綾野剛主演『星と月は天の穴』より、写真家・野村佐紀子が撮影したアザービジュアルと場面写真が解禁された。
日本映画界を代表する脚本家・荒井晴彦が監督を務めた本作。長年の念願だった吉行淳之介による同名小説(講談社文芸文庫)を原作に、愛されたい願望をこじらせる40代小説家の日常を、エロティシズムとペーソスを織り交ぜながら綴っている。
この度解禁されたのは、アザービジュアルと新たな場面写真5点。

アザービジュアルは、ブランコを漕ぐ紀子(咲耶)と、それを自宅マンションから見下ろす矢添(綾野)の姿が空気感とともに写し出されている。
撮影したのは、写真家の野村佐紀子。荒井監督とのタッグは『身も心も』、『火口のふたり』、『花腐し』に続き4作目となる。

野村氏が撮る写真は、エロスとタナトスに満ちた世界観ですでに国内外で高い評価を得ているが、今回のアザービジュアルではじっと公園を見下ろす矢添に焦点が当てられ、開放的な空間でありながらどこか閉塞的で淫靡な2人の関係を匂わせる濃密な空気を捉えている。「風、空気、ブランコの音が聞こえてきそう」と荒井監督も大絶賛の写真となった。

併せて解禁された場面写真も野村氏の撮影によるもの。女性を愛することを恐れながらも求めてしまう、布団の上に座り女の影に照らされる矢添、奇妙な関係性を映し出す矢添と紀子の2人、そして、公園で1人ブランコに乗る娼婦・千枝子(田中麗奈)…。矢添のこじらせた繊細な心情とそれぞれ掴み切れない女性たちの姿が捉えられている。

また、クラシカルな郵便ポストと紀子のファッションから、舞台となる1969年当時を思わせる1枚も。さらには、憂いの表情に煙草を燻らせる矢添のカットは、同じ作家という職業も相まって、色男だったという原作者の吉行淳之介をどこか連想させ、綾野もこれまでに見せたことがない"男の色気"を醸し出す。

時代の空気や質感をスクリーンに転写したいという荒井監督の意図から全編モノクロで撮影されている本編同様、モノクロの世界を映し出す野村氏の写真は、本作の魅力を際立たせている。
『星と月は天の穴』は12月19日(金)よりテアトル新宿ほか全国にて公開。


