「みなさんの『人生で1番“エンドロールが忘れられない映画”』を教えてほしい」という呼びかけがXに投稿され、200件を超えるリプライコメントが集まり話題となっている。投稿したのは、Xで映画にまつわる感想や考察を発信するシアンさん(@darkcineroom)。
この投稿の背景について、シアンさんはこう語る。
「映画のエンドロールは、物語の余韻と、それを支えた多くのスタッフの名前が重なる、特別な時間だと思っています」
VOD配信では自動でエンドロールがスキップされる設定があり、中にはエンドロールを見ないで飛ばす人もいるが、シアンさんは「最後の1秒まで含めて作品だと感じており、その価値をあらためて見つめたかった」という。「エンドロールが好きってあんまないかもだけど、どーだろ?」と添えたのは、“気軽にコメントしやすくしたかったから”だとか。
そんなシアンさん自身が“エンドロールの忘れられない作品”として挙げたのは『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』。劇場で初めて観た思い出と重なり、名前の羅列ではなく“作品の余韻”として機能していた点が心に残ったそう。

「劇中に出てくる『忍びの地図』の仕様をそのままエンドロールに落とし込んでいて、物語の世界がまだ続いているように感じました」
今回の呼びかけには大きな反響があり、「ジャッキー・チェンの出演作品や『トイ・ストーリー』シリーズのようなNG集、スクリーンの中から観客に呼びかけたり過去作品で不評だった描写をキャラクター本人が否定したりするといったメタ演出を取り入れた『デッドプール』、本編の世界観を引きついたタイポグラフィ演出を取り入れた『セブン』など、単なるクレジットに留まらない作品が多く挙げられていた」とシアンさんは話す。ほかにも、クラウドファンディング作品の『アフリカン・カンフー・ナチス2』ように支援者名が並んだものなど、ジャンルを問わず幅広い視点のコメントが寄せられた。
一方で、驚いた意見もあったのだとか。
「『RRR』を挙げていた方の視点は新鮮でした。『普段は監督名を強調する演出は得意ではないのですが、この作品は振り切っていて気持ちよく感じられた』という声に納得しました」
「文字が小さくて読めないけれど好き」という声もあり、エンドロールの印象が“情報の読みやすさ”では決まらないことを実感したという。
また、こうして寄せられた回答を整理する中で、共通点も見えてきたそう。
「“忘れられないエンドロール”には、“本編の延長として世界観が続いている”ことが共通していると感じました。遊び心のある仕掛け、後日談的なテキスト、キャラクターのメッセージ、音楽の余韻など、種類は違っても『映画がまだ息をしている』と感じられる時間が共通していると思います」
今回の投稿を通して、シアンさんは自身の考えが言語化されたと話す。
「エンドロールは終わりではなく、物語から現実へ戻るための“余白の時間”として大切にされているとあらためて感じました」


