演じる上での私の敵は花ちゃん『無花果の顔』桃井かおり インタビュー
映画、CM、舞台など幅広い活躍を見せる桃井かおり。『SAYURI』でハリウッド進出を図るなど、最近では活動の場をアメリカにも置いてそのキャリアにますます磨きをかけている。そんな桃井さん、実はこれまでも数多くの映像制作を手がけてきたという。そして今回、初めてメガホンをとった作品がこの『無花果の顔』だ。「もともとは27歳ぐらいのときに書いていたエッセイが原案。連載用に長編が書きたかったんだけど、私にはそんな構成力がなくて…。で、編集者に相談したら『とりあえずそのエッセイをつなげてみたら?』って言われたの。適当に番号つけてシャッフルしたら、『斬新な構成だ!』ってホメられたわ(笑)」
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『無花果の顔』は、庭にいちじくの木が生えている日本家屋に住む、どこにでもいるような家族の物語。父、母、娘、弟。当たり前だと思っていた4人の生活が、父親の死によって次第に変化していく。「日常が活性化するような映画を撮りたかった。今が楽しければ長生きしたくなるんじゃないかっていう映画。だから、今生きているからこそ撮れる内容じゃないとマズイ!と思ったのね。生きるってコトは日常があるってコトで、それが淡々としていてつまらないようではダメだと思うの。毎日、結構いろんなことが起きてるゼっていう実感が沸くような作品にしたかったんですね」
桃井さん自身、マイペースで飄々としていながら、大黒柱を失った後あさましく生きようとする母親役で出演している。「元々のエッセイは私が娘の目線で書いてるから、こういう母親がいたらイヤだな、っていうキャラクターを演じたのよ。そうしたら結構乗れたんです」
そしてもうひとりの主役ともいうべき娘役には、同世代からの支持も高いお笑いタレントの山田花子を起用した。「わざわざ俳優が監督するんだから、例えば芝居ひとつとっても俳優だからこそ演出できたっていうモノにしないとダメだと思っていました。花ちゃんは芝居に関してはアマチュアだけど、演じる上での私の敵は花ちゃんだったから、あの人と戦うためにはプロもアマも同じやり方じゃなきゃフェアじゃないなと思った。よく犬や子どもにはかなわないっていうけど、花ちゃんはまさにそれと戦える人(笑)」
「撮影シーンの細かい説明をしないで回していたりしましたよ。そうすると思いもよらないリアクションをしてくれるワケ。お父さんが死んだ直後のシーンで、ふつうにご飯食べてるのに、私が『お父さん遅いわね』ってアドリブ言ったら花ちゃんと弟役のHIROYUKIが固まっちゃって(笑)。ふつうの俳優なら『お母さん何言ってるのよ』ってつくろっちゃうと思うんだけど、ふたりはただ固まってるだけ。でもあとから見ると“ショックでちょっと変になっちゃったかな!?”っていうお母さんを、日常的にだまって支えようとする子どもたちの意思が感じられたんですね。花ちゃんたちは花ちゃんたちで、私たちが机の上では考えつかないようなことをいろいろ教えてくれました」
恋愛モノで書いていたつもりが、読み返したら実は家族の話だったという『無花果の顔』。誰しもが心に持つ家族団らんの“原風景”のような世界観をぜひスクリーンで堪能してほしい。ところで桃井さん、これからも映画を撮るんですか? 「今、桃井が俳優としてもちょっといいのよ(笑)。1回しかチャンスがなくてもどうにか結果出してるからエラいと思って! もう少し芝居させてあげて、いろんなところに行かせたら、またいろんなことを拾って帰ってくるだろうから、そうしたら撮るかもしれませんね」
2007年も“桃井節”全開で突っ走るみたいだ。
《text:Shin Kumagai》
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