「ラストシーンがキレイ」“猛毒の3人”が描く『TOKYO!』の藤谷文子と加瀬亮
ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ポン・ジュノという個性的な3人の監督が大都市・東京を舞台にそれぞれ製作したショートムービーで構成される映画『TOKYO!』。中でも『エターナル・サンシャイン』や『恋愛睡眠のすすめ』のゴンドリー監督による『インテリア・デザイン』は、これまでの監督の世界観とはひと味違う作品に仕上がっている。そのゴンドリー監督のパートでヒロコとアキラを演じた藤谷文子と加瀬亮に話を聞いた。
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『インテリア・デザイン』の原作はガブリエル・ベルのコミック「CECIL and JORDAN in NEW YORK」。加瀬さんは脚本を読む前にこの原作を読んだそうだ。
「(原作の)ラストシーンがすごくキレイで、それで僕は一気に興味を持ったんです。その後に台本を読んだのですが、英語を直訳した感じで違和感があって(笑)、でも監督やプロデューサーからその違和感を生かすという話がありまして、そのままやっちゃいました(笑)。でも完成した作品を観たらそんなに心配していたほどじゃなかったです」。
一方の藤谷さんは、さほど違和感は感じなかったと笑う。
「私は最初に脚本を読んだときに、すごく自然な流れに見えたというか、自分の中にある感覚でした。それは私がヒロコに近いということではなく、物語の流れとか、このストーリーそのものが好きだなと思う自分がいて、決してありえないと思えなかったというか…。それは寂しさとかわいさとが共存していてすごくステキだなと思いました」。
加瀬さんの言うセリフに対する違和感は、やはり撮影時にも気になったようで…
「アキラってどちらかというと“外国の人だな”っていう感じがしましたね。だって日本だったら『ちょっと小噺聞いてくれ』なんて言わないし(笑)。元々はN.Y.の話なんですけど、例えば部屋の中で『ダンスしないか?』なんてないでしょ? そういうちょっとした感覚のズレがあって、“アメリカ人”っていうソフトをインストールするくらいがちょうど良いというか。たまたま日本語しゃべってるけど(笑)。吹き替え版でしゃべってるみたいな感じが一番しっくりするというか」。
藤谷さんも同じように感じていたようで「亮くんが突然『僕、どんなセリフでも言えるような気がしてきた!』って言ったのが面白かった(笑)」そう。
「演じる側が“このセリフ、どうなの?”って思っていたら、それこそどうかと思うんですけど、もうそういうことしてる2人、そういうこと言ってる2人なんだよって思い込んじゃえば何でも言える気になっちゃったよね」。
N.Y.(ゴンドリー)、パリ(カラックス)、ソウル(ジュノ)から見た“東京”を描いている本作だが、図らずも共通した思いが浮かび上がる。全編通して観た感想を藤谷さんはこう語る。
「これだけ個性のある監督さん3人なので、バラバラになることは予期していたんです。3作品同士がケンカしちゃうかなって。でも意外とそうじゃなかったですね。実際バラバラなんですよ、世界観とか何もかもが。でもケンカしてないし、どこが繋がっている感があって驚きました」。
加瀬さんの感想も同様で、「意外と共通したものが浮かび上がってきて、それは面白いなと思いました。3人が持つ繊細さみたいなものがすごい似ていて、N.Y.もパリもソウルも東京も、都市が持つ闇…じゃないけど、そういう部分が、場所は違うけど感じてて、それをたまたま東京の舞台に投影しているような感じですよね」とうなずいた。
確かに、暗めのビジュアル、大都市にいる孤独感など、外国人から見たら“東京とはこんな街に見えるのか”と少し悲しい気持ちになるような…。そう言うと「そうですか? でも3人の監督、みんなそんなに素直じゃないですよね」と笑った藤谷さん。加瀬さんも
「猛毒の3人ですよ(笑)! だから、もう少し時間があったら、日本の監督も入れてほしかったですね。確かにその暗さも一つの見方だと思うんです。この3人の監督が描いている気分になるときもあるけど、東京にも静かな場所とかあるじゃないですか? そういうところはやっぱり多分見てないでしょうから。だからいろんな思いがありますよね。“東京”って一言で言われても」。
確かに。“東京の闇”を体現した加瀬さんと藤谷さんの演技はもちろん、作品それぞれの世界観、そして作品全体の雰囲気を、あなたが思う“東京”に投影するのも良いかもしれない。
《photo:Hirarock》
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