世界の映画館 vol.05 バリ
海外旅行に行ったことがある人なら一度は免税店に行ったことがあるかと思う。しかし、僕は、この免税店というものが、未だによく分からない。税金を免除するというのはわかるのだが、それ自体が高いのか安いのかの判断に困ることがある。例えば同じようなお土産は税金を払ってでもスーパーで買った方が明らかに安い物が販売されていたりもする。
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「元値を高く設定するのはこちらの勝手でしょ! それに空港の中にあるからお土産には便利だし、そもそも物が違うのよ!」
僕も署名運動するほど抗議をする気もないので別にいいと思っている。
今回、紹介するバリ島にも、もれなく免税店があちこちにあるわけで、僕が泊まっていたスミニャックのホテルからは、無料バスなども出ているわけである。そして、この免税店の敷地内に映画館がやる気なさそうに建っているのだ。
前々回、ボルネオ島の映画館の話を書いたとき、看板の話を書いたと思うが、こちらの看板も手描きである。普通、映画館の看板を描いたなら、目立つ場所に飾るだろうと考えるが、こちらでは、何だか裏口のような場所の上に飾られているのである。これでは通りから入ってきた場合、映画館だとは一見わからない。しかも正直、あまり似ていない。来年2月に日本公開される『THE GUARDIAN』(邦題『守護神』)がかかげられているのだが、このケヴィン・コスナーがどう見ても若林豪に見えるのである。だから裏口に飾っているのかもしれない。絶対にそれはないと思うが…。
そもそも免税店に来るのは、様々な情報によると日本人の割合が一番高いにも関わらず、この映画館に日本人が入る可能性は限りなく0パーセントに近いと思う。どうして、ここに建てたのだろう。買っている間に買い物に興味がない人は映画でも見て時間を潰す目的のためだったのだろうか。中を覗くと次回の映画を待つインドネシア人らしきおじさんが一人。オーストラリア人らしき男性とインドネシア人らしき女性のカップルが一組待っていた。値段は25,000ルピア(日本円で約320円)。この320円という値段が安いのか高いのか。日本人感覚でいくとメチャクチャ安い。しかし、クタなどの街でナシゴレンが80円程度で食べられることを考えると、決してメチャクチャ安いとは言えないのかもしれない。僕にとっては免税店と同じくらい悩んでしまう問題なのであった。
《text:Ishiko》
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