チベット初の女性監督の劇場公開作品『リンカ リンカ~あの夏の先』の日本公開が決定。
「リンカ」とはチベット語で、夏のピクニックのような野遊びや、野遊びをする庭園をさす言葉だ。
本作は、アジアの若手監督の登竜門とも言われる香港国際映画祭ヤング・シネマ・コンペティションで「最優秀作品賞」「国際批評家連盟賞」をダブル受賞。東京国際映画祭アジアの未来部門では『一つの夜と三つの夏』のタイトルで上映されるなど、数々の映画祭で高く評価されてきた。

監督は1995年生まれのカンドゥン。チベットのラサに生まれ、北京で映画を学んだのち、ラサに戻って映画製作を続けている。
物語は、映画監督を志す若い女性サムキが主人公。少女時代の友だちラモとの記憶を映画にするために、中学進学を機に離れた故郷チベットに戻ってくる。久しぶりに会う父。そして、映画の撮影が進むなか、突然、大人になったラモが彼女の前に現れるが、彼女の記憶が自分と違うことに気づく……というストーリーだ。
監督自身も主人公と同じく、生まれ故郷のチベットを離れ、中学校から中国内地に進学。成長期の間、夏休み以外は故郷に帰省できなかったという。

本作に大きな影響を与えたのはアッバス・キアロスタミ監督。ドキュメンタリーとフィクションの境界を消し去り、観客を虚実のあわいへ誘うメタ・シネマ構造で数々の名作を残した名匠だ。カンドゥン監督はキアロスタミ監督のジグザグ道三部作が大好きで、『そして人生はつづく』『オリーブの林をぬけて』には特に学ぶことが多かったという。「虚実のあわいから見えてくる真実」を描くために、「映画の中で映画を撮影している」というメタ・シネマ構造を使った大胆な構成とシンプルな語り口で、自身初の長編劇映画を完成させた。

本作は日本で初めて公開されるチベット女性監督作品であると同時に、チベットの都市ラサの若者たちの姿をリアルに描いた初めての映画でもある。
監督コメント(全文)
私の記憶の中の故郷には、冬も春もなく、夏しかありませんでした。ですから、私は、記憶の中のラサの夏がどのようなものだったのかを表現しようと思いました。ラサは、時に安易に神聖化されたり、ステレオタイプ化されたりすることがあります。私が生まれ、今も暮らしているラサの生活の質感、その雰囲気、そしてラサの人々の真の姿、彼らの生き方も伝えたいと願っています。「リンカ」とは、ラサの生活の特徴と精神を体現したものなのです。
『リンカ リンカ~あの夏の先』は9月11日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺ほか全国にて順次公開。



