第79回カンヌ国際映画祭「カンヌ・プレミア」部門に出品されている黒沢清監督『黒牢城』。主演の本木雅弘、菅田将暉、宮舘涼太がカンヌに初降臨、2度目の参加の青木崇高、常連である黒沢監督らとフォトコール、公式上映に参加した。
黒沢監督にとってキャリア初の時代劇となる本作は、密室と化した“黒牢城”を舞台に、城主・荒木村重(本木雅弘)とその妻・千代保(吉高由里子)、地下牢に囚われた天才軍師・黒田官兵衛(菅田将暉)らを取り巻く、様々な登場人物たちの思惑が飛び交う緊迫の戦国系心理ミステリー超大作。
現地時間5月19日午後。煌びやかな地中海を臨む晴天に恵まれたカンヌにて、まず、公式上映に先駆けて行われたフォトコール(プレス向け撮影会)に、『黒牢城』チームが集結した。

宮舘涼太、リクエストに応じ華麗なターン披露
世界各国のメディアから熱い声援と無数のフラッシュが飛び交う中、主演の本木を筆頭に、菅田、青木、宮舘、そして黒沢監督が颯爽と姿を現すと、会場は割れんばかりの喝采に包まれた。
本作で座長を務め、武将・荒木村重として圧倒的な威厳を放つ本木をはじめ、村重とともに城内で起こる“怪事件”の真相を追う、囚われの天才軍師・黒田官兵衛を演じた菅田、村重に忠義を示す若き家臣・乾助三郎を演じた宮舘は、全員、今回がカンヌ初参加。

初めて踏むカンヌの地でも、洗練された立ち振る舞いと眼差しは熟練の海外メディアたちを即座に魅了し、カンヌの海を背に堂々たる存在感を見せつけた。
一方、本作で6度目の公式部門出品を果たした黒沢監督、そして2度目の参加となる青木は、鳴りやまないコールに照れ笑いを浮かべながらもリラックスした様子で撮影に対応。

さらに、撮影中には宮舘が咄嗟に記者たちのリクエストに応じ、華麗なターンで会場を盛り上げる場面も。
レッドカーペットと本作の公式上映を目前に、確かな“手応え”を実感したキャスト一同は、それぞれ喜びと続くレッドカーペットへの期待を滲ませながら会場を後にした。
フォトコールでのキャストコメント
■本木雅弘/荒木村重役
私は緊張してる間にあっという間に終わりましたけれども、『黒牢城』チームは、“舘様”の華麗なるターンで強く印象付いたと思います。
レッドカーペットでも空気に飲まれないよう、無事に全うできればと思います。
■菅田将暉/黒田官兵衛役
カンヌの海は、リッチだけどカジュアルな感じもあって、全部が白くて眩しい!みたいな場所でしたね。
普段はシャイな黒沢監督が表舞台で見せる“眼力”が僕はとても好きなので、皆さんもぜひ注目してほしいです。
■青木崇高/荒木久左衛門役
最初は無風でしたが、撮影中にちょうど心地いい風が吹いてきて、極上のフォトコールを味わいました。
カンヌでのレッドカーペットは人生で何度も歩けるような場所でもないので、『黒牢城』チームで堂々と楽しんで歩きたいです。
■宮舘涼太/乾助三郎役
日本の魂を見せつけるかのごとく、必死にターンをしました(笑)
待ちに待った、『黒牢城』の上映とレッドカーペットを皆さんとともに歩く時間がとても楽しみです。
約1,000人の観客が総立ちのスタンディングオベーション
さらに現地時間、同日19日夜、「カンヌ・プレミア」部門でついに世界初披露。世界中の映画人やジャーナリストが詰めかけ、熱気に包まれた夜のレッドカーペットには、本木、菅田、青木、宮舘、黒沢監督ら一同が正装のタキシードを完璧に着こなし颯爽と登場。

昼間の表情とは一変、どこか引き締まった緊張の面持ちを浮かべつつ無数のフラッシュの中を一歩ずつ噛みしめるように進み、世界へ挑む覚悟を感じさせる堂々たる風格で会場を圧倒した。
その後、会場を「Salle Debussy(ドビュッシー・シアター)」に移して行われた公式上映。1,000席を超える場内は満員の観客で埋め尽くされ、異様な熱気に包まれた。
海外マスコミの注目度の高さがうかがえるなか、戦国の世を舞台に、城内という閉ざされた空間で繰り広げられるヒリつくような“密室心理戦”に観客たちは一様に息を呑み、場内にはこれまでにない濃密な緊張感が漂った。
エンドロールが流れはじめた直後から1,000人の観客総立ちによるスタンディングオベーションが場内に響き渡ると、黒沢監督は本木や菅田らと固い握手を交わし、客席へ深々と一礼。

安堵の表情を見せつつも笑顔で喜びを分かち合った一同は、感慨深げに圧巻の光景を見つめていた。
会場には、是枝裕和監督をはじめ、濱口竜介監督、深田晃司監督、石川慶監督、岨手由貴子監督らも上映に参加。絶賛の声が相次ぐ中、現地の観客たちの熱狂的な反応を全身で浴びた一同は、その後日本の報道陣に向けた囲み取材を行った。

カンヌ出品が決定した際、本作が持つ“新たな人間ドラマとしての魅力”が伝わることに期待を寄せていた本木。鳴り止まぬ称賛と喝采を全身で浴び、その想いが国境を越えて届いた手応えを噛み締めるように、「時代劇という異文化をどんな風に解釈してくれるんだろうと、少し不安に感じていましたが、本作が伝える“現代へのメッセージ”を、セリフが無い無音の中でも感じ取っていただけているような、皆さんがスクリーンに惹きつけられている姿を、確かに肌で感じました」と、瞳を潤ませながら熱い想いを語った。
そんな本木と同じく、充実感をのぞかせる菅田、青木、宮舘らキャスト陣。「ミラクルな初体験でしたし、日本の試写会で観たときよりもリラックスしてお客さんとしても楽しめたような、不思議な時間でした。皆さんと一体感が感じ取れてとても誇らしい気分でした」と菅田。

「心地良い安堵感に包まれて、体がポカポカするような気持ちです。これからの人生で作品に向きあう時に、今日の瞬間を多分思い出すんじゃないかな、と。今後もずっと頑張っていける“糧”になるような、本当に嬉しい瞬間でした」(青木)、「正直、上映中はずっと緊張していました。観客の皆さんの反応を通して、日本の映画の良さを改めて感じることができました。自分にとっても、メンバーに対しても今後語り継ぐことができる、非常に貴重な経験ができました」(宮舘)とそれぞれに語り、口々に喜びを表現。
本作で6度目の公式部門出品を果たした黒沢監督も、「カンヌをはじめ色々な映画祭に参加してきましたが、上映後の拍手が皆さん本気で拍手してくれているな、祝福してくれているなと感じて、そんな経験は初めてでした。普遍的な物語として皆さんの心に伝わってくれたら嬉しいな、と思いながら作った映画ですので、上映後には、皆さんから温かい拍手をいただけて感激しました」と、万感の思いを込めていた。

<上映、カンヌ全体を振り返って>キャスト・監督コメント
■本木雅弘/荒木村重役
私にとっては、60歳にして初めてのカンヌでした。短い時間でしたが、一生語れる思い出ができたという「お伊勢参り」だったかな、と(笑)上映会を終えて、一言では語り切れない喜びがありました。
カンヌ映画祭に参加できたことは、第一に黒沢監督に対する皆さんの信頼度と期待、リスペクトの“御裾分け”で自分がここにいるという気持ちは、最初からずっと感じています。
日本人でも理解するのが難しいかもしれない時代劇という異文化を、どんな風に解釈してくれるんだろうと少し不安に感じていましたが、人間のもつおかしみや滑稽な姿、真実が見え隠れするシーンではクスクスと笑いが起きたりもしていて。さらには、原作のもつ、そして黒沢監督が脚本の中でアレンジした本作が伝える“現代へのメッセージ”を、セリフが無い無音の中でも感じ取っていただけているような、皆さんがスクリーンに惹きつけられている姿を、確かに肌で感じました。
■菅田将暉/黒田官兵衛役
ミラクルな初体験でしたし、日本の試写会で観たときよりもリラックスしてお客さんとしても楽しめたような、不思議な時間でした。
(観客の反応は)想像以上に笑いが起こったり、日本の言葉遊びみたいなところも伝わってるような、皆さんと一体感が感じ取れてとても誇らしい気分でした。
■青木崇高/荒木久左衛門役
心地良い安堵感に包まれて、体がポカポカするような気持ちです。本編が始まる前に、配給会社をはじめ関わった会社が映されるだけで拍手が起きたりするのは、カンヌ映画祭ならではだなと感じました。拍手に包まれている時間は照れくさい時間でもありましたが、会場を後にするときは急激な寂しさも感じて…。そういうのも全部含めて、とても幸せな気分になっています。
これからの人生で作品に向きあう時に、今日の瞬間を、多分思い出すんじゃないかな、と思います。今後もずっと頑張っていける“糧”になるような、本当に嬉しい瞬間でした。
■宮舘涼太/乾助三郎役
すべてが初めての経験で、「カンヌに来ているな」という実感があります。観客の皆さんの反応を通して、日本の映画の良さを改めて感じることができました。自分にとっても、メンバーに対しても今後語り継ぐことができる、非常に貴重な経験ができました。
正直、上映中はずっと緊張していました。ただ、最後にいただいたスタンディングオベーションが本当に温かくて。会場全体の熱意も感じられるようなものだったので、映画祭を皮切りにようやく『黒牢城』が色々な方々に届けられたなと実感して、そこではじめて安心できました。
■黒沢清監督
私のファンは、大勢の方がホラー好きなので、「これ、ホラーじゃないんだよな…。ガッカリされないかな」と、正直不安な想いで会場に入りました(笑)
私自身は、日本の時代劇を届けるという気持ちよりは普遍的な物語として皆さんの心に伝わってくれたら嬉しいな、と思いながら作った映画ですので、上映後には、皆さんから温かい拍手をいただけて感激しました。
カンヌをはじめ色々な映画祭に参加してきましたが、上映後の拍手が皆さん本気で拍手してくれているな、祝福してくれているなと感じて、そんな経験は初めてでした。皆さんのおかげでこんな映画ができたことが何よりもこの経験につながっているんだな、と、しみじみ感じております。
『黒牢城』は6月19日(金)より全国にて公開。


