第97回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門ショートリスト選出作品『ネタニヤフ調書 汚職と戦争』。公開初日の11月8日(土)に、本作の監督とプロデューサーを務めたアレクシス・ブルームのオンラインQ&Aが開催されることが決定した。
イスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフの汚職疑惑を描き、本国イスラエルでは上映禁止となっている本作。ネタニヤフ自らが公開中止を求めて訴訟を起こそうとした衝撃のドキュメンタリーだ。
公開決定のニュースとともに大きな話題となり、各地の劇場では上映希望のリクエストが殺到。また本編宣伝素材がYouTube上でブロックされたことから、公式SNSにて一般にポスター・チラシ設置を呼び掛けたところ、なんと協力者は190人を突破。当初の単館公開から急遽、全国28館へと拡大公開となった。
2025年10月13日、米国のトランプ大統領はイスラエルおよびハマス当事者双方の合意を得て、「中東の新しい夜明け」を宣言した。しかし、11月4日現在もイスラエルの攻撃は終わらず、ガザでは人が死に続けている。
なぜ、イスラエルはガザを攻撃し続けるのか。そしてなぜ、戦争は終わらないのか。その理由が、本作では明確に描かれている。
この度、公開初日の11月8日(土)のシアター・イメージフォーラムで、3回目(15:25の回)の上映後に、本作の監督とプロデューサーを務めたアレクシス・ブルームのオンラインQ&Aが開催される。決死の覚悟でイスラエルでの撮影を敢行したアレクシス・ブルーム監督のトークは必聴だ。
さらに、各界の著名人からもコメントが到着。
作家・元外務省主任分析官の佐藤優は「イスラエル国家の運命が、ネタニヤフ一家の生き残りと同一視されてしまった。権力の暴走に戦慄した」とコメント。
ドキュメンタリー監督の五百旗頭幸男は「ガザの悲劇が終わらぬわけが生々しい解像度で示される。知性や倫理を離れ葉巻をくゆらす為政者が自己防衛本能にすがり『分断による支配』を企むとき、葉巻の煙は戦火に変わる。あまりに陳腐な欲望とそれが招いた惨状との不均衡に覚えた怒りは、遠い世界の話でないと気づいた刹那、恐怖に変わる」とコメントした。
戦史・紛争史研究家の山崎雅弘は「身内に便宜を図る見返りに影響力の大きなネットメディアを支配下に置く。尋問で都合が悪い事実関係を問われると『記憶にない』『忘れた』を連発。自分はウソを並べながら、批判的な既存メディアを『ウソつきの左翼』と罵倒。いろんな面で、日米で起きている事態と相似形」と指摘。
映画ライターの中村千晶は「最近観たなかで最も衝撃で憤怒もののドキュメンタリー。観ればガザで起こっていることの『なぜ?』がほぼ理解出来る。息を吐くように嘘をつき、保身のために極右と組むトップ…世界を覆う既視感に戦慄する。観てほしい!」と述べた。
『ネタニヤフ調書 汚職と戦争』は11月8日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかにて順次公開。

