東野圭吾の小説を映画化した『殺人の門』より第31回釜山国際映画祭でのワールドプレミア上映の舞台挨拶の様子が到着した。
現地時間10月8日(木)、第31回釜山国際映画祭にてワールドプレミア上映が行われた本作。W主演の山﨑賢人、松下洸平、そして新キャストとして出演が解禁されたばかりの武井咲が登壇した。山﨑、松下、武井ともに釜山国際映画祭での現地登壇は初となる。
本作が正式出品された「A Window on Asian Cinema」部門は、アジア最高峰の映画祭として知られる同映画祭の中核を担う上映部門。2026年は特に日本映画の話題作が多数並ぶなかでも、"映像化不可能"とされた東野圭吾の傑作にして最大の問題作である本作への注目度は別格で、上映会場となったSohyang Theatre Woori Bank Hallは超満員の観客で埋め尽くされた。

執拗に"親友"の人生を狂わせ続ける男と、その悪意から逃れられない男の約30年に及ぶ歪んだ友情、そしてその奥に潜む殺意を描く重厚なドラマに、息を殺し、緊張感が張り詰める場内。終映直後には静寂を切り裂く大拍手が沸き起こり、会場全体は凄まじい衝撃と熱狂に包まれた。
上映後の舞台挨拶にキャスト陣が姿を現すと、客席からは割れんばかりの大歓声が。山﨑は自身がアンバサダーを務める「Saint Laurent(サンローラン)」の黒のシングルブレストジャケットのスーツ、松下は黒いダブルのテーラードジャケットのスーツ、武井は水彩画風のフラワープリントが印象的なオフショルダーのドレス姿で登場した。

さらに3人は「アンニョンハセヨ」と挨拶と自己紹介に続けて、山﨑は「ヨンファ チェミッソソヨ(映画面白かったですか)」、松下は「マンナソ パンガプスムニダ(お会い出来て嬉しいです)」、武井は「韓国チンチャチョアヨ(韓国大好きです)」とリレー形式で韓国語を披露し、一瞬にして現地の映画ファンを魅了した。
あらゆる人を惹きつける魅力を持ちながら、親友の人生を狂わせていく倉持役を演じた山﨑は、倉持という人物を演じることにどんな面白さや難しさを感じましたか?と問われ、「簡単なストーリーではなく、捉え方によって色んな解釈が出来るところがすごく面白いと思いました。人を翻弄する倉持という人物がすごく魅力的に感じられてこの役に挑戦したいと思いました」と答えた。回答の後には、山﨑が会場から呼びかけられ「カムサハムニダ」と応答する一幕も。

倉持に翻弄され憎しみを募らせながらも、その存在を断ち切れない田島役を演じた松下は、プライベートでも親交があり"親友"のような関係の山﨑を"殺したいほど憎む"役を演じる感覚を問われ、「普段は大切な友人ですが、芝居の中で彼を憎まなければならなかったのが大変でした。ただ、お芝居をやっていく中で賢人ではなく倉持に見えてくる瞬間があって、それは彼が芝居で引き出してくれた倉持の魅力なので、その気持ちを無駄にしてはいけないと思い、全身全霊で"殺意"を自分の中で作り上げていきました」と回答。さらに「撮影が終わってからも、賢人が『田島』と呼びかけてくることがあって、その時はトラウマが甦りました(笑)」と明かした。

田島が密かに想いを寄せながらも倉持の妻となり、2人の歪んだ運命を大きく揺さぶっていく上原由希子役を演じた武井は、由希子という女性を演じるにあたって大切にしたことを問われ、「すごく難しかったです。原作を読みながら、全キャラクターの中で一番純粋で、一番普通の人に見えたらいいなと心がけながら演じました。実際のお芝居になってみないと自分がどんな感情になるかわからなかったのでぶっつけ本番の現場でした」と回答。
また、現地ファンやメディアと直接対話するQ&Aコーナーでは、作品の核心に迫る熱狂的な質問が次々と寄せられた。
まずは松下に「田島の座る革の椅子が破けているというようなシーンが度々あって、これには特別な意味はあるのですか?」と鋭い質問が。松下は「そう言われて今気がつきました。でも、もしかしたら監督が二人のパワーバランスを表現していたのかもしれないです。高級車のドアの開け方がわからない田島に倉持が開けてあげるという、倉持が田島を見下すようなシーンは現場で生まれたアドリブです」と撮影の裏話を披露した。
山﨑は「倉持を演じる際、どのような想いをもって田島を見ていたのか、お聞きしたいです」と問われ、「最初は子供の頃の二人には家庭環境の差があって、裕福な田島を妬みや嫉妬で見ていたけれど、倉持は田島のことを人としてはすごく好きだったはず。彼は幼少期に感情がねじれてしまっていて、自分の方がずっと幸せでいたい、でも田島が不幸になりすぎるのも嫌だという気持ちだったんじゃないかと思います」と自身が演じた役を分析した。
武井は「一番お気に入りのシーンを教えてください」と問われ、「家具屋のシーンです。原作にもあるシーンですが、映像で見た時は感動しました」と答えた。
最後に、「撮影の際に自分の限界を超えて相手に影響を受けたエピソードは?」と問われた3人。山﨑は「芝居の相手からもらうものも多くあり、そのおかげで倉持が出来上がったと思う」、松下は「普段は大きい声で怒鳴ったり人を傷つけるようなことはしないので、森田さんとのシーンは心配でしたが、共演した森田望智さんが全部を受け止めてくれて、賢人も僕の感情的な芝居を冷静に受け止めてくれて、みんなが僕を田島にしてくれました」、武井は「田島はどんどん削られていく役に、心配になるくらい没頭されていて、近寄りがたい空気を纏っていました。山﨑さんは現場でも優しい雰囲気でしたが、それにみんなが翻弄されているような感じで恐怖さえ覚えました。お二人のお芝居を近くで見させていただき光栄でした」とそれぞれ回答した。
舞台挨拶が終了すると、登壇者たちは観客とともに記念撮影。登壇者に向けて惜しみない拍手と歓声が送られ、会場は冷めやらない熱狂と興奮に包まれたまま幕を閉じた。

終映後の会場では、世界で最初に本作を観た現地のファンたちから「山﨑賢人さんの演技に翻弄された!」「キャストの皆さんの演技が本当に素晴らしくてハラハラした」と圧巻の演技力を称賛する声をはじめ、「普段あまりミステリーは観ないが、凄まじい緊張感と圧倒されるような感覚を味わった」「原作以上に引き込まれ、絶対にもう一度観たいと思わされた」と、映画ならではの重厚な完成度に感嘆する声が続出。熱烈なコメントが相次いだ。
『殺人の門』は2027年2月19日(金)より全国にて公開。



