『去年マリエンバートで』『ジャンヌ・ディエルマン』で知られる伝説的女優デルフィーヌ・セリッグ唯一の長編監督作であるドキュメンタリー映画『美しく、黙りなさい』が制作50年を記念して7月24日(金)より劇場公開。この度、勇気を持って映画に出演した女優たちが語る日本版予告編が解禁となった。
デルフィーヌ・セリッグは社会のジェンダー差別に声を上げ、活動した女優。その唯一の長編監督作『美しく、黙りなさい』(1976)は、この「50年で変わったこと/変わらなかったこと」が見えてくる「映画とジェンダーをめぐる歴史的重要作」。
ジェンダーについて語ることにリスクがあった70年代。ジェーン・フォンダ、シャーリー・マクレーン、ジュリエット・ベルト、アンヌ・ヴィアゼムスキー、マリア・シュナイダーらは勇気を持って映画に出演し、率直に親密に、ある時はユーモラスに笑い合いながら、デルフィーヌ・セリッグ監督と語り合った。
『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』(1975年/シャンタル・アケルマン監督)の主演をきっかけに、カメラの後ろに立ち、自分の映画を作ろうと考えたというデルフィーヌ・セリッグ監督。
予告編のはじまりは、監督であるデルフィーヌ・セリッグの声。本編でも何度か繰り返される映画のタイトル「Sois belle et tais-toi !」(ソワ・ベル・エ・テ・トワ/美しくありなさい、そして黙っていなさい)という言葉。これは、フランスではよく知られているジェンダー差別を象徴する決まり文句。

予告編の音楽は、イギリス女性参政権運動のときに作られた「The March of the Women」。いまでも女性たちのアンセムとなっている楽曲と共に、最初に登場する女優は、ジェーン・フォンダ。フランス語が堪能な彼女は流暢に「彼らに顔をいじられて、鏡を見たら自分が誰か分からなかった」と、当時、女優たちがいかに“ベルトコンベアに乗った商品”のように扱われていたかを語る。

さらに、マリア・シュナイダー、アンヌ・ヴィアゼムスキー、ジュリエット・ベルト、シャーリー・マクレーン、エレン・バースティンといった女優たちの生き生きとした表情と率直な声。

印象的なのは、監督のデルフィーヌ・セリッグは女優たちに「2つの質問」をすることをコンセプトにしていたこと。その質問とは、「女性でなくても俳優になっていた?」「女性同士の友好的な場面を演じたことがある?」の2つ。
彼女の息子のダンカン・ヤンガーマンは「母は、当時は誰も尋ねたことがない、女優たち自身でさえ考えたことがない質問をして、彼女たちから自由な連想や啓示を引き起こそうとしました。例えば、“他の女優と友好的な場面を演じたことがありますか?”という質問を聞くと、“おかしい、そういえば一度もない!”といった反応になるのです」と語っている。

女優たちは面白がり、話し始め、時に脱線し、やがて現実が浮き上がる。「母は、“ひとりぼっち”ではなく、姉妹のように共感しあえる瞬間を本当に愛していました。シスターフッドへの欲求でした」という証言通り、『美しく、黙りなさい』は歴史を感じさせながらも、その現代性とメッセージはいっそう輝きを増し、現代のシスターフッドムービーを観たかのように「50年で変わったこと/変わらなかったこと」を共有しながら語り合える映画となっている。

なお、本作はその修復の趣旨から、日本では、配信・テレビ・パッケージ化はなく、劇場上映と自主上映のみに限定されており、今回も貴重な機会となっている。
『美しく、黙りなさい』は7月24日(金)よりBunkamura ル・シネマ 渋谷宮下ほか全国にて順次公開。



