「良い思い出ないのに、案外似合っててショックでした(笑)」堺雅人が語るジャージ論
梅雨が明け、蒸し暑い日々から逃げ出して、仕事も忘れてのんびりしたい──。ちょっと不思議な距離感の父と子が山荘で過ごす夏の数日間を描いた『ジャージの二人』。携帯もつながらない場所で、毎日ジャージを着て過ごす二人を演じたのは鮎川誠(シーナ&ザ・ロケッツ)と堺雅人。『アフタースクール』や『クライマーズ・ハイ』など出演作が目白押しの堺さんに話を聞いた。
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今回堺さんが演じた“僕”というキャラクターは、仕事を辞めたばかりの32歳。妻はほかの男と恋愛中という、ちょっとダメな男。
「今回に関しては、特別な役作りはしていないです。原作を読むというのと、(原作者の)長嶋有さんのほかの作品をなるべく読むということぐらいでした。僕自身とは、ある意味では似てると思うんですが、それは多分、世代の問題じゃないかな。今年32歳になる“僕”と、今年35歳になる僕と、36歳になる長嶋さん。“人に優しくしなさい”ということを一番の価値観として教え込まれた世代のような気がするんです。その優しさが時に人を追いつめたり、人を傷つけたり、優柔不断になったりするんだと、台本や原作を読んだときに思いました。その辺は他人事としては見れなかったんですが、それは、僕がというよりも、僕らの世代に共通しているような問題だと思うんですよね。個性とかゆとりとか、優しさみたいなものを求められながら育ったような気がして」。
最初は「ページ数が少ない!」と思った脚本だったそうだが、それでも最初の編集段階で3時間。それが、映画が完成したときには93分。実に半分になってしまった。
「僕はやっぱり推敲の技術だと思うんです。これとこれを言うのではなくて、これとこれを“言わない”っていう選択なんですよ。僕は映画監督でも評論家でもないので、詳しくは分からないですけど、相当の技術がそこに詰め込まれている気がするんです。監督がご自分で脚本を書かれているんですよ。それを半分にしているわけですから、その推敲の技術というのはスゴイと思いました」。
かと言って何もないわけではなく、むしろその93分にいろいろなものが詰め込まれているのだ。
「ある意味ですごく真っ当な映画のような気もするんですよね。別の意味では何か変わった映画だなっていう気もするんですけど(笑)。事件らしい事件はほとんど起きないけど、その裏にはちゃんといろんな葛藤がある。それが表立つのではなく、適度にほのめかしているというか…。だから、至極真っ当な人間ドラマのような気がするけれど、風変わりな作品だね、と言われたらそうかもしれないなと思うんです。ただ、やってて楽しかったですね。そこには何もないわけじゃないから。何もしないという選択をしたってことなんです。禅問答めいてますけど(笑)、言わないっていうことを選んだ、っていう。そこはちゃんと描かれているんですよね」。
全編を通して、ほぼジャージ姿の堺さん。そこで“ジャージ”について聞いてみた。
「うーん…。あんまり良い思い出がないんですよね。体育が嫌いな子供だったから、ジャージの時間は嫌いな時間(笑)。でも着てみて、案外似合っててショックでした(笑)。なんか似合ってんな、って。着心地は全然悪くない(笑)。むしろ良すぎて困るんです。その一方で、“こんなに動きやすいんだから、何で動かないの?”ってジャージから言われているような気がしますね(笑)」。
同じ九州出身の鮎川さんとのコンビネーションも「居心地良かった」という堺さん。誰もが“ジャージ”に対して持つ“楽ちん”、“のんびり”というイメージだけに収まらないドラマのある本作だが、やっぱり気持ちをゆるめてくれることに変わりはない。
《photo:Yoshio Kumagai》
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