兄・オン(永山)を探すためヤクザとなり、刑事であるグスク(妻夫木)とは異なる正義を胸の内に抱えるレイという人物を演じるにあたり、現場で急遽追加されることもあったという激しいアクションパートについて述懐。「大友監督は本当に“枯れ果てる”まで走らせるし、戦わせるし、何度でも妥協しない。でも、一番現場で少年のように楽しんでいるのも監督自身。そんな姿をみると、もっと自分も出さなきゃと自然に思わせてくれた」と、大友監督への感謝を述べた。
一方、圧倒的なカリスマ性を持つ“コザの英雄”であり、ある襲撃の夜に突如として姿を消してしまうオン役を演じた永山は、「自分がリーダーとして、妻夫木さんやみんなの前に立つために、どうアプローチしようかと頭を抱えていた」と当時の心境を吐露。
グスク、ヤマコ、レイにとって“光の存在”であり続ける難役に挑んだ永山だが、「沖縄についてから、妻夫木さんと嘉手納基地内の色々な施設や米軍の生活を見学させていただき、感慨深いものがありました。オンが感じていたことを、理屈じゃなくて肉体で表現していきたいと思い、その日から基地の周りを毎日走っていたんです。あえて思考せず、そして妻夫木さんを先輩として意識しないと決めて役に臨みました」と役作りへのこだわりを明かした。
そんな永山の姿勢に対して、「『ランチの女王』で初共演した時から、友達みたいにブッキーって呼んでいい?って仲良くしてくれてなかったっけ?(笑)」と妻夫木が問いかけると、「色々共演経験はあったけど、妻夫木さんが兄役が多かったので。自分が引っ張っていくのが初だったので、心のどこかで“生意気”とか思われていないか、不安だったんです」と永山が返し、2人の仲睦まじいやりとりに和やかな空気が流れる一幕も。
イベントの終了時刻も差し迫るなか、満を持して『宝島』の映画化に踏み切った心境を改めて語った大友監督は「日本が高度経済成長に向かって豊かになる時代に、沖縄ではこんな世界があった。知らなければならないし、知るだけでなく感じなけれならないと思い『宝島』を作りました。映画のもつ魅力として、登場人物たちの感情に自分の感情を重ねながら『沖縄を追体験できる』ことを、ひとりの人間としてやらなければいけないと思った。歯を食いしばってやれることは精一杯やったし、俳優部もスタッフもみんながついてきてくれた」と思わず力がこもる。
そんな言葉に会場全体が熱い気持ちが沸き上がると、大友監督は感謝を述べながら、「そしてまた、映画というのはコミュニケーションの最大のツールでもあります。みなさんが追体験したことをぜひ僕らに伝えてほしい。そこから何かが始まることがあるかもしれない。あの当時の沖縄には“気づき”がたくさんある。皆さんに何か持ち帰っていただいて、その声を届けてほしい。もしその声を多くの方に広げたいと思ってくれたのなら、大友組の一人としてぜひお願いします!」と力強く作品をアピールした。

最後に、「映画は観てもらって初めて完成するものだと思っていましたが、全国キャラバンを通して、どんどん映画が大きく育っていることを日々感じています。映画としてのエンディングはあるけれど、本当のエンディングは僕たちの、皆さんの未来なんじゃないかなと。映画というのはもしかしたら社会のなかではちっぽけなものかもしれない。でも『宝島』という映画にはその力があるんだと本当に心から信じています。ひとりでも多くの方に届けてくれると嬉しいです」との妻夫木の挨拶で締めくくられると、場内からは自然と拍手が巻き起こり、“宝島愛”に満ち溢れた一夜限りの盛大なプレミアイベントは幕を閉じた。
『宝島』は9月19日(金)より全国にて公開。


