A24初の本格ファンタジー『OCHI!-オチ-』の背景美術の魔法が明かされるインタビューコメントと場面写真が公開された。
本作は、ビョークをはじめとする著名アーティストのミュージックビデオを手掛け、手作業へのこだわりと美学を築いてきた映像作家、アイザイア・サクソンがA24とタッグを組んだ、彼の長編映画デビュー作。サクソン監督が心より愛する『E.T.』『となりのトトロ』『もののけ姫』らの作品の精神性を原点にして、孤独な少女とふしぎな生き物〈オチ〉が、言葉を超え心を通わせる物語だ。

その物語を支えるのは今まで想像の中にしか存在しなかった、魅惑的な異世界の構築。パペットやアニマトロニクスなどアナログなクラフトによって緻密に形作られ、CGでは生み出せない活き活きとした生命感を宿すオチの造形や絵画的な自然の風景を鮮やかにとらえた撮影、パンフルートが神秘的に響く音楽、クラシカルかつ遊び心ある美術等、1カットごとに卓越した職人技が愛情と手間暇たっぷりに注ぎ込まれた映像体験が、観る者を幻想と現実が溶け合う魔法の感覚へと誘う。

この度解禁されたのは、観る者を幻想と現実が溶け合う魔法の感覚へと誘う背景美術に迫るインタビューコメントと場面写真。本作の背景美術において、サクソン監督が貫いたのは、徹底した「絵画的アプローチ」と「職人的な手仕事」へのこだわり。サクソン監督は、イラストレーターのマリー・ネルソンと共に、初期段階からストーリーボードを作成し世界観を構築していった。ネルソンは「彼はファンタジーの中に本物であることと、しっかりとしたリアリズムがあることに強いこだわりを持っています」と証言している。

この均衡を保つための鍵となったのが、ルーマニア・トランシルバニアでのロケーション撮影で、サクソン監督は、手つかずの原生林が残るこの地に出合った感想を「まるでタイムマシンに乗ったみたいだ」と表現し、「トランシルバニアの、カルパチア山脈の人里離れた場所で撮影したいとずっと思っていました。都市を離れれば、馬車が走り、人々が土地に深く根差して暮らしている場所です」と解説している。 “手づくり感”にこだわり、なるべくビジュアル・エフェクトを使用しないように心がけていた本作は、全編のほとんどを実写で撮影している。

撮影監督のエヴァン・プロソフスキーは、理想の質感を求めて1年以上レンズのテストを繰り返し、最終的に米国で初めて製造され、『カサブランカ』などの名作に使われた1930年代のバルターレンズを修復して使用。「エヴァンはこうした大昔のレンズを買って修理し、カメラケースに入れていました。現代でこういったレンズが使われる、最初のカラー映画かもしれない」とサクソン監督は満足気に語っている。
さらに背景美術の格を上げたのは、サクソン監督自身によるマットペインティング。予算の都合から手掛けることになったこのプロセスは、監督が13歳の頃からの遊びの延長線上にあるもので、写真をコラージュしフォトショップでペイントを重ね、どこか見覚えがあるが実在しない村を創り上げていった。なんと200枚ものマットペインティングを監督自身が仕上げ、その後100人以上のVFX職人たちが背景を一体化して、オチが生息する幻想的な村が創造された。

サクソン監督がこれほどまでに労を惜しまないのは、CGIやAIが主流になる前の、人の手によるエフェクトが持つ“魔法”を信じているから。最新技術に頼り切るのではなく、人間の手と歴史的な道具、そして豊かな自然を融合させることで、現代の映画が忘れかけていた真の「映像の魔術」をスクリーンに蘇らせた監督の“執念のこだわり”に注目してほしい。
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『OCHI!-オチ-』は4月3日(金)より全国にて公開。


