【『黒帯』撮影現場レポートvol.02】ついに格闘シーン! しかし意外にも…?
願いも虚しく雨まじりの曇天。取材の地は埼玉県・蕨の剣道場。交通の便が良くて助かる。しかもすぐそばにコンビニがある!
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この道場で大観が憲兵隊の命を受けて道場破りをするシーンを撮影。この憲兵隊が物語の重要な鍵を握ることになる。
日に日に軍部の力が強くなっていた時代。憲兵が空手道場を接収しようとしていた。義龍たちの道場にもやってくるが、小競り合いの末に長英が傷つけられる。怒りに任せて憲兵を攻撃する大観、あくまでも師匠の教えに従って守りの技しか使わない義龍。だがそれが2人の命運を分ける。義龍は憲兵に追われる身となり、一方の大観は憲兵の隊員に空手を教えることになったのだ。さらに大観は隊長に命じられて道場破りをしては道場を次々と奪っていく。長英はそんな2人を見守ることしか出来ない。
屈強の道場主と大観との死闘。“ついに格闘シーンかあ”などと大興奮で現場に急行したのだが、冷え込みが厳しかった。板張りが辛い。スリッパを履いていても足が凍える。リハーサルが始まり、いきなり熱が入る。掛け声と踏み出した足の音、身体にビシリと当たる蹴りの音が道場に響きわたって、息をのんで見入ってしまうアクションの興奮を期待した愚かさを痛感する。静かなのだ。だが張りつめたような緊張感が現場を包んでいる。本番も1回では終わらない。1台のカメラで様々な角度から何度も撮り直していく。何度見てもその動きの美しさに見とれてしまう。だが筆者のつたないカメラの腕では動きが早くてブレてしまった。すみません!
大観の敵役・高藤を演じるのは実際の空手家の杉澤一郎さん。それにしても分厚い身体でまさに屈強。見るだけで恐ろしげだが「特別なウェイトトレーニングはしてないんです」と意外に穏やかで、照れながら答えてくれた。
午前中の撮影が終わり昼食。魚のフライか鳥のから揚げが選択できるお弁当。寒い中での熱々の豚汁がありがたい。
午後からは映画のエピローグで流れる義龍の空手の型を撮影する。この一人で行う型がカンフーとは一番違うところだろう。義龍役の八木明人さんの空手は沖縄の剛柔流空手の継承者。静まり返った道場内に八木さんの気合が響く。流れるような動き。本物は素人の目にも美しい。眼福。明日は大観の前に最強の敵が現れるという重要なシーン。屋外の撮影だけに天気が気になる。晴れてくれ! …でも蕨駅までの道はしとしとと雨が降っていた。
(text/photo:Akira Sano)
《シネマカフェ編集部》
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