『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』で、ユ・ギルチェの初恋の相手ナム・ヨンジュンを演じたイ・ハクジュ。誠実で品がありながら、どこか時代の波にのみ込まれていくような繊細さをにじませる演技は、物語に静かな余韻を残した。作品を通じて彼にあらためて注目した視聴者も多かったはずだ。
もともとイ・ハクジュは、派手に前へ出るというより、作品の空気を静かに支えるタイプの俳優だ。『アルハンブラ宮殿の思い出』、『夫婦の世界』などを経て、着実に印象を積み重ねてきた彼は『恋人』のあと、その歩みはさらに広がっている。
2024年には『LTNS~不倫探偵夫婦物語~』『仮釈放審査官イ・ハンシン』に出演し、2025年には『ニュートピア』『ジャガイモ研究所』『エスクワイア:弁護士を夢見る弁護士たち』と、話題作への出演が続いている。

特に2025年の『エスクワイア:弁護士を夢見る弁護士たち』では、法律事務所ユルリムの訴訟チームに所属するアソシエイト弁護士イ・ジヌ役を演じて注目を集めた。
一見すると冷静沈着で理屈の人に見えながら、その内側には現実に屈しない熱さを秘めている人物で、記事は彼の演技について“静かな情熱”という言葉で表現していた。大きく感情を振り回すのではなく、抑えた演技の中で人物の内面を見せるという点で、まさにイ・ハクジュらしい役どころだったのだろう。
また、同じ2025年には『ジャガイモ研究所』でパク・ギセ役にも出演している。イ・ソンビン演じるキム・ミギョンの元恋人役として、コメディとヒューマンドラマの間を行き来する柔軟さを見せた。
そして今年2026年作品としてはNetflix『マンスリー彼氏』『50%の人生リスタート』、に出演しており、2026年公開予定のドラマ『幻惑』への公開も控えている。
2024年、2025年、そして2026年へと、着実に出演作の幅を広げているイ・ハジュン。『恋人』でナム・ヨンジュンに心を留めた人にとって、今のイ・ハクジュは“あの時代劇の人”にとどまらない。法廷ものでも、コメディでも、近未来的な設定の作品でも、きちんと自分の存在感を残す俳優として歩みを続けている。
文=森下 薫

