モリーズ・ゲーム

『モリーズ・ゲーム』
提供:キノ・フィルムズ

トップアスリートから予想外の転身を遂げ、ハリウッドの都市伝説的なポーカー・ルームの若き女性経営者となった実在の回顧録を基に、アーロン・ソーキンが独自の視点で脚本&初監督に挑んだ『モリーズ・ゲーム』が5月11日に全国公開。シネマカフェでは、本作の魅力とともに主人公を演じるジェシカ・チャステインにフォーカスし、彼女の魅力を様々な角度から特集する。

とにかくタフ! 目標に向かって自ら突き進むモリーの美学、そして、栄光と挫折。

2014年に刊行された、ある女性の回顧録。それは、世界でも名を知らぬ人がいないほどのセレブリティを顧客に持つエクスクルーシブなポーカー・ルームの内幕を明かしたもので、たちまちベストセラーとなった。彼女の名はモリー・ブルーム。2002年、女子スキー・モーグル競技で冬季オリンピックの出場権を目前で逃した彼女は、休暇で滞在したLAで運命を変えるあるものと出会う。それは、エンタメ界、音楽界、財界など、桁違いの大物たちが集う秘密のポーカー・ゲーム。参加費は1万ドル(100万円相当)という高額ゲームの運営を手伝うモリーだったが、ある出来事をきっかけに自らのポーカー・ルームをオープン。数年後、NYに場所を移したモリーは、参加費25万ドル、一夜で100万ドルが動くゲームの主催者に。どんなに大物でも、彼女の招待なしにはプレイできない。モリーはその世界では知らない者がいない、“ポーカー・プリンセス”となっていた。

彼女の報酬は、顧客たちからのチップのみ。手数料を取らない限りは合法なのだ。だが、大金を持て余す富裕層の欲望に応じるうち、扱う金額はどんどん膨れ上がっていく。やがて、大金に吸い寄せられるように、さまざまな大物が集うことでポーカー・ルームの均衡が崩れ――。身の危険を感じたモリーは、このビジネスから身を引くことに。ところが、これが最後だと決めていたゲームに捜査が入り、全財産を没収されてしまい、すべてを失うことになる。そして引退から2年後、FBIから顧客情報を渡すかわりに財産を返却するとの交渉がもちかけられる。トップアスリートから、セレブリティが集う高額ポーカー・ルームの経営者となったとき、モリーはまだ26歳。ロースクールを目指す明晰な頭脳と決断力を武器に、人を騙すことなく500万ドルもの富を手にしていた。FBIの真の目的とは?モリーが下す驚きの決断とは?目標を見据えそれに突き進み、どんなときも自分を失わず、挫折を味わってもなお自らにとって最も大切なものを見極め、それを守り抜こうとする姿に、モリー・ブルームの美学が見えてくる。


ハリウッドセレブをも魅了した高額ポーカー・ゲーム。『ソーシャル・ネットワーク』脚本のアーロン・ソーキン初監督作&実力派キャストが魅せる、緊迫のリアリティを体感。

回顧録をベースに、“その後”の出来事を加え、モリー・ブルームの生き様とその美学を、より鮮明に浮かび上がらせたのは、アーロン・ソーキン監督だ。『ソーシャル・ネットワーク』『マネーボール』『スティーブ・ジョブズ』など、桁違いの成功を手にした天才たちの実像に迫る作品でオスカーなど数々の映画賞を手にした天才脚本家。本作では初監督にも挑戦している。モリーの精神的な強靭さ、どんな状況においても自分を見失わず、その強い意志と信念で様々な体制・常識を打ち破っていく彼女に惹かれたのだという。「彼女は当たりくじを持っていた。真実を語りさえすれば、金持ちの有名人になれたはずなのに、彼女はそんなことをする気はなかった。私はその点にとても感心しているし、映画でもそこを称賛している」と話す。はじめは、人の噂話をするような脚本は書きたくなかったというが、モリーに会って乗り気に。2年間にわたり取材を行い、約1年かけて執筆。「自分の頭の中にあるアイディアを言葉では伝えらなかった」と、初監督をする覚悟を決める。

そんな彼に吸い寄せられるように集まったのが、実力派のキャスト達。モリーを熱望する一流女優達から多くのアプローチを受けるなか、当初から監督の頭に浮かんでいたのがジェシカ・チャステインだった。強い女性像を見事に演じ分け、自身も強い信念の持ち主として知られるジェシカはモリーにぴったりだったのだ。「アーロンはアメリカ映画界で最高の作家のひとりよ。ひとりの女性が男ばかりの業界で成功するという、弱者の話である点も気に入ったわ。それに、本物のモリーも大好きなの」とジェシカは言う。モリーの人生を左右する男たちにも、名優がキャスティングされた。モリーの人格形成と生き様に強い影響を与えた父親にケヴィン・コスナー。彼女の唯一の味方である弁護士に『マンデラ 自由への長い道』のネルソン・マンデラ役で称賛されたイドリス・エルバ。名脚本家による肉厚なストーリーと、脚本を忠実にビジュアル化できる唯一の監督によるスピーディなストーリーテリング、実力派たちによる息も詰まるような競演により、緊迫感とリアリティに溢れる世界が生まれたのだ。


ぶれない女は、無敵。ジェシカ・チャステイン主演:参考にすべき、敏腕オトナ女子映画3選

『女神のみえざる手』

エリザベスは、クライアントはもちろん、政府やマスコミからも一目置かれる花形ロビイスト。天才的なひらめきと戦略を武器に政府を影で動かす存在だ。そんな彼女が銃規制法案の成立をめぐる予測不能の攻防戦に巻き込まれ……。目的のために手段を選ばず、巨大権力と戦うことも辞さない彼女は、真っ赤な口紅とハイヒールがトレードマーク。高級ブランドの服に身を固めて隙を見せず、権力者たちとも堂々と渡り合う姿は神々しい。まさに女神!

『ユダヤ人を救った動物園
~アントニーナが愛した命~』

第二次世界大戦下のポーランドのワルシャワで、動物園を営む夫婦が、迫害されゲットーに連行されたユダヤ人たちを救出し、園に匿い救った実話から生まれた物語。妻のアントニーナは、夫が地下活動で不在にする中、危険な橋を渡りながらも、多くの人々の命に係わる決断を下す役割を担っていくようになる。家族や動物たちを愛で包み込んでいた純真無垢な一人の主婦が、自らの使命に目覚め、強く凛々しく変化していく姿が印象的。

『ゼロ・ダーク・サーティ』

アルカイダのテロ活動が活発になる中、米国は指導者ビンラディンの捜索に心血を注いでいた。高い情報収集能力と天才的な分析力で捜索チームに抜擢されたCIA分析官のマヤは、同僚が自爆テロの被害に遭った日を境に、すべてを犠牲にして仕事にのめりこんでいく。史上最も過酷とも呼ばれる作戦で、ターゲットを追い詰めていくマヤの狂気にも似たプロ意識が見もの。敏腕女性監督キャスリン・ビグローとジェシカの華麗なタッグも話題に。


できる女は、華麗に美しく。モリーズ・ファッション・コレクション

コロラド出身のトップアスリートから、ロサンゼルスで美しき“ポーカー・プリンセス”へ。その華麗なる変身ぶりは実に鮮やか。できる女は、自分を美しく見せる術を持ち、大胆な変化をも恐れない。

モリーがポーカーの世界に足を踏み入れたのは、大学卒業直後。初めてゲームの運営を手伝った時に着ていたのは、88ドルで買った星柄のワンピース。学生らしさの残るその服は、ボスである主催者に「醜い」と言い捨てられる。そこで一念発起してバーニーズでドレスを調達。名だたるセレブが密かに集い、札束が飛び交うゲームの場に相応しく、彼女自身も変化していく。自分の役割を自覚したモリーは、その後、収入源である高額チップを糧に、赤やスパンコールのドレスを身にまとうように。やがて、自らのポーカー・ルームを経営すると、足元には真っ赤なアウトソールのハイヒールが。ルブタンは彼女のトレードマークともいえるアイテムになる。高級シューズは、いわばおしゃれの到達点。究極のおしゃれは靴にあり、というのは今も昔も変わらない。ひとまずここで、モリーの完成形ができあがるのだ。

服に合わせて、ヘアメイクもナチュラル系からゴージャス系に変わっていく。もちろん、それはきらびやかなドレスとのバランスをとったものだけれど、いつかはロースクールに入学し法律家になろうと考えていたモリーだけに、この栄光が虚像にすぎないと潜在的に感じ、それを悟られないよう素顔を厚く覆った可能性も。そんな彼女が、LAからNYへと場を移し、より高級な場を提供しはじめた際、最もこだわったのは顧客が大金を掛けたくなるムードづくり。プラザホテルのスイート、高級葉巻、アロマ、バー、美女そして、誰もがひれ伏す女主人。自らの存在が不可欠であることを知っていたからこそ、ドレスの露出はアップし、素材はよりシャイニーで透け感のあるものへ。顧客との恋愛は一切なし。玉の輿を期待していたわけでもなく、お色気をアピールしていたわけでもなく、あくまでもビジネスライクに役割に徹するモリー。その場に相応しい、美しい姿へと変身することを恐れない。そんな聡明さや勇気も、できる女の最強の武器のひとつなのかもしれない。

PHOTO GALLERY

『モリーズ・ゲーム』

『モリーズ・ゲーム』

  • モーグルのオリンピック候補だったモリー・ブルームは、選考をかけた大会で怪我を負い、アスリートの道を諦める。ハーバード大学へ進学するまでの一年を、ロサンゼルスで気ままに過ごすことにしたモリーだったが、勤めていた会社のボスから、アンダーグラウンドなポーカー・ゲームのアシスタントを頼まれる。そこでは、ハリウッドスターや大物プロデューサー、大企業の経営者らが法外な賭け金でポーカーに講じていた。やがて、彼女はその才覚で26歳にして自分のゲームルームを開設するのだが、10年後FBIに逮捕される。彼女を担当した弁護士は、打合せを重ねるうちに、目の前の女性がタブロイド紙に書きたてられるような人物でないことを知るのだが──。

    STAFF:監督・脚本 アーロン・ソーキン
    CAST:ジェシカ・チャステイン、イドリス・エルバ ケヴィン・コスナー

5月11日(金)全国ロードショー

『女神の見えざる手』(c)2016 EUROPACORP ー FRANCE 2 CINEMA
『ゼロ・ダーク・サーティ』、『ユダヤ人を救った動物園~アントニーナが愛した命~』写真提供:APOLLO

モリーズ・ゲーム

もっと見る