春爛漫、色男が参上Vol.1 永遠の色男、レッドフォードの顔にいったい何が?
豪華キャストが大きなウリのひとつでもあるロバート・レッドフォード監督最新作『大いなる陰謀』。出演者は、トム・クルーズ、メリル・ストリープ、そして、ウィレム・デフォー!
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初め、『大いなる陰謀』の公式サイトだけを見て、何の疑いもなくそう思っていた私は、キャストを確認して驚きました。何にそんなに驚いたかというと、何とウィレム・デフォーはこの作品には出演していないのです。それでは、メリル女史の左側に写っている男性は誰? 代わりに見つけた名前は…ロバート・レッドフォード。これはいったいどういうことなのでしょう。
レッドフォードといえば、ハリウッド史に名を残す美男子の一人。若いときの、内側から発光するような美しさは神々しいほどでした。そんな彼を、いくら歳をとったからといって、ウィレム・デフォーと見間違えるとは。私の目がおかしいのか、写真がおかしいのか、それともレッドフォードがおかしいのか。
明らかに、レッドフォードがおかしい! 変というよりも、妙。異常に不自然ではありませんか。「あなた、イジってますよね!!」という感じ。
この世には、“美しすぎる人の悲劇”というのがあります。あまりに美しすぎるものが、変化していくのは見たくない。人はとっさにそう思ってしまいます。可憐な美人女優がオバサンになっていくのを見るのは、確かに悲しい。それは、美男俳優だって同じこと。そして、そんな思いは本人こそ強いはず。
硬いつぼみが割れはじめ、やがて花が満開となって咲き誇る。その後にあるのは、“散”のみ。その儚さがまた、“美”への激しい憧れを咲きたててくれるわけだし、つい先日散ってしまった桜のように、散り際の潔さも“美”を形成する大事な要素だったりするのですが、花と違って人間は、自分が散っていくのを我慢できなかったりするものです。アノ手コノ手を使って、散るのを防ごうとしたり、散っているのに散っていないようなフリをしたりと往生際が悪いものなのです。いまは散るのを防いだり、散っているのに散っていないフリをする手段がいろいろある。それゆえに、人は潔さを奪われてしまうのか。でも、本人は上手くやっているつもりでも、案外、周囲からは丸見えだったりするのがまた悲しい。
私が、ファニーフェイスの代表のようなウィレム・デフォーと、永遠の美男子(だったはず)のロバート・レッドフォードを見間違えたのには、そんな散り際の美学と深い関わりがあるような気がしてならないのです。誤解のなきように言っておきますが、デフォーは歳をとって素敵になっていくタイプ。でも、美男子ではないし…。
それにしても、永遠の色男、ロバート・レッドフォードに何があったのでしょう? いったいどうしちゃったのでしょう? 以前は、整形を全面否定していたのに。彼は確かに美しい男でした。ただし、素晴らしいのは外見だけでなく、俳優としても、監督としても素晴らしい才能も比類なきものがあり、歳を重ねるごとに円熟味を増した威厳、後進の育成に尽力するという人柄にも敬意が集まっているだけに、妙なことをしたら台無しです。
彼ほどの人でも、過去の栄光に負け、外見を取り繕うという誘惑に負けてしまうなんてことがあるのでしょうか? 初めから美というギフトを神から授かっていなければ、それに固執することもないのでしょうが、一度それを手にしてしまうと、どうしても諦められなくなるものなのでしょうか。私から見れば、彼は十分全てを手にしているように見えるのに。これまでの年月こそ彼の財産のはずなのに。それを否定してまで、若返りたかったのかな。イジる行為は、かえって歳を強調し、「私も歳をとりました、はあ〜」と言っているような感じがして逆効果だと思うのだけど。
映画の内容はすっかりそっちのけになり、レッドフォードの顔の話題に終始してしまって、申し訳ありません。でも、どうしても気になってしかたがないのです。出発地点が違うのに、レッドフォード顔とデフォー顔の行き着く先が自然と同じになるなどということがあるのでしょうか? 謎です、大きな謎です。この謎をそっとしておいてあげることもできず、いろいろ書き立てる私も、なんだか野暮で潔くないのですが、明らかにイジっている様子の人をお見かけすると、自然に美しく歳をとる可能性を全面否定されているようで悲しくなるのです。さて、あなたはどう見ますか、この映画(っていうか、レッドフォードの顔を)。
『大いなる陰謀』公式サイト
http://movies.foxjapan.com/ooinaru/
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